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オイラーの等式

 オイラーの等式とかいう式をご存じでしょうか? かなり有名な式ですので数学は苦手だけど、この式だけは知ってるって方多いと思います。

この式が何故有名なのかというと、数学で重要な5つの数が1つの等式でスッキリとまとめられて「美しい」からだそうです。式中の数に触れておきます。

・円の直径と円周の比である円周率π
・自然対数の底でありネイピア数とも呼ばれるe
・2回かけるとマイナスになるビックリ数の虚数i
・コイツに何を足しても何にも変わらない、和の単位元0
・コイツに何を掛けても何にも変わらない、積の単位元1

こいつらを1つの式でまとめてるんですよね。どれも数学を勉強してると頻繁に目にする重要な数なんです。友達に「一番好きな数式何?」って質問すると「オイラーの等式!」と返ってきます。知り合いの数学科も同じこと言ってました。筆者もこの等式は非常に便利だとは思いますし、直観的にきれいな形だと感じます。しかし、ひねくれた筆者はこんなことを思ってしまうのです。

「ただの定義じゃん」

 確かに一見何の関係も無さそうな5つの数が、それも数学上トップクラスに重要な数が、自然と1つの式でまとめられるとすれば驚愕です。この世界ってよく出来てるなと改めて感心します。

 ですが、実はオイラーの等式って、自然に成り立つ式ではないんです。オイラーの等式を認めると色々とつじつまが合って便利だから、認めよう! っていうノリなんです。

 いや、sin(X), cos(X), exp(X)のマクローリン展開の結果使って、最後にiπを代入すれば成り立つじゃないか! と数学に詳しい方は思うかもしれないです。筆者も初めはそう思っていました。しかし、筆者の友人の数学厨が言うには、「指数関数は虚数で定義されてない」とのことです。つまり、exp(iπ)の定義はされていないという意味です。ですから、我々としましては、

sin(X), cos(X), exp(X)のマクローリン展開の結果にiπ入れたらめちゃくちゃきれいな等式が成り立った! これってオイラーの等式っていうんだ! スゲー!

ではなく、

sin(X), cos(X), exp(X)のマクローリン展開の結果にiπ入れたら何かきれいやぞ。でも指数関数って実数でしか定義されてないよな。じゃあ虚数入れたときに、この形になるように指数関数の定義を変更しよう! よっしゃ!めっちゃ便利な等式できた! これがオイラーの等式っていうんか。スゲー!

っていうリアクションが適切だと思うのですね。

 自然に成り立つ式ではなく、人類が都合の良いように定めた式、それがオイラーの等式なのであります。ですから、筆者としましては、自然でないもの、人が勝手に決めた式をあまり美しいとは思えないのです。三平方の定理の方が美しいと思いますね。

 数学が更に発展して、オイラーの等式の必然性が明らかになることを祈っています。


2021.08.25

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