将軍の礼
皆さまこんばんは、弓削彼方です。
将軍の資質と欠点を学びましたので、最後に礼節についてお話したいと思います。
時間があれば動画の方もご覧ください。
原文と現代語訳を見て行きましょう。
原文
「軍井の未だ達せざれば、将は渇するを言わず。軍幕の未だ弁ぜざれば、将は倦むを言わず。軍竈の未だ炊がざれば、将は餓うと言わず。冬も裘を服せず、夏も扇を取らず。雨降るも蓋を張らず。
是れを将の礼と謂う」
現代語訳
「井戸を掘って水が出るまでは、将軍は喉が渇いたと言ってはならない。天幕が張り終わるまでは、将軍は疲れたと言ってはならない。食事の用意ができるまでは、将軍は腹が減ったと言ってはならない。冬でも外套を着ず、夏でも扇であおがない。雨が降っても傘をささない。
これが将軍としての、兵士に対する礼節である」
命を懸けて戦ってくれる兵士と将軍では、役割に大きな違いがありますが、それでも同じように国を守るために戦うのですから、相応の礼と言うものがあって当然です。
そこで将軍自身も一人の兵士と同じように、苦楽を共にすることで礼節を示すわけです。
その具体的な行動として、食事や休憩を自分だけ先に取ると言うことはせずに、兵士達の用意も全部整ってから手を付けたり、寒い時も暑い時も、兵士と同じように耐え忍ぶわけです。
この様に苦楽を共にし、待遇もできる限り一緒にすることで、将軍は兵士達から信頼され、より一層将軍の権威も高まるわけです。
これが将軍の礼と言うものであり、将軍に必要な心構えなのです。
この小さな心構えや思いやりがあるかどうかで、兵士の士気は変わり、将軍の命令を素直に聞くかが変わります。
前にお話した、兵士の人心を得る行動と言う話にも通じます。
ですので、この将軍の礼と言うものを軽く見ず、自らを戒める必要があります。
これで一通り将軍に関する話は終わりました。
次はまた、別の話題に移りたいと思います。
それではまた、次の講義でお会い致しましょう。
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※参考記事
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