見出し画像

あの日

2年前のある夏の日、私たち家族はコロナに感染した。

まず私が罹り次に夫、そして最後に娘。あの日はコロナで高熱を出した娘を何とか小児科に連れて行くため車を走らせた。

かかりつけの小児科が休診日だったため、他に診てもらえる小児科をやっと見つけて、慣れない道を少しでも早く娘をラクにさせてあげたいと急いでいた。

そんな時事件は起こる。

後ろからサイレンを鳴らしたパトカーが追いかけてきたのだ。一瞬何が起きたのかわからなかったが、警察官の『そこの車、止まりなさい』というマイクを通した声に私は事態をようやく理解した。

何か違反したのだろう‥と思ったのだが、はて何を?と警官に聞くと、どうやら時間帯指定で一方通行の道を知らずに突っ切ってしまったようだ。

時間が違えばセーフだっただけに罰金も減点も悔やまれたけれど、とにかく高熱の娘をいち早く小児科に連れて行きたい一心で私は状況を警官に伝えた。

後部座席でぐったりする娘を抱きかかえた夫は『急いでんだよ!』とチンピラ風に悪態をついた。

だが運転していたのは私で違反したのも私。
とにかく私が警官に状況を伝えると、その警官はパトカーに戻り、助手席に乗っていたもう1人の警官と話をしてまた戻ってきた。

『今回は注意ということにします』
そう言って今回は許してもらえることになった。
私はそんなこともあるのか?と拍子抜けしたが、とにかく良かったと思い小児科への道を急いだ。
夫はまだ悪態をつき、警官への愚痴をこぼしていた。

無事に診察も終えて薬ももらい帰路につく。
娘の熱が下がれば一安心とその日は何事もなく夜になった。

そう後日、警官が自宅にやって来るまでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?