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ゆえ
2018年4月26日 11:16
夜の海を小舟が進む。小舟とは思えないほどのスピードで、風を、波を切って舟は進む。 空には月と満天の星があった。空に煌めく星々を道しるべに、一切の不安も、迷いもなく、舟は進んでいく。 舟先に立つその表情は楽しそうだ。火はない。日もない。明るさといえば夜の女王とその仲間たちの輝きだけだというのに。 捨てられないと抱えていた荷物は、気が付けば中身がからっぽになっていた。持っていると思っ