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孫子の戦いの理想

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回からはいよいよ実戦的な兵法の話に入っていきます。
これから何度かに分けて、戦いの中でも特に「攻め」についての解説をして行きたいと思います。
実戦的な話になってくると文章では分かりにくい個所も増えると思いますので、動画の方も併せて見るとより理解が進むと思います。


孫子から原文と、その現代語訳を見て行きましょう。

原文
「凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るはこれに次ぐ。軍を全うするを上と為し、軍を破るはこれに次ぐ。伍を全うするを上と為し、伍を破るはこれに次ぐ。
 この故に、百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」

現代語訳
「戦いの基本として、敵国を降伏させるのが最上で、敵国を武力で制圧するのはこれに劣る。同じく敵軍を降伏させるのが最上で、実際に戦って撃破するのでは一段劣る。小部隊ですら降伏させるのが最上で、壊滅させるのは良い事ではない。
 だから、百戦百勝と言うのは最高ではない。戦う前に降伏させることこそが、最高なのである

これは実際の攻め方を学ぶ前に、攻め方の最終目標を知るのが目的です。
今後実戦的な戦い方を学びますが、それらを知った上で、なお実際に戦うよりも降伏させる方が優れていると言う事を伝えたいのです。

もし実際に戦闘が行われれば、敵にも味方にも損害が出ます。
味方の兵士の損耗は避けたいですし、例え敵の兵士であっても人の命は尊いものですから、いたずらに殺すわけにはいきません。
また実際に戦闘をすれば、兵糧を消費し、武器や防具は損傷し、経済的な負担も馬鹿にはなりません。
そうなると、戦争には勝ったけど結局得られる利益は少ないと言う事になります。
だから孫子は実際に戦わなくてもよいのであれば、それが最高だと言っているのです。


この、実際に戦う前に降伏させるのが最良であると言う考え方。
今回はこれだけを、しっかり胸に刻み込んで下さい。
この考えを基本として、それでも実際に戦う場合はどう攻めるかと言う話を、次から詳しく解説してきます。

今回の解説はここまでです。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。

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