甦る事(黄泉に帰ること)

 わたし達ボンクラ達が心の故郷にしてしまっている映画のジャンルに「スタイリッシュ・ガン・アクション」というのがありまして。例えば、ジョン・ウーの『男達の挽歌』シリーズだとか、レイ・ブラッドベリの『華氏451度』を下地に作成されたらしい『リベリオン』だとか。

 そのような血筋に『ジョン・ウィック』シリーズをおいても良いかと存じる次第です。このシリーズでは『リベリオン』のガン=カタ(銃撃と空手が融合した新しい格闘術)の向こうを張って、合気道と銃撃を融合した新しい格闘術といったところでしょうか。

 うん、わたしも自分で何を言っているのか理解していません。そんなものです、人の一生なんて。わたしたちなんて、所詮みんな夢幻やねん。

『ジョン・ウィック パラベラム』において「テンポよくひとがたくさんしぬ」との情報を得て、急ぎ過去2作を履修した次第です。

 伝説的な殺し屋であるところのジョン・ウィックの帰還とは、即ち、黄泉への帰還のように思われるのです。愛した妻を失い、生の世界から死の世界へ降る道行です。

 重要な事は全て地下で起こります(『ジョン・ウィック chapter2』ではカタコンベ)。自ら封じた武器を掘り起こすのも地下からです。死神然とした死体処理部隊、更には、そこで取り交わされる通貨は金貨なのです。ここに来て神話的な香りが漂います。

 作中、ジョン・ウィックは「ブギーマン」、或いは「バーバ・ヤガ」と呼称されます。中々難しい概念のようですが、下記のblogに詳しい考察が載っております。

 幽霊のような、怖いもの、と言った意味合いでしょうか。日本では「早く寝ないとおばけが来るよ」の「おばけ」に近いニュアンスの模様。

 事程左様に神話と民間伝承をゆらゆらする、好事家垂涎のスタイリッシュ・ガン・アクションでありました。妻の死よりも愛犬がかわいいという謎の余韻を残しますが。犬はいい……犬はいいな……みんな犬になろう。『ジョン・ウィック パラベラム』公開中に間に合えば、馳せ参じる所存です。

Si vis pacem, para bellum.

なんかくれ 文明とか https://www.amazon.jp/gp/registry/wishlist/Z4F2O05F23WJ