シラス・法学chへの道
先日、「シラス法律チャンネルあったらいいのにな~♪」なんて、軽い気持ちでツイートしましたら、意外と反響が大きかった(?)ので、ちょっと考えてみました。
https://twitter.com/yudeta_ito/status/1538122085738098688
▼法律といっても切り口はめちゃくちゃいっぱいあるのですが、
まず結論から申し上げます。(←法律討論会スタイル)
▼やっぱ刑法でしょ!!!!
いやそれお前が好きなだけだろ! まあそうなんですけど。。。
▼それぞれの法律(ざっくり憲法、民法、あと行政法?)の考え方を勉強するのも面白いのだが、やっぱりフツーの人の興味をひくのは「刑法」ではないか?
▼刑法は一番身近で考えやすく、そして一番「人間という存在とは」を問うものだと思う。
▼とはいえ、「昔話法廷」(©NHK Eテレ)みたいなのは、もう作られているから、そういうのじゃない、ゲンロン/シラスならではの切り口がいい。
▼繰り返すが
ワイドショー的なとり上げ方はしたくない。勉強チャンネルである。
▼まずは、1回でもイベント開催を目指す。
トレンドとして考えつくのは
・(拘禁刑導入に見る)刑罰の意義
・(侮辱罪改正に見る)刑法の意義
だろうか・・・。
お堅いかなあ。
39条(責任能力)でもいいですけど、ちと”重い”ですよね・・・。
あ、少年法改正?(18歳への成人引き下げに伴い、”特定少年”導入等)。少年法はまた別の重要さと面白さがあるのだが、私はちゃんと授業を取ってなかったため、もごもご・・・。
でも、一般の方々にも広く趣旨を理解してほしい法律ではある。
▼とにかく刑法の魅力を語りたい(語ってほしい)!
何がいいかって刑法は「総論」から面白い! (※個人の感想)
刑法は、総論も各論も、論点が知の体操ってかんじで面白いのだ!!!!
民法総論が面白いか?!(※個人の感想)
▼あと、日本の現在の刑法はドイツ(プロイセン)のやつがもとになってるらしく、やたらドイツ語が出てくる。それがいちいちカコイイ。ちょっと昔の医療現場みたいで、オタク心がくすぐられる。
▼もちろん、人が人を裁くことの困難さ、また刑法が、体や心が傷ついたり命を失ったりした被害者のいる重大事件、さらには加害者の自由や命を奪う極刑を定めた法律であることにかんがみれば、あまり面白おかしく扱うことは風紀を乱すことになりかねないため、慎重になる必要はある。忘れてはならない。
▼ただ、私は刑法の世界を少しだけ知り(さらに仕事で少しだけ関わることによって)「人が人を裁くって無理なんだな」と思うと同時に、「刑法を勉強し実践する意義は、その無理にずっと真摯に挑戦し続けることなんだ」と思ったことである。
これが・・・これがまさに人間的営為なのだよ! ワトソン君!
▼裁判員制度とか、いろいろご意見あると思うんですけど、とにかく刑法の世界を知ってほしいんです。
「お白洲で誰か頭のいい人たちが裁いてくれたら、それでいい」じゃないんです。
犯罪者も犯罪もあなたたち、私たち一人一人のことなのです。犯罪は自分たちに関係ないことじゃない!
…と、シラスにも登壇された精神科医・松本俊彦先生の本『誰がために医師はいる』を読んで一人アツくなる俺。
アディクション治療がご専門の松本先生は、罪を犯した少年の矯正(治療)や司法の場(いわゆる精神鑑定のことだと推察します、理解が間違っていたらすみません)にも関わっていらしたそうです!
むしろその話も聞きたいよシラスで!!!!!
▼江戸時代の捕り物とか見ていると、すべてが現行刑法+刑事訴訟法上アウト。
・非道な方法で自白を強いる(=特別公務員暴行陵虐罪)
・自白偏重主義で物証なし
・弁護士がいない
・刑罰が過酷すぎる
すべてがアウト! なので、お白洲シーンとかも結構ツッコミながら見てる。え、時代劇は好きですよ! 御家人斬九郎とか、新しい必殺仕事人とか。最高。(ちなみに私刑も仇討も現行法では当然にアウトです・・・)
▼だいたい、日本人(大きな主語)は、自国の刑事法や刑事裁判について知らな過ぎじゃないでしょうか
・検察と警察の違いがわかっていない(キムタクとか名取裕子が検察)(捜査一課長、相棒などなどが警察)
・検察と刑務所は法務省管轄(行政)、裁判所は司法(三権分立で習いました)
・日本の法廷に「木槌」はない! 全国どこの法廷にもない!!!!
・死刑を執行するのは裁判所、ではない! みんな捜査と訴追と裁判と刑罰がいっしょくたになっている・・・。
・推定無罪です
とにかく知ってもらわないと、市民の誤解と無関心が全然減らないし、私も学部卒業してからというもの、いちいち一般人に説明して20年・・・いい加減疲れました。
司法制度をみんなの目で見て、おかしなところがあればそれは直していってほしい。いい司法制度になってほしいと思っている。
ただ、市民感覚が一番通用しないのが刑法の世界だと思われます。
それは、刑法の成り立ちじたいがそうだからです。相容れないから。
市民感覚をそのままにしたら、リンチし放題、復讐・仇討し放題、刑罰は(時の為政者の都合次第で)めちゃくちゃ重くなる。それだと困るから法律で定めておるんです。
刑法は法律の中でも一番「人間を扱う」のに「論理的(感覚や情緒からは離れる)」だと思う。
その矛盾、バランスがたまらないんですよね。
というわけでちょっとずつ種をまいて、多くの人が「法学・法律・刑法イベント見たいな~」という気持ちになってくれたらいいな、と思うわけです。
哲学が神学の婢なら、法律は哲学の執事、くらいには言えると思うんです。いかがでしょう・・・?
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