見出し画像

罵り合えたらイコールかもしれない

またextremeな発想に辿り着いてしまった。疲れ切って帰国して、例のごとく疲れすぎて眠れない。いつものことすぎてどうでもいい。

辻村深月さんのスロウハイツの神様を久々に読んだ。

彼女の作品だと、ぼくらのメジャースプーンでだいぶ心を鷲掴みにされ、そこからいくつか読んだけど、このスロウハイツはまた特別である。ぼくらのメジャースプーンも携帯でスクショしまくるほど私にとっては名言連発の物語であった。優しく痛い、彼女の作品の印象。

若い芸術家(小説家、脚本家、漫画家、イラストレーターなど)がルームシェアしていて、そこに住む人たちのそれぞれの物語とそれぞれの関係性。主人公の赤羽環の強さと弱さと激しさと。相手を分かってて傷つける、攻撃する。読んでて自分を重ねてしまう。

この主人公の環が本当に大事な友達に激しく怒りをぶつけて関係を壊す覚悟で思っていることをぶつけるシーンがあるのだけど、痛々しいし、言い過ぎだよと思うのに、それでも私も同じことするだろうなと思ってしまう。自分がそうだとは思わないけども、環は残酷で正しい、そんな感じがする。違うな、正しいことって残酷だからみんな言わないのかも。

相手に全力でぶつかるって普通の人はあんまりしないのだろうか。私は諦めた相手には全力でぶつからないが、諦めたくない相手にはぶつかってきた方だ。それも全力体当たり、相討ち覚悟。成功したこともあれば、失敗したこともある。こういう話をそもそもしないからなのか、全力で相手にぶつかっていった話をあまり人から聞いたことがない。

パワーバランスが同じである前提になってしまうけど、罵り合えたらイコールになれるのではと思った。罵りって言うと過激だけど、こちらが全力でぶつかった分、相手も全力で受け止めるまたは返してくる、そこで初めて対等なのではと思う。

環も私も一般的に周りから強い人間と思われるタイプの人間は、相手が対等だと思ってくれないケースも多い。だからこちらが強く言えば相手は気圧されて何も言い返せない、言い返しても何倍にも言い返され、結局言い負かされる。自分で書いてても酷い奴。でも悪意があるわけではなく全力なだけ。そして傷つける覚悟も傷つく覚悟もあるつもりである。ただ、それは相手に伝わらないことも多い。

相手が大事だから言う。あんた間違ってる、と。それって悪いことなんだろうか。オブラートになんか包んだら伝わんねーよって思うのは私だけか。

環のあったかさ、冷酷さ、強さ、弱さ、誰よりも感受性が高いこと、優しいこと、久々に感じれてよかった。小説の中だけど、自分よりずっと若くして成功してて、それでも真っ直ぐに自分の道を進む環に元気をもらった。



この記事が参加している募集

#読書感想文

191,457件