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三略講釈【中略-5】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
兵法の話は小難しくて理解するのが大変ですが、今は内容を一通り知ることを優先して読み進めていきましょう。

本文現代語訳

「君主には人徳が無ければならない。人徳が無ければ、臣下に裏切られてしまう。また、威厳も無ければならない。威厳が無ければ、権力を失ってしまう。臣下にも人徳が無ければならない。臣下に人徳がなければ、君主のために働くことができない。また、臣下にも威厳が無ければならない。臣下に威厳がなければ国全体が弱くなるが、威厳があり過ぎれば身を滅ぼすことになる。
 そこで聖王は世の中を治めるにあたって、時代の流れと全体の損得を考え、君主と臣下の制度を作った。そしてこれを元にして、諸侯は二軍を保有し、諸侯のまとめ役である覇王は三軍を保有し、皇帝は六軍を保有すると言う制度を作った。世の中が乱れれば反乱が起き、君主の恩恵が無くなれば諸侯は同盟を組んで争い始めるようになる。しかしお互いの人徳が等しく、また軍事力も等しければ、お互いに争うようなことはしないのである」

解説

前半は素直に読めば理解できる内容だと思います。
ただし君主より家臣の方が威厳を持つようになると、家臣自身の身が危うくなることがあります。
これは下手に威厳(力)を持ちすぎると、変に仲間に担がれたり敵の計略に巻き込まれて君主に反旗を翻すように仕向けられたりして、そのせいで自分の身が危うくなると言うことです。
後半は世の中の均衡を保つための制度を作ったと言うことです。
諸侯は同じ兵力しか持っていないので、互いに攻めることができません。
もし諸侯が反乱を起こしても、まとめ役の覇王は三軍を保持しているので鎮圧が可能です。
仮に諸侯と覇王が手を組んで反乱を起こしても、皇帝は六軍を保持しているので鎮圧が可能ですし、他の諸侯や覇王が皇帝の軍に合流すれば結果は火を見るより明らかです。
このように争いが起きない仕組みと、万が一争いが起きても対応できる制度を作ることも君主の務めなのです。

今回の講釈はここまでです。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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