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"Speculative Plot" echostruct reports vol.2

echostruct reports とは

Yugaming と Dessan が興味あるトピックを持ち寄りブツブツボソボソ話す企画。月 1 更新を目処にダラダラした会話をお届け。

手探りで始めたため、形式は今後変更される可能性がめちゃくちゃ高い。発声の聞き取りづらさや話の展開の読めなさも随時改善予定、のはず。

登場人物

・Yugaming

日本在住のライター。「前回はこちら」( note / Twitter )

・Dessan

合衆国在住の研究者。「月1更新ですが、1月が31日以上あるときもあります」( note / Twitter )

・『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』

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以下、リファレンスなど

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』

『ゴジラ S.P』円城塔インタビュー 実験と笑い、ポップで新たなゴジラの誕生 - KAI-YOU.net

「ゴジラS.P<シンギュラポイント>」シリーズ構成・円城塔インタビュー、ゴジラ初の13話構成をいかに作っていったのか? - GIGAZINE

Amazon.co.jp: ゴジラ対メガロを観る | Prime Video

『Self-Reference ENGINE』

時空がどうにかなってしまった「イベント」にまつわる人間と巨大知性体が織りなす言語 SF 短編集。「イベント」と巨大知性体がそれぞれ特異点と怪獣に対応する、ような位置を占めている気がしないでもない。巨大知性体そのものを題材にした作品は「Disappear」「Echo」など。冒頭でも触れている「Freud(フロイド)」も収録。(Yugaming)

『Boy’s Surface』

これもまた円城塔の初期の作品集。帯には「数理的恋愛小説集」の文字。表題作は「写像が語る、初恋の不可能性を巡る物語」とのこと。二人の間を行き来する数式の演算結果である写像はこの場合、ジェットジャガーに見えないでもない。ホントに?(Yugaming)

『プロローグ』

・Tele倶楽部

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以下、リファレンスなど

Tele倶楽部 ピーナッツくん

NUTS TO YOU! -PeanutsKun 1st Live-

ライブでは2018年のその先をみせてくれて本当にありがとう。(Dessan)

ピーナッツくん『Tele倶楽部』制作秘話、全曲解説超ロングインタビュー

・クトゥルフと漫画

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以下、リファレンスなど

狂気の山脈にて

・ワイと我々で行く『狂気山脈 ~邪神の山嶺~』【クトゥルフ神話TRPG】 #狂気山脈再び

・ダイソンスフィアプログラム

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以下、リファレンスなど

・動画について

上の動画にある分留器は、水素を取り込むと、1%の確率で重水素に分離する(99%の確率で水素のまま)。分留器ひとつだけでは効率が悪すぎるので、左上のコンベアから水素をひと繋ぎに複数の分留器に回し入れて、ループさせる回路を作った。しかし数十分後に水素が詰まってしまったので、途中で水素を消費する施設を追加して流れを良くしなければならなかった。(Dessan)

Steam:Dyson Sphere Program

ストレンジレット - Wikipedia

アンリアルライフ

・考えること

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以下、リファレンスなど

WEB連載:失われた未来を求めて 木澤佐登志 / 第十一回 議事堂の中のシャーマン――虚構の時代の陰謀論

「イルミナティカード」でちゃんと遊んでみたよ!(あるいは『予言』という陰謀論を解体する試み)

辻田真佐憲+西田亮介(司会:東浩紀)「2021年の夏はどうなる? コロナと五輪に翻弄される日本社会のゆくえ――ゲンロン特別無料放送:『新プロパガンダ論』で時事を語る #2」

自分で考えることとただ情報を伝えることの違いについて語られていました。(Dessan)

・あとがき

 「世界内の人や出来事でなく、世界そのものを描く」という困難極まる超越論的な課題に己が直面している──というよりそう標榜してしまっていることにまったく気づかないからである。もちろんその幼稚さゆえの蛮勇が、まれにまぐれ当たりを引き当てることもある」(371頁)といった著者のSF観の下で深く読み込まれることで、二次創作における整合性の問題と二重写しになった、ユートピア的な社会実験の成否の問題と結びつくものとして再解釈されて、「ハッピーエンドの試練」という観点でまとめられている。──自分の関心に寄せての説明になりましたが、概ねこのような話をしていました。(江永泉;木澤佐登志;ひでシス;役所暁.闇の自己啓発(KindleLocations2440-2446).株式会社早川書房.KindleEdition.)

 闇の自己啓発からの引用である。実のところ、Podcastの第二回は「闇の自己啓発」をテーマに据えるつもりだった。収録も終えていたのだが、諸事情によりお蔵入りになった。もう一度収録するつもりはなかったのだが、ゴジラSPがSF味溢れる作品だったので、そこで話したトークの一部をここで供養したい。繋がりをみつけられるかどうかはまだ分からないのだが。

 さて、先の引用では概ねこのようなことを言っているらしい。つまり、SFはまずある「世界」を設定するが、物語の進行とともに設定した世界の不具合がみえてくる。不具合が解消されればハッピーエンドになるが、不具合がどうしようもないならバッドエンドにするしかない。そうでなければ、ご都合主義的な結末になってしまう、と。

 我々が目や耳で世界を捉えようとするとき、必ず情報の脱落が生じる。当たり前のことだけれど、我々は世界のすべてを完璧に捉えることはできない。思考や理論についてもそうだ。全体を把握しようとすると細部を捨てなければならないし、細部をみようとすると全体がおろそかにされる。

 つまり作者が設定しようとする世界は、まさしく作者にも思考不可能なほど複雑なものになってしまう運命にある。世界を表現しようとするとき、必ずそこには情報の脱落が発生する。そのときに生じた余白が、物語においては世界の歪みとなり、バッドエンドが析出する。ディストピアは、ユートピアを想像しきれないか、あるいは完璧に設計できないから発生するのだ。

 しかし、物語とは不具合によって駆動するものだ。我々が描けない部分、想像できない領域が不具合になるのだとしても、それがなければ物語は生まれてこない。世界と不具合は常に響きあっている。人間がユートピアを完全に想像する能力がないからこそ、物語が生まれる。超越論的な語りが不可能だから、私的な物語へ収束させるしかない。

 テクストが一つの図(意味)としてありうるのは、まさにそのために排除された地(余白)によってである(柄谷行人. 内省と遡行 (講談社文芸文庫) (Kindle Locations 2496-2497). 講談社. Kindle Edition.)

 SFは世界を描こうとするからこそ、文学になってしまう。世界を描こうとするからこそ、奇跡が生まれてしまう。ゴジラ対メガロでも、ゴジラS.P.でも、ジェットジャガーが巨大化したのはそういうことではないか。円城塔がなぜゴジラ対メガロを参照として選んだのか、最後にちゃんと話が繋がりましたね(適当)。(Dessan)

・次回は『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』などの話題についてお届けする予定です。


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