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「死刑にいたる病」ネタバレ有り感想

24人の少年少女を拉致監禁の末、拷問にかけて虐殺した容疑で逮捕され9件の立件・起訴をされた容疑者・榛村は被害者が26歳の成人女性である1件の事件のみについては冤罪を主張。そんな事件に際して家庭に問題を抱えるFラン大学法学部の大学生である主人公・雅也の元に榛村から手紙が届く。彼は同郷である雅也に対して事件の真相解明を託すのであった。というのがあらすじです。

阿部サダヲ氏が演じる猟奇殺人犯榛村はにこやかで親切なパン屋と少年少女を信頼させきってから誘拐しじわじわと拷問にかける信頼から絶望コンボをじっくりことことシェフのオススメシチューみたいに味あわせてから殺害するというゆ虐スレが大好きなサイコ野郎のワイ氏と多分会話がガッツリ噛み合いそうなやべー奴で冒頭からヤットコで生爪履いだり目玉えぐったりミステリー映画という触れ込みだったのでゴア描写は期待してなかったのですが、直接的な描写は生爪くらいなのですがそれでも最近のモンスター出して恐怖描写と勘違いしてるようなクソホラー邦画の濫立から鑑みるとかなり頑張っていると思いました。26歳OLの殺害描写も雨の中で片手はほぼもげかけている様な切断傷と両足のふくらはぎに肉がガッツリ見えているような重傷を負って泣きながら這いずって逃げる女の脚の傷に親指を突っ込んで引き釣り戻す犯人のムーブとかは100点満点で10万点あげます。ほめてとらす(゚∀゚)

他方でミステリーの本筋に関しては、割りとオチが中盤でわかっちゃったのでイマイチ感がすごかったです。尺の問題も有るので仕方ないのですが、あ、これ事件の真相と絡んでいるな的な要素が有りまして、主人公の生い立ちや両親との関係性、ゆっくりみたいに脈絡もなく生えてきた元同級生の彼女、阿部サダヲ氏個人の容姿を活かしてそこから更にわかりやすくサイコパスっぽい人物像で描写した榛村のキャラクター等からオチの唐突感は無いので丁寧な脚本だと思うのですが、意外性も皆無なんですよね。

総評としては冒頭の誘拐した子供を拷問にかける場面と唯一否認している26歳OLの惨殺描写は最高でしたけど映画としては正直退屈でした。一緒にハシゴして観た「流浪の月」がこちらこそ完全ノーマークだったのですが、ヒロインの彼氏でDVクソ野郎役を演じた横浜流星氏がこの人は日本のルトガー・ハウアーになれる逸材だ!とワイ氏大絶賛な本作の榛村どころじゃない女の腐ったような男パラメータがカンストしたサイコ野郎を大怪演してしまったので、それを観て大満足した後でわかりやすいサイコパス出されても……ってな印象だったです。まあミステリー小説の映像化って人気の題材ですが映画として完成度高い作品に仕上げるのは難しいと思います。市川崑は偉大だったってわかんだね。


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