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会社をたのしむ。らしさを追求する。

前職時代、2007年に経営メンバーに送ったメールがでてきた。
創業から10年以上経ち、少しづつ事業も大きくなり、社員も増え、組織づくりも進めて、「ちゃんとした会社」(という妄想)になろうと色々試行錯誤、模索してた時。
読み返しても、なんちゅう青臭さなんだろうとは思うんです。自分は「変な人」だ「変わった人」でありたいと願ってる凡人みたいな感じですかね。そもそもメール長すぎやろと思います。ストレングスファインダーの「内省」資質強めの人の特徴ですかね。
でも、まぁ青臭いけど、今も考えてることはあんまり変わってないなと思うし、木村石鹸でもこれから考えていかないといけないこともあるなと思ってます。

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ここんとこ会議やなんやかんやで少し違和感を感じることがあって、それがなんだろうかとずっとひっかかってたんですが、昨日ふとした折にそれを言語化できそうに思えたので、ここに書いてみようかと思います。ただ、実はあんまり整理されていなくて、でも整理されてしまうと、あまり意味がないかなぁと思って、あえて混沌としたまま、書き連ねていこうかなと思ってます。

何かを考えたりするときに、どうも最近、ワクワクするかとか、愉しいかとか、そういう視点が欠けちゃってるなぁと思うんです。
なんでだろうなぁと考えていたわけです。

昔は、何か1つルールを決めるにしてもワクワクしたんです。ほんとに。それこそ、ワークフローつくろうとか、教育ツールつくろうとか、何をやるにも楽しめた。でも、今はどうもそれがない。ボクもないし、みんなにもない。なんとなくですが、「他の会社」や「世間一般」や「社会」やら、そういう曖昧、漠然としたものの基準や方法、考え方をそのまま鵜呑みにして、自分らしさや、自分たちなら、という視点をまったく持たずに、物事を進めたり、決めたりしているなぁと。それが原因じゃないかなと思ったんですね。そうやって決まっていくことがどんどん増えていって、それなりによくある会社っぽくなっていってて、そのことは決して悪いことではないのかもしれないけど、なんとなくボクの感覚では、どんどん型にはまっていって、無味無臭、害もないけれど、とりたてて注目すべきところもない凡庸な人に成長していってるような気がしてならないわけです。

これは自戒の意味も込めてます。誰かを批判しているわけではないです。このニュアンスが伝わるでしょうか。
少なくともボクは、ユニークな会社でいたい、と強く思っています。どこにでもある凡庸な会社よりも、何か光るものがあるユニークな存在でいたい。そう思ってます。会社としてだけでなく、その組織で働く人たちがみなユニークであり、そのユニークさとユニークさがくみ合わさってさらにユニークである、それが理想です。

ユニークというのは単に面白いってことではなく、他とは一風違った、しかしその違いが別に奇をてらったものではなく、きちんと自分たちの頭で考え、自分らしさに対して筋が通っている、というそういうあり方のことを意味しています。

今はどうなのだろうと考えると、「自分たちらしさ」というものがぼやけているのはもちろんですが、それがぼやけていることに頓着せずに、なんとなく周りのみんながやっている方法をとっておけば無難だろうぐらいのノリで、たいした考えもなく、いろいろなものが決定され、進んでいってしまってるのではないかなと思ったわけです。

強烈な固有名詞ではなく、曖昧な普通名詞へ。そんな感じがするんです。

こんなことを感じたのは、実は随分前にもあって、そのことを、今、思いだしました。1つの事例として出してみます。あくまでも一例ね。

ボクの役職を「副社長」として、「木村副社長」と呼ぶようにしていこう、みたいなことが役員会議で決まった時がありました。

会計士の先生から、「もうそろそろ企業としては、木村さんでは恥ずかしいですわ」と指摘され、やはり格とかそういうものも考えていかないといけないので、きちんと役職をつけて呼ぶべきだろう、みたいなことで、そうなったわけです。

いちおう納得して、そうなったんですけど、ボクにはずっと違和感がありました。そうやって、えらいさんの役職をつけて呼ぶことが、どうにも自分が考えている会社の像と一致しないというか、これって「ただの会社」だなぁという感じがずっとしていたのです。(「ただの会社」ってのが悪いというわけではないのですが)

よい意味でも悪い意味でも、フラットな関係、役職や職位を抜きにして突っ込めたりできるそんな人間関係が、うちの会社らしさの一つなのに、と思っていたんです。もちろんそういう呼び方に変わっても、別にだから大きく何か変わったかというとそういうわけではなかったですが、でも、なんかこれは「らしくない」方法だぞ、と感じたことは覚えています。

が、人間ってのはえらいもので、そういう違和感みたいなものも慣れによって緩和されていき、そのうちそんなことすら考えなくなってしまい、それが当たり前、普通のことのようになってしまったわけです。

これは一例にすぎないんですが、結局、つまるところ、考えていないのです。自分らしさや、自分がこうありたいというその姿を。だから他の多くの会社がそうしているという最大公約数的な規範ですべてが決定されていってしまう。もちろん、考えて考え、最終的に「木村副社長」なら、それはそれでいいのですが、重要なのはそのプロセスだと思うんです。

こんなことはすごく些細なことかもしれませんが、そういうものの積み重ねで、どこにでもあるけれど、どこにも魅力のない会社ってのができあがってしまうんじゃないかな。ボクはそれがすごく怖い。いまさらながらに怖い。

経営のおける意思決定とか、会社のルールなんてものに、唯一正解なんてものがあるわけがありません。

どれかはこちらの側面ではメリットがあるけど、あっちではデメリットだ、みたいなことばかりです。だからほとんどのことは「判断」ができない。判断というのは、材料さえ集まれば、どれを選ぶかが決まるような決定のことです。「決断」は違う。「決断」は最後はえいやーです。正解がない。だから、何を選びとるのか、なぜそれをやるのか、というのは、つまるところ、その会社の個性であり、ポリシーなのです。

さっきの「副社長」の話でいくと、役職なんてつけない。社長でも、平社員が「カイさん」と気軽に声がかけられるような環境でいく、こういう決断だってありなわけです。それを選べば、多分、威厳の問題だとか、けじめの部分とか、いろいろデメリットもあるでしょう。でも、自分たちらしさ、みたいなものは貫ける。そこにはきっとメリットがある。

誤解を招くと駄目なんでいちおう言っておくと、いちおう「ミッション」には、かなり忠実に経営をしてきたし、意思決定を下してきているとは思っています。

ただし、自分たちらしさとしてどうありたいか、どんな存在でいたいか、というところに照らして、何かできているかというと、あまりできていないなぁと気づいたんですね。

話がもとにもどりますけど、ユニークであるためには、自分たちで考え、自分たちがワクワクして、そして誰かに伝えたくてしかたなくなるような、そんな意思決定や行動をしなければならないと思うんです。

教育プランを練るにしても、もっと楽しんでもいいかもしれない。採用手法だって、他にはできないやりかただってあるかもしれない。人事評価だって、面接だってそうだ。経費予算の割り振りだって、ノートパソコン禁止措置だって、もっと楽しめる。もっとユニークな方法がある。自分たち「らしい」やり方があると思うんです。

ここまで書いてて発見がありました。
要は、ボクは、自分の会社をもっと自慢したいわけです。人に。うちはこんなにユニークですよ、こんなに面白いですよと。それを社員数とか、売り上げ規模とか、制作実績とか、そういうものだけじゃなくて、そもそもの会社自体の人格のすばらしさ、楽しさをね、アピールしたい、アピールできる会社にしたいんだなと。

昔話で申し訳ないけれど、まだ東京の数十人ぐらいのスタッフしかいなかったとき、なぜか誕生日にみんなで誕生日プレゼントを買うという習慣がありましたよね。このメンバーで知っているのは●●●ぐらいかもしれないけど。誕生日にはみんなからカンパして、何かがもらえる。人数が増えていって、自然となくなってしまったけど、ああいうものってすごく素敵だなぁと今でも思います。人を大切にするというか、みんなで人を祝い合うというあの姿勢。ああいうことって、自慢できることだと思うんですよね。もっと昔だと、送り火の日にみんなが社長の家に集まるみたいなことをやってたり。

随分昔に、某大学でセミナーをしたときに、自分たちの会社がどんな会社かってことをまとめました。

  • 結果よりプロセスを重視する

  • 小さな成功体験を与えて成長を育む

  • 全員が教育に取り組む

  • 何をするかより誰と働くかを重視する

  • ビジネスモデルよりも人/人の関係の強さがビジネスの強さ

  • 自分たちで考え、自分たちで実践していく

  • みんなでイベントを楽しむ、共有する

そんなことを書きました。あの当時、これはボクにとってはリアルだったし、実際、会社もあそこに書いたとおりだったと思います。あの当時の会社は今の比べれば全然小さかったけど、でも自分にとっては、どうだ、他のこんな会社あるか? こんなすごい会社あるか? と自慢したくなる会社だったんです。

ワークフローをつくるプロジェクトがあったり、ゲーム方式で学ぶためのカードつくったり。会社内で使う用語集をつくったり。うまくいかないことも多々あったけど、自分たちで考え、工夫して、実践してたなぁと思うわけです。それが今は、社員数とか、売上規模とか、制作実績とか、そういうものがまっさきにアピールの対象になる。会社の制度とか、会社の魅力そのものがアピールにならなくなってしまった。なんかそれって悲しいんですね。

ボクからの提案は1つです。もっと「会社」を楽しもうということです。「仕事」を楽しむことは当然、もう1つ上のレベルで、「会社」を楽しもうと。ユニークになろう、ということです。自分たち「らしさ」とは何かを考えていこうということです。

そうすれば、優秀な人材だって今よりもっとやってくるだろう。その魅力にすこし触れば、もっと離職率は下がるんじゃないかな。

だって、今よりみんな平均給与もとんでもなく低くて、事務所も汚くて、将来性もよくわからなくて、、、そんな時のこのメンバーみたいな優秀な人が入ってきてくれてるんだから。なんとなく理解してもらえますかね。

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