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( 引用 )東野圭吾 『たぶん最後の御挨拶』
ところが最近は、笑える小説を書く人が本当に少なくなった。その理由は文学の世界において、「笑い」は地位が低いからだ。人を笑わせるよりも、人の気持ちを暗くする作品のほうが格調が高いように思われている。それどころか、「笑い」の小説は書くのが楽だと疑われているふしさえある。お笑い小説の同志である京極夏彦氏といつも憤慨していることだが、そんなことは決してない。人を泣かせる芝居よりも笑わせる芝居のほうが数段難しいのと同様、文章で笑わせるのも至難なのだ。
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