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アニメ『君は放課後インソムニア』第13話「最古の星」星の名を読み解く

この記事の趣旨
アニメ『君は放課後インソムニア』のサブタイトルの星を読み解く|ゆえ|note


アニメ『君は放課後インソムニア』第13話(最終話)のサブタイトルは「最古の星 メトシェラ」だった。
最後の撮影地が、縄文時代の集落跡「真脇遺跡」であることから、古い時代のものに思いを馳せるということだろう。


メトシェラとは

「メトシェラ」というのは、NASAが「HD 140283」という恒星に付けたニックネームで、旧約聖書で最も長寿な人物の名前に因んでいる。
「HD」というのは「ヘンリードレーパー星表」という恒星のカタログを意味している。
既知の天体としては「最古の星」で、発見当初の推定年齢は160億年とされた。
宇宙の始まりが138億年前という説と矛盾しているため、推定値に誤差があると考えられる。
再測定・追跡調査によると、その年齢は144.6億年±8億年という結果も出ており、下限値に近いとすれば、宇宙の年齢と矛盾しない。
宇宙の年齢も、宇宙の膨張速度から逆算された推定値だが、これにも未解明の謎があり、誤差があるかもしれない。


星の種族(恒星の世代)について

この宇宙にある恒星にも世代がある。
宇宙の始まり、ビッグバンで形成された物質の大部分は、水素とヘリウムだったとされる。
つまり、宇宙が誕生した当初、ヘリウムより重い元素は、ほとんど存在しなかった。
したがって、宇宙の初代の星には、重い元素が含まれていなかったはずだ。
そういった、重元素を含まない初代の星のことを「種族III」の恒星と呼んでいる。
種族IIIの恒星は、これまで実際に発見されてはおらず、理論上のものだ。
種族IIIの恒星が核融合反応で作り出した重元素は、その恒星の死によって、星間物質として放出された。
その重元素を含む、第二世代の恒星が「種族II」で、最古の星・メトシェラも種族IIである。
さらに多くの重元素を含む、新しい恒星は「種族I」で、太陽も種族Iに分類される。
恒星に含まれる元素の種類・量は、光のスペクトル分析によって調べられる。


空に最古の星を見てみよう

メトシェラは、てんびん座の方向にあるが、見かけの等級が7.2程度で、肉眼では見えないので、「このあたりにあるのか」と思いを馳せていただきたい。
2023年7月、てんびん座は20時頃に空の真南を通り(南中)、深夜2時頃に西の地平線に沈む。

2023年7月5日21時の南の空(石川県七尾市)


参考文献

Wikipedia
AstroArts - 宇宙最古の星の年齢をさらに正確に推定
Gigazine - 「宇宙より古い星」の発見から始まる宇宙のミステリーとは?

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