見出し画像

戦費と長期戦(前編)

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回は戦争前に考えるべき戦費と長期戦についてのお話の前編です。

動画でも解説していますので、ぜひ一緒にご覧ください。


それでは、前半部分の原文から見ていきましょう。

原文
「孫子曰く、凡そ用兵の法は、馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、千里にして糧を送る時は、則ち内外の費、賓客の用、膠漆の材、車甲の奉、日に千金を費やして、然る後に十万の師挙がる。
 其の戦いを行うや久しければ、則ち兵を鈍らせ鋭を挫く。城を攻むれば則ち力尽き、久しく師を暴さば則ち国の用足らず」

一つずつ訳しながら解説して行きます。
これは戦争には、莫大な費用がかかると言うことを説いています。
戦闘用の馬車や輸送用の馬車、兵士のための武具、遠征のために遠くまで兵糧を運ぶとすると、一日に千金(大金の意味)がかかると言っています。
つまり十万の軍隊を遠征に出せば、たった一日でこれだけの大金が必要になるのです。
戦争を始めれば大金が必要になるので、軽々しく戦争を行うべきではないと言うのが、孫子の考えの根本にあります。

さらに、戦争が一日で終わるということはありえません。
遠征して敵地に居れば兵士達は疲れますし、城攻めを行えば多数の戦死者が出ます。
このように遠征して戦えば、軍は徐々に力を失っていくのです。
だからと言って損害を恐れ何もせずに無駄に日数が過ぎれば、それに応じて戦費の負担が重くなり、いずれ国の財政は破綻します。

実際に戦えば軍は消耗してしまいますが、だからと言って慎重に攻め過ぎて日数がかかり過ぎれば、国の財政を圧迫してしまう。
このようにして国力が徐々に衰えていきます。
これが長期戦の弊害となります。
そしてこの長期戦の弊害により、もっと深刻な事態が引き起こされます。
それについては次回の後編で解説致します。

本日の解説はここまでと致しましょう。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。

次の記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?