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ロッタとの物語 : 「#愛は犬」


愛は犬って、本当だろうか?


犬と言えば、飼い主の足音を聞き分けた途端、玄関に猛ダッシュして、尻尾が振り切れるくらい振りまくる。

ロッタもご多聞に漏れず、玄関を開けると木登りする様に私に駆け登り、首に両腕を絡めて、キスの嵐をお見舞いして来ていた。気を付けないとディープキスになるから、口を真一文字に絞めておかないと大変な事になる。
それは、ロッタがなくなるまで、毎日続いた。

それだけで私はロッタにメロメロだった。

ロッタは一時も私から離れようとせず、お風呂にもトイレにも付いて来た。
寝る時だって、私の体の何処かに触れていないと起き出して来る。
大概朝は、頭にくっついていて、頭がカンカンに温められ、
「頭が痛い!」
と思うと、おでこの上にロッタが乗っている。
そして、いびきをかいていたくせに、
「お散歩」
と、一言言うとぴよんと飛び起きる。

「お散歩」

「ご飯」
が何より大好きらしい。
…私の次に。

ジャーキーをお皿に置いて、その隙に出かけようとすると、どっちに行くべきか、ジャーキーと私を交互に瞬速で確認し、ジャーキーをさっと口に咥えて私の足元にやって来る。
その悩んだ顔が真剣で、思わず抱きしめたくなってしまう。

ロッタの記憶のどこを探っても、『愛』しか思い浮かばない。

だが。

ロッタと暮らすある日。

友人が言うのだ。

「ロッタがあなたを愛してるのではなくて、それは、あなたを操る方法なんだよ。」

と、悪魔の様な事を。


そんなはずはない。



…?ん。
本当にそうだろうか?
ロッタは私の全てを把握して、私を手玉に取っている…かも、しれない。

でも、

もし、

そうだったとしても、
ロッタの全ては愛しか感じられない。

わがままさえ
愛しい。


第一、
私の全てを把握しているだけで、
もう、それは、
『愛』
だと思うんだ。

それに、
ロッタは私がイヤな事を要求したりしない。
私が許す範囲もちゃんと知っている。

この世界に、
ロッタ以上に『愛』を感じる
ものは存在しない。

もし、
ロッタが
操るためにしていた事だとしても、
既に私が愛しているんだから、
どちらでも良い事だろう…。


自分を見つけたら、
ウレションするくらい喜んでくれる
…もう、それだけで、
『愛』

…だと思うな。




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