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「キャッシュトラック」ネタバレ有感想

「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」でメジャーデビューしたガイ・リッチー監督作品。タランティーノ以来の天才が来た!と当時は感動したものですが、以後のフィルモグラフィーは正直悪くないけど微妙か普通に「キング・アーサー」みたいなクソ映画撮ったりまあパッとしなかったんですよね。

本作はその「ロック、ストック~」で俳優デビューしたジェイソン・ステイサムを主演に起用した作品で独特の台詞回しと洗練された暴力描写、くるくる変わる場面設定が原点回帰的ですが、ストーリー自体は監督のフィルモグラフィー中でもかなりシリアス寄りの作風となっています。

警備会社で現金輸送車の襲撃が発生して警備員が殺害される事件が発生した後で、その会社に主人公「H」ことジェイソン・ステイサムが入社した所から物語は始まる。入社時の適性検査では適性ギリギリで合格、入社後も寡黙で人付合い下手な「H」は同僚から侮られますが、再度発生した現金輸送車襲撃事件では動揺する同僚を尻目に「H」は拳銃一丁で強盗グループを圧倒。現金を守り通すのみならず、泣きべそかいて敗走する犯人を追い回して皆殺しにした事で一躍ヒーローとなりますが、他方で彼の同僚は冷徹に犯人を皆殺しにした彼はサイコパスでは?と疑念を抱き始めます。「ジョン・ウィック」あたりから増えはじめ、今年2021年も「ミスター・ノーバディ」という大傑作を排出した「日常ではパッとしない評価のおっさんが、実は触ったらそいつら皆殺し確定のヤバい奴」映画です。

主人公「H」の正体は裏の世界では伝説的なギャングで過去に行き釣りの強盗事件で息子を殺されており、復讐のために強盗絶対ぶっ殺すマンになっていたのでした。彼の手段を選ばぬ復讐にはFBIも監視しつつ協力します。なぜなら「H」の標的は無残に拷問にかけられてぶっ殺されても社会に何の影響も無い犯罪者ばかりなので。表は警備員、裏はギャングスターとして「H」は息子のために死体の山を築いていきます。なんというか俺たちのガイ・リッチーが遂に帰って来た!ですよ本作は(゚∀゚)この手の話で男は痛めつけるけど女性や子供には手を出さないみたいなファッキンポリコレ映画を見ると地獄に堕ちやがれマザーファッカーって気分になってクソ映画レッテル待ったなしなのですが、そこは帰って来た俺たちのガイ・リッチー。男を拷問しても犯人を自白しないと、男の恋人の顔にビニール袋かぶせて目の前で窒息死寸前に追い込んで情報を得るとかします。復讐を選択肢にするなら女子供は勿論、神だって躊躇なくぶっ殺すのは当たり前って伍子胥も言ってたので本当にこの辺の男女平等にぶっ殺すムーブは最高です。今回の感想でワイ何回ぶっ殺す言ってますかやだなあサイコパスちがうロボチガウロボチガウ(゚д゚)とはいえ、同じ犯罪組織も疑わしきは問答無用で皆殺しムーブを繰り返していては全面戦争待ったなし。部下から泣きつかれた「H」は警備会社に入社して現金輸送車を餌にして息子の仇敵を釣り上げる事を画策したわけです。

息子の仇敵は伝説的ギャングスターである「H」から見たらクッソつまらない小物でした。米軍兵士崩れで「俺達は兵士だ。マフィアじゃない」とゴミクズ以下の社会のダニの癖に自己評価だけは一丁前というキャラは「ウォンテッド DEAD OR ALIVE」(1986)で「俺は戦士だ。テロリストじゃない」と嘯いたジーン・シモンズが演じるテロリスト役を彷彿とさせるウンコ虫っぷりが素晴らしい。ちなみにジーン・シモンズは彼を追い回すバウンティーハンターがルトガー・ハウアーだったので「お前は戦士なんかじゃない。クソにたかる蝿だ」と一蹴されて最後は口に詰め込まれた手榴弾のピンを抜かれて爆殺されました。人間が戦闘用レプリカントに勝てるわけないから仕方ないね。

「H」とSWATに追い詰められた犯人グループは彼の息子を殺した犯人を除くと銃撃戦や仲間割れで死んでいきます。息子の仇敵を追い詰めた「H」は彼に息子の検死報告書を読ませると息子が撃たれた箇所と同じ箇所に銃弾をブチ込み、最後に息子の名前を告げて彼を射殺すると、悄然と復讐を果たした孤影は夜の街の闇に去っていくのでした。完璧な筋立てです。遂に俺たちのガイ・リッチーが帰って来た!!カッコ良すぎる完璧なラスト!!!

「ロック、ストック~」では監督の母国製ブレン軽機関銃をクローズアップした描写を魅せたように今作もグロックの様なメジャー製品だけでなくH&K MP7や同G-36、AA-12、SPAS12、SIG/SAUER P226等、変わり種の銃をステージガンとして使っている所もガイ・リッチーらしさが出ているのではないでしょうか。

劇場公開当時に仕事が多忙で映画館イケないイケない泣き言言ってる間に公開終わってしまったのですが、当時の自分をタイムスリップしてぶん殴りに行きたくなったくらいの傑作です。命乞いをしようが泣きわめいて無抵抗だろうが復讐のためなら容赦なく皆殺しにするジェイソン・ステイサムの息子の敵と思しき奴絶対ぶっ殺すマシーンぶりがとにかく痛快。素晴らしい!

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