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文庫本を読む女子高校生

繁華街から女子高生が電車に乗ってきた。

手すりに捕まっている。

彼女の黒いトートバックには何かの贈り物についているような飾り。     黄色いガーベラの造花にリボンやフリルがついている。

スカートは膝上20センチくらい。

髪は前髪マッシュルームヘア風、紫のカラーが部分的に入ってる。

アイメイクもしっかりなので、3人先に立っていても赤味のあるマスカラが認識できる。

ボーイッシュな雰囲気の女の子だった。

どこの高校なのか、あの黄色い造花のは何か思い出があってつけているのか、あまりにも彼女の雰囲気と造花の飾りが乖離していたのでつい眺めていた。

ふと周囲と何か違うことに気づく。彼女は読み古されたような文庫を手すりにつかまりながら読んでいたのだ。

違和感というのは周囲の人たちはほぼ携帯を見ているのだけど、さらに遠目で見るようにしてみると私の視界には彼女だけ本を読んでいた。

割と厚みもあり、ほぼ読み終わりに近い様子。後ろには図書館のようなシールが貼ってあったのできっと学校の図書館で借りたのだろう。

ますます何を読んでいるのか気になって仕方なかった。彼女に気づかれぬよう注視していると表紙が見えた。

谷崎潤一郎「痴人の愛」

すごーーーーーーっ、私は読んでいない。

高校生で谷崎潤一郎とはレベルが高い。

女子高生、マッシュルームヘアで紫のカラー、ボーイッシュ風、赤いマスカラ、ミニスカート、黄色いガーベラの造花の昭和チックな飾り、手には文庫本。

渋いではないか。

今日巡りあったいいこと。

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