見出し画像

読書記録1

本を読む頻度が数年前よりも減っているということに気付きました。
それで、以前みたいにたくさん本を読みたいなって思ったので、意識して読書タイムを作っていこう!という計らいです。
せっかくなので読んだ本の感想とかを記録しておきたい。
こういうのって後で見返すと当時の記憶もよみがえっておもしろいので……

2023年7月

・おちくぼ姫

著者 田辺聖子 230ページ 角川文庫

 古典の『落窪物語おちくぼものがたり』を著者・田辺聖子さんの解釈で現代語訳した本。
 当時の文化や風習などをわかりやすく説明してくれるので、物語に没入しやすい。こういう古典の物語をもとにした本は、結構お堅い言葉で語られていることが多いイメージがあるけれど全然そんな事はない。

 一言で言うと『日本版シンデレラストーリー』。魔女や、カボチャの馬車、ガラスの靴が出てくるわけでもないし、舞踏会に行くわけでもない。
 しかし、シンデレラと同じように美しいお姫様が継母(北の方)にいじめられているところから物語はスタートする。
 高貴な生まれにも関わらず実母と死別してからは源中納言げんのちゅうなごん邸の端っこにある、床が一段落ちくぼんだみすぼらしい部屋で、ひたすら縫い物をさせられていた。
 もはや召使いみたいな扱い。そんなところに暮らす姫は、邸の人間からも「おちくぼ」と呼ばれていた。
 味方はおちくぼの姫に仕える阿漕あこぎとその夫の帯刀たちはき、末男の三郎君さぶろうぎみのみ。
 そんな時、帯刀の乳兄弟である右近の少将(藤原道頼)は帯刀からおちくぼ姫の話を聞いて求婚を始める。
 恋と冒険のスリルを求め、姫を恋人の一人・・・・・にしようと思っていた少将だったが、通ううちにおちくぼ姫一人だけを愛そうと決めた。最初は拒絶の意を見せていたおちくぼ姫も、次第に心を開き少将のことを愛おしいと思うようになる。
 しかし、それが北の方にバレておちくぼ姫は幽閉されてしまい、ついには源中納言邸の変態ジジイ、典薬てんやくすけに嫁にされてしまいそうになる始末。それを助け出すために阿漕、帯刀、少将が奮闘する……!!
 というのが大まかな内容。
 冒頭でも触れたが難しい表現は一切なく、読みやすく親しみやすい。
 この時代は一夫多妻制が当たり前だろうに、おちくぼ姫一人への愛を貫き彼女の身を守った少将の純愛がとてもかっこいい。特に、幽閉されたおちくぼ姫を自分の邸宅へ連れ去るシーンは、とてもよかった。

 全体としておちくぼ姫と少将の恋路を中心として話は進んでいく……のだが、この二人の関係が良すぎる!!!!!
 今まで粗末な扱いをされてきたので自分に自信がない姫と、それを口説き落とす少将。なんなんだ、この萌えは……!?
 普段恋愛小説を全く読まない私でも、始終萌え散らかしていた。
 最後の方で、北の方に少将が仕返しをするのも良かった。姫本人はそんなことしなくて良いのに、という感じだったが少将の気は済まなかったみたいで、お前姫のこと好きすぎや~んという気持ち。
 そして阿漕!!おちくぼ姫の幸せを一番に考えてくれている。本当にかっこいい女で、作中で一番好きな登場人物かもしれない。
 最後の、姫が実父と再会するシーン、すねて席を立った北の方の袖をおちくぼ姫と四の君が引くシーンもとても良かった。

 原作である『落窪物語』は平安時代の作品だから、今も昔も人々の心を躍らせるストーリーというのは一緒なんだなあと感じて、なんだか素敵だと思いました。

・The Boy in the Striped Pyjamas

著者 John Boyne 12,575語 PenguinReaders

 舞台は、第二次世界大戦中のドイツ。
 ナチス将校を父に持つ九歳の少年・Brunoの視点からナチスのホロコーストを見た話。
 とはいっても、残虐なシーン、酷いシーンは一切出てこない。ナチスが行っていたことを何も知らない純真無垢な少年の目線で物語は進んでいく。

 ベルリンに住んでいたBrunoは、父親の大事な仕事の都合で突如引っ越さなければいけなくなってしまう。Brunoは住み慣れた地を離れるのが嫌だったが、泣く泣く引っ越しをした。
 Brunoは新しい家が気に入らない。姉のGretelに聞くと引っ越してきたこの場所は「Out-With」というそうだった。
 友達とも離れてしまい、Brunoは寂しく毎日を過ごす。
 家の外側には金網フェンスが張り巡らされていて、その向こう側には様々な年齢の汚らしい人間がたくさんいた。不思議なことにその人たちはみんな揃いの縞模様のパジャマを着ていたのだ。
 ある日ついにBrunoは探検に出かける。
 そして、フェンスの向こう側にすわっていた一人の少年――Shmuelと出会う。Brunoは家族の目を盗んで毎日Shmuelのところへ通い、二人は仲良くなっていった。
 ある時、「Out-With」での生活に耐えられなくなった母親の提案でBrunoとGretelはベルリンに帰らなければいけなくなる。そこでBrunoは最後の探検として、行方不明になっているShmuelの父親を一緒に探しに行こうと提案した。
 BrunoはShmuelと同じ縞模様のパジャマを着て、金網フェンスをくぐり彼の父親を捜しに行くのだが……

 言ってしまうが、とても後味が悪くて読了後は胸糞が悪くなる。
 誰も幸せにならない、正真正銘バッドエンドの作品。精神的に絶好調の時でもあまり読み返す気分にはならないと思う。人によると思うがショッキングな最後に、読了感はだいぶ最悪だろう。
 この話自体はフィクションであるが、実際ナチスのホロコーストでは残虐な仕打ちがユダヤ人に対して当たり前のように行われてきた。
 最期まで幼いBrunoには本当の意味がわからず時は進んでいく。
 何も知らず、わからず、ただ新しい友達と遊びたい仲良くなりたいという思いだけを持ち続けている。その純朴さが余計に物語を重たくしているように感じた。
 いろいろ考えさせられる作品だった。

 調べたところ、この作品は映画にもなっているようだった。
 文で物語を追ってこの辛さなので、映像で見たらさらに酷い重苦しさに襲われそうだ。

 話の続きを英語で書いて提出する課題があったので、その日本語訳を置いておく。

 Brunoの父親は、穴の開いた柵の近くにBrunoの服を見つけたことから、Brunoは誤ってユダヤ人と共に殺されてしまったのではないかと考える。
 Brunoがいなくなってしまったことで、家族もみんな元気がないし、Brunoの父親は今自分がやっていることは果たして意味があるのかと悩む。
 自分たちが殺しているユダヤ人にも家族がおり、絆で結び付けられているはずだ、その家族と離れ離れになったら、子どもが殺されたら途方もなく悲しいと、Brunoの父親はようやく気づいた。
 自暴自棄になっていたBrunoの父親は、主犯であるヒトラーを暗殺しようとするが失敗し、裏切り者として家族まとめて毒ガス処刑される。最期にBrunoの父親は、自分の息子も同じように毒ガスで死んでいったのかもしれないと想いを馳せ、涙をながした。

Re:ゼロから始める異世界生活 34

著者 長月達平 322ページ MF文庫

 待ち望んでいたリゼロの新刊が出た。期末が終わったその日に書店に直行して購入した。
 小説投稿サイト「小説家になろう」で無料で更新を読めるのだが、私は断然書籍派なので続きが気になる気持ちを抑え込んで新刊が出るのを待っていた。もちろん、長月達平さんの「更新しました」ツイートのたびにサイトを覗きたい気持ちを抑え込まなくてはいけなかったが。

 続きものなのであらすじを紹介しても野暮だと思うが、ついにスバルとエミリアたちが再会し再び行動を共にするようになる。この安心感!!
 急に記憶のないレムと様子のおかしくなってしまった大罪司教ルイと、完全アウェイの地ヴォラキア帝国に放り込まれて早九巻。
 ルグニカ王国の頼れる仲間がいるから大丈夫!というところでスバルをヴォラキア帝国に放り込み、再び頼りになる人のいない孤独にスバルを落とした作者はさすがといえよう。
 帝国に飛ばされたとき、そうきたかー!と驚いてしまった。
 先程も言ったが、やはり王国の仲間たちがいるだけで安心感が違う。この人たちは絶対にスバルを信じ助けてくれるとわかっているからだ。
 ネタバレになってしまうので詳細は伏せるが、トッドの名前章を読んだとき、とてもゾクッと来た。ああ、はいはい、申し訳ありませんでした!!という気持ち。
 トッドはまたどこかでしぶとく登場してくる予感がしてならない。
 レムとラムの再会のシーンも感動的だった。いきなり再会!感動!!なのではくて、徐々に寄り添っていく感じがお互いの記憶の欠落を感じられて良い。
 一番グッときたのは、アベルとスバルの言い争いのところ。二人が初めて本音でぶつかった場面と言える。
 「喪う準備をしてこなかった」というので泣きそうになった。巧みな心情描写であの場面の緊迫感がひしひしと伝わってくる。アベルがあんな風に感情をさらけ出すのは初めてだったし、彼もちゃんと人間らしいところがあるんだとなんだか安心した。

 この巻から第八章が始まるわけだが、大災への準備段階の巻ように感じた。帝国と正式に手を結んだスバルたちが、これからどう大災に対抗していくのか。謎はまだまだ深まるばかりで、今後の展開も見逃せない。

https://ncode.syosetu.com/n2267be/

 なろうで読めるのでぜひ……!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?