おっおっおっおっおぃ、ぽ、ぽぃ、だぁ。

 正気です。いえ、掲題の句は予言者カッサンドラの台詞で、カッサンドラは狂っていますが。何某かの強迫観念に囚われて『アガメムノーン』を履修したので記しておきます。

 「おっおっおっおっおぃ、ぽ、ぽぃ、だぁ」とは、嘆きを意味するそうです。その後「おぉポローン、おぉぽローン!」と続きます。これはアポローン神への呼びかけの様子。予言が降りて来る時はこのように悲鳴を上げそうな気が、確かにします。

 予言に先立って幻視があるわけで、上述のような異様な叫びの後、時勢がごちゃ混ぜになった、ものすごく鮮烈な記述が流れ出したかと思えば壊乱し、さらに進み、壊乱し、下記のようなやり取りがあり、カッサンドラの終幕へ向かいます。

おまえはほんとうに、覚悟のいい女、しっかりした気性だ。
しあわせな人間であれば、そのような言葉をかけられずにすむものを。

 『戦争は女の顔をしていない』とは言いますが(七五調だ!)、『アガメムノーン』は全体として女の話ですね。一人の女を巡って起きた戦争がカッサンドラをして王殺しを幻視せしめ、子や夫を殺された者共の怨念の結実としてクリュタイメーストラーが顕現する、という。どこか超越的な恐ろしさと暗い魅力が充溢しています。

 この頃、「主人公」という概念はあったのかしら?

 さて。イングリッド・バーグマンさんをお迎えして、氏を中心に生活を回さねばならなくなった。調べたポイントを備忘として書いておきます。

・イングリッド・バーグマンさんは日当たりと風通しが良いところが好き
・水をやり過ぎても蒸して枯れるので午前中か夕方に根元にあげると良い
・剪定をしてあげないと余計なところに養分を使わないと行けないから年に2回程それを行う事
・兎に角虫に大人気らしいので色んな病気を点検してそれぞれの殺虫剤を与える事(植物が好きなのか殺虫剤が好きなのかわからん、という境地からが本番と師は語りき)
・専用の栄養バランスに調整された土を用意すると喜ぶ

 一口に薔薇と言っても、草みたいなのと蔓みたいなのと木みたいなのがあり、何やねんと有志を募って調べたところ、「木」という概念は大道合意されているものではなく、「うーん、どっちかというと草よりも木より?」ぐらいの塩梅らしい。ほんまか。

 ついでに、竹は根が同一であることが多いらしく、竹林とは、あれは一つの竹であって、竹は木でも草でもなく、竹であるという説もあるらしい。竹林の中に庵を結んで竹の葉のさざめきに正気を失う老後を夢見る向きもおられようが、あれは一つの竹に包囲されている状態のため、そりゃあ正気と狂気を行ったり来たりすることでしょう。

 それこそ、カッサンドラのように。

なんかくれ 文明とか https://www.amazon.jp/gp/registry/wishlist/Z4F2O05F23WJ