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三略講釈【中略-4】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
早速講釈を進めていきましょう。

本文現代語訳

「軍勢には、『口が達者な者に、敵の有利な点を語らせてはいけない。それは味方の兵士を動揺させる原因になる。仁愛に満ちた情が深い者を、経理の責任者にしてはいけない。その者は部下を思いやり過ぎて、余分に給料を出してしまうからである』と書かれている。
 同じく軍勢には、『軍の中では巫女の予言を禁止し、兵士のために占いをさせてはならない」と書かれている。(これは占いを信じた兵士が、合理的ではない行動をしないようにするためである)
 他にも、『義理堅い者を働かせるときは、高い給料を用意すれば良いと言う訳ではない。義理堅い者は、仁徳の無い君主の為に死ぬ気で働くことはない。智恵のある者は、愚かな君主の為に作戦を考えることはない』と書かれている」

解説

弁舌に長けた者が敵の有利な点を語ると、味方は不利なのではないかと他の兵士が不安になります。
また思いやりは必要ですが、過ぎれば同情して必要以上のことをしてしまいます。
これは誉めるべき長所を持つ者でも、扱い方を間違えれば悪く作用してしまうと言うことです。
巫女の予言や占いなどについては本文にある通り、そう言うものに惑わされる兵士が出るのでやらせてはいけないと言うことです。
このことについては他の兵法書でも、予言や占いは禁じるべきと書かれているものがあります。
最後の話は特に重要な部分です。
上略では高い給料と良い待遇が無ければ良い人材は集まらないとありましたが、人とはそれだけで動くものではありません。
前回の解説で人を扱う微妙なさじ加減の難しさについて話しましたが、世の中には君主や将軍の人徳や志に感銘を受けて働こうと思う者がいます。
このような者達を働かせるためには、君主や将軍の誠意や実際の行動が必要なのです。
高い給料を払ったのだから黙って働けとならないのも、また人を扱う時の難しさです。

今回の講釈はここまでとなります。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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