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とにかく…眠いのです


とにかく
……眠いのです。

もう
私の脳みそは溶けてしまったかくらい……。

とにかく
…眠いのです。

そして、
かつてないほど、
脳がカロリーを欲しがるのです。

チョコレートなんかじゃ済みません。
激甘の羊羹や、
激甘のアップルパイ。
マカロン。
マカロン。
マカロン。
…あー、モンマルトルのあの店に行きたい。

モンマルトルの坂の途中にある、
あの店に似た、
やっぱり坂の途中にあるフランス焼き菓子の店。
休みの日は自転車を飛ばします。
そして次の休日まで、
大事に大事にマカロンを食べます。
1日1個ね…と、決めたはずなのに。
何度も冷蔵庫をのぞいてしまいます。

マカロンを食べ終わると、
途端に眠気がやって来ます。

とにかく眠くて…。

ベットにゴロンと横になるとすぐに意識はなくなるのです。

私はお椀の中で横になっています。
一寸法師になってしまったのかと思ったら、
私のサイズのお椀の中で横向きに寝ています。

お椀の中で横になった私の腰骨を、
ハリウッドスマイルの男の人が押します。
「そんなに押したら痛いじゃない。」と、
声を出さずに思います。
ハリウッドスマイルの男の人は、
目尻を下げ口角を上げたまま押し続けます。
「なんて意地悪な人でしょう。」

わたしはふっと、
目を覚まします。

押されたと思った腰骨は、
4時間も横向きのまま同じ姿勢でベットに当たっていた場所でした。
上から押されたんじゃなくて、
したになって当たっていたところ…。
上下の感覚がなくなっていて、
宙に浮いている気分になりました。

するとまた私は眠りの中に戻ります。

今度は、
また電車に乗っています。
電車に乗って海の近くの家で暮らします。
潮風の当たる、
やっぱり坂の途中にある家。
そして電車に乗りデパートへ出かけます。
そのデパートの連結路で、
画材や文房具を売っているショップに行くか、
それとも逆のショップに行くか悩みます。
「全部見ればいいじゃない。」
そう思って気の向くまま進みます。

現実的にその場所は知りません…。

夢の中で私はいつも知らない場所で暮らしているのです。

知らない場所で知らない人と暮らしています。
ついでに、過去も未来もありません。
ただ、必ず電車や車に乗ってどこかにたどり着くのです。
でも一つ不思議なのは空港に行くけれど、
飛行機に乗ることはありません。
その代わり、自分で空を飛ぶのです。
…そう、空気の移動の様に。

現実とは関連のない夢。

夢から覚めると思うのです。
「今日のあの場所はどこだろう?」…と。
「今日過ごしたあの人は誰だろう?」…と。

再び、
眠りに落ちていきます。

とにかく、
…眠いのです。

体の現実が終わり、
また夢の世界に落ちて、
知らない世界で暮らす…。
夢の世界に体の現実は現れません。

夢に落ちて行く、
…そんな感覚さえないうちに、
眠りに落ちていきます。

夢が終わり、
ガーゼのブランケットがフワフワで、
そっと頬に当てた感触が柔らかくて、
また夢の中に戻っていきます。

起きても起きても、
とにかく 眠くて…。

体の現実が終わると、
とにかく、
…眠いのです。

それが
とても心地よくて…。
心地よい…そんな感覚さえないのかも知れません。


そんな日を何日も過ごしています。

体の世界と眠りの世界、
本当はどっちが本当の世界でしょうか?

眠り姫の様な生活を以前は
「ダラシない」と許せませんでした。

でも。
とにかく
…眠いのです。

今も目覚ましで目覚めたけれど
とにかく
…眠いのです。

きっと魂が夢の世界で旅をしたがっているのでしょう。

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