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衣類と洗濯の理想の関係について

昨年末にオールユアーズさんと、「衣類と洗濯の理想の関係」をテーマに共同コンテンツ制作や製品企画を行うというパートナーシップ締結の発表をしました。

さて、「衣類と洗濯の理想の関係」というテーマについて、僕ら(僕かな?)が考えてること、このパートナーシップで何をしようとしてるのかについて、少し説明してみようと思います。

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僕らもこれまでにいくつか衣類用洗剤を開発してきました。

僕らは当たり前のように、「汚染布」という様々な汚れがついた布を使い、ビーカーワークで洗浄力のテストを行い、こういう繊維まで洗えるにするなら中性で、洗浄力はこの程度と、過去の経験則や知見に基づいて開発を進めてきました。

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洗濯用洗剤の開発は、非常に高度なマーケティング的側面があって、生活者のニーズをいかに拾い上げて、形にしていくか、というところでは、物凄い進化を遂げてきたジャンルだと思います。

合成洗剤が登場したばかりの頃は、洗浄力や白さ、いかに汚れが取れるかが最重要でした。その後、節水や時短志向への高まりから「すすぎ一回」や「少量でこんなにキレイ」商品が開発されました。部屋干しが増え「生乾きの臭い」に注目が集まれば、部屋干し専用や、生乾き臭を防ぐ、というような機能が。匂いのブームとなれば、匂いがしっかり残る、持続するという要素が追加され、さらには洗うという行為そのものも「汚れたら洗う」から「着たら洗う」という習慣に徐々にシフトさせていったわけです。最近だとジェルボールだったり、ワンプッシュノズルだったり、洗剤投入の手間や計測の面倒さを解消するようなところに配慮されてきています。

とにかくこの20年、30年での洗濯用洗剤の進化は目を見張るものがあったと思います。

洗濯や洗剤の進化・発展への疑問みたいなもの

ただ、ふと立ち止まって考えた時、こういう常に生活者のニーズを先回りしていったり、様々な付加機能を付けていったり、こういう進化とか発展って、本当に生活者にとって良いものだったんだろうか、と思ったんです。

そんな風に考えるきっかけは2つありました。

1つはセンタクカイギというプロジェクトを始めて、洗濯家として活躍されている中村さん(洗濯王子)の考えに触れたことです。

(「洗濯から、セカイを変える」という信念)

洗濯は料理やカメラと同じぐらい奥深い趣味になりうる

中村さんは、「スローランドリー」なんてことを提唱さえていて、洗濯は実はものすごく楽しいものだ、と語ってます。でも、今の「洗濯」は、どちらかというと、面倒で面白くなく、出来ればやりたくない家事として位置付けられ、それを解消するような方向での進化しかない、と。

洗濯についてそんな風に考えたことはなかったの、これはすごく新鮮というか驚きでした。

中村さんは、洗濯を「料理」とか「カメラ」と同じような趣味のレベルにもなりえると言ってて、実際、それを実践されてます。自宅にセンタクアトリエと名付けた洗濯専用のスペースをつくり、そこには縦型からドラム式、二層式洗濯機まで複数台の洗濯機がずらっと並んでて、それはまさに「趣味部屋」の趣を呈してます。

最初、洗濯がカメラみたいな趣味になりえる、という話を聞いた時、おぉと思いつつ、そこまで深みあるかな、という疑問もありました。でも、中村さんの話を聞いたり、中村さんのYoutubeやInstagramなどで洗濯の勉強をし始めると、僕の中で「洗濯」というものの位置付けがかなり変わっていったんです。

洗濯って、かなり奥が深いんですね。洗う対象一つとっても物凄くバリエーションが広いわけです。シャツという形態は同じでも、繊維や作りが違う。そうすると、それは洗濯にも影響したりするんです。

何も考えず、市販の洗剤と、洗濯機のおまかせコースだけに頼り、あとはクリーニング屋任せというような「やりたくない家事」としての洗濯をしていては知ることができない、深い世界がそこにはありました。(まだ僕はその入口ぐらいにいますが)

こんな風に洗いたいな、この服だとこういう風にすれば洗えるかな、と色々工夫したり、考えたりして取り組む「愉しむ洗濯」が少しづつ分かるようになってきました。

そうすると、洗濯機のことが気になったり、そもそも服のことも気になったり、僕はアイロンが苦手ですが、そこをどうやって克服するかを考えだしたり、洗濯との向き合い方はかなり変わったなぁと思ってます。そうすると、今の洗剤の進化とか発展というのは、それでいいのかなという何か違和感みたいなものを感じるようになったんですね。

そこまで洗浄力いるの? それエマールでいいんじゃない?

きっかけの2つ目は、オールユアーズの木村さんの書いたこのブログです。

中村さんとはまったく違うアプローチですが、木村さんはエマールで全部まとめて洗っちゃえばいいやんと提案するわけです。

このnoteはものすごい数の「いいね」を生み、かなりバズってましたが、これはある意味、多くの一般人が、こういうものを求めているということを改めて再認識するきっかけにもなりました。

僕らが洗濯洗剤を開発しようとすると、なかなかこういう発想は出来ません。どうしても、中性洗剤でオールマイティに使えるものとなると「洗浄力が不足する」と考えてしまうわけです。その「洗浄力」というのは、所謂、「汚染布」の人工汚れがどれだけ取れるか、という尺度だったりするんですが、そもそも今の時代、普通に生活してて、そこまで服って汚れてないわけです。

多分、一番の汚れとしては皮脂汚れかなと思うんですが、逆に言うと、そこがきちんと取れたら、他の酷い汚れは部分洗いや、浸け置きとか、別のアプローチを取ればいいんじゃないかということになります。

日本のように各世帯に洗濯機がほぼ普及してて、毎日でも洗濯ができる環境があるとなると、普通の大人が洗濯をするときに求められるのは、洗浄力や色んな付加機能ではなくて、シンプルに、とりあえずこれで洗っておけば、だいたい何でもOKというアバウトさだったりするのかもしれません。

このnoteも、洗濯洗剤というアイテムについて考える大きな切っ掛けになりました。

洗濯に自己決定感を取り戻すべく

中村さん、木村さんの洗濯に対しての考え方は、正反対に思えるかもしれませんが、実は根底では通じるところがあるのかなと思ってます。

それは、「もっと洗濯について詳しくなったほうが良い」、極端に言ってしまえば、「洗濯について、もっと自己決定感を持っていくべき」というような話になるのではないかと思ったんです。

誰もがほぼ毎日のように向き合うものなのに、あまりにも知らないことが多すぎるし、受動的過ぎるんじゃないかという懸念です。

そんな折、今回、オールユアーズさんとパートナーシップを発表させて頂いたわけです。

衣服と洗濯の理想の関係」をテーマに共同のコンテンツ制作や製品企画を行う、というのが、このパートナーシップの目的です。

考えてみれば、僕らが実際、洋服を作ってるメーカーさんと洗濯についてきちんと話をしたことなんてなかったんですね。

今回のオールユアーズさんとの取り組みを通じて、僕らは、今、求められる「衣類用洗濯洗剤」と、それを取り巻く洗濯環境や、洗濯意識について、アップデートしていけたらなと考えています。

多分、オールユアーズさんは、洗濯を通じて、衣類との関係を見直したり、衣類をもっと長く大切に使ってもらうためのヒントを提供できたりすることを願ってられるのかなと思ってます。

いずれにせよ、ブラックボックスになりがちな「洗濯」という行為について、洗剤と衣類の両方の観点からアプローチして、洗濯に自己決定感を持てるようになる人が増えたらいいんじゃないかなと、考えてます。

このパートナーシップ第一弾として、こんなコンテンツの連載を開始してます。僕のこのnoteにも展開していきますが、オールユアーズさんのサイトでも読めますので、ぜひ、ご覧ください。


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