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正しい採用要件定義の威力

LAPRASという会社でCOOをやっている二井と申します。こちらは 2019年採用Advent Calendar の20日目の記事です。

採用に関するアウトプットということで、今回は正しい採用要件定義の威力というテーマで書かせていただきます。担当領域がエンジニア採用に特化していることもあり、エンジニア採用に寄ったお話になります。

普段は経営業務の他にCTOやEM、人事の方向けにカスタマーサクセス・セールスを担当しておりまして、今日は強い気持ちで「採用要件定義を頑張るといいことがあるよ」という話をさせて頂きます。

尚、タイトルでは【正しい】採用要件定義と書いておりますが、今回の記事の内容が唯一解ではないと考えておりますので、これ以外の方法もあるよ!というフィードバックやコメントをお待ちしております。

採用要件定義とは?

採用要件定義とは文字通り、特定の採用ポジションに関する【要件】を【定義】することです。
クライアントの壁打ちや自社採用をやっていく中で、世の中会社のほとんどは採用要件定義が甘い状態で採用活動を進めているため、要件定義をしっかりと行うことで採用のパフォーマンスが上がるよというお話をさせて頂きます。
*ここでいう採用要件は求人票と完全一致するものではなく、主に社内文書としての利用を想定しています。

採用要件定義が甘くて起こった悲劇


以前のイベントで採用要件定義が甘いことでどのような悲劇が発生するか?というプレゼンをしました。
発生する主な悲劇としては、採用プロセスに関わる人の間で発生する認識の齟齬による機会損失、採用した人が活躍しない問題などがあります。また、そのほかにもスカウトメールの品質が下がるなども挙げられます。

このような悲劇を防ぐためにも採用要件定義はしっかりと行いましょう。

どうやって要件定義を行うか?

正しい採用要件定義の威力について考える前に、採用要件定義のプロセスについてご紹介します。

1. 採用要件の素案を用意する

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まずは形式にこだわらず、チームで欲しい人物(ペルソナ)・能力についてブレストをしていきます。どういう技術を使っているか、社内/社外で似ている人はいるか、どういう経験をしてきた人か、ざっくばらんに話していきます。


2. 出てきたペルソナの採用要件化

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次に、ブレストで出てきた内容を採用要件化していきます。要件とペルソナを切り分けていきます。

3.MUST条件とWANT条件の切り分け

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採用要件化された要素をMUST条件(=その要素を全て満たさないと採れない条件)とWANT条件(=持っていると嬉しい条件)に分けます。
ここで大事なのはMUST条件にフォーカスして、WANT条件のことは忘れることです。採用担当がソーシングする際やエンジニアがスキルチェックで確認する際に判断の拠り所にするのはMUST条件です。WANT条件はペルソナ設定には役立つが、意思決定には関わらない要素として捉えましょう。

4.MUST条件について、iOS開発経験○年、マネジメント経験、主体性など解釈の分かれる単語の曖昧性をなくす。

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採用要件に入ってくる要素の中で抜群の曖昧性を誇るのが、【実務経験○年】という言葉です。曖昧な基準を残してしまうと、①人事とエンジニアの間でフィードバックループが回らない。 ②採用すべきでない人を採用してしまうなどのネガティブな要素が残ります。
MUST条件の各項目について、人事とエンジニア、エンジニアとエンジニアの間で解釈が分かれない形に変更しましょう。

5. 各項目の確認方法を決めて、選考プロセスで判断可能な状態にする

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解釈の分かれない形にしたあとは、その要件を満たすかどうかを確認する方法を決めていきます。つまり選考プロセスで確認するポイントを決めていくのですが、コツは【○×で判断可能な粒度にすること】です。
そしてそれぞれの要素を確認できる選考方法を設定していきましょう。

6. 要件のPDCAを回す

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一度作成した採用要件が完璧なわけではありません。採用プロセスを回していく中でPDCAを回していきましょう。

正しい採用要件定義の威力

では、正しい採用要件定義が威力を発揮するとどういったメリットが生まれるでしょうか?

人事・エンジニア(現場)の共通認識が出来る

採用要件定義が正しくできている状態として「人事とエンジニアが採用要件について強く共通認識を持てている」ことが挙げられます。共通認識を持てることによる威力は、実際にオファーを出せる人にアプローチ出来る率が高まることです。元々、採用の後工程(面接やスキルチェック)で判断していた内容について一部でも理解があれば、スカウトを送る際にフィルタすることができます。

選考プロセス(特にスキルチェック)の精度が高まる

人事にとって、エンジニアのスキルチェック結果は踏み込みにくい領域の一つではないでしょうか? 逆にエンジニアにとっても、人事に対してフィードバックがやりにくい領域とも言えます。ですが、【○×で判断可能】な形にしておくことで、異なる職種感でもフィードバックの共通言語が出来ます。
また、選考プロセスにもポジティブな影響が出ます。

採用ストーリーが洗練され、アトラクトができるようになる

正しい採用要件定義が出来ると、ポジションの明瞭度が高まります。その結果、候補者に「あなたが欲しい」と伝えられる要素が増えます。また、選考プロセスに出てくる人が欲しい人の要件に共通理解を持つことで、候補者に対して、複数人から一貫した内容が伝えられます。
候補者が入社を検討する際に、誰でもいいので来て欲しい、この仕事を出来るのはあなたしかない、どちらの伝え方の方が口説けるでしょうか? アトラクトの観点でも、正しい採用要件は威力を発揮します。

終わりに

採用要件定義が大事だという暑苦しい話をしてしまいました。採用要件化のHow to や理論的な正しさにはまだまだ改善の余地を感じていますが、そういったディスカッションに付き合ってくれる方、自社の採用要件定義を手伝って欲しいという方がいらっしゃれば、ぜひコメントやDMをください!


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