見出し画像

島ひるごはんvol.4「図書館司書さんのおしごとin小豆島」

The only thing that you absolutely have to know is the location of the library.
ー Albert Einstein

絶対に知っておくべきたった唯一のこと、それはどこに図書館があるか、である。
アルバート・アインシュタイン

なんだか急に世紀の天才が身近な存在に思えてきました。
相対性理論は全く意味が分かりませんが、図書館好きな私はその場所ならこれまでどこに住んでいた時も把握していました!

私が思う図書館の魅力は、
天才、凡人、老若男女、誰でも分け隔てなくオープンなところ。
さまざまな人がそれぞれの目的で利用する空間ながら、時間を気にせず佇んでいられる心地いい包容力。
際限なく好奇心を刺激してくれるところ。
しかも無料で。

今私がよく利用する小豆島町立図書館は、小規模ながら利用者の興味をひく工夫が随所に見られる空間が魅力のアットホームな図書館です。
そして、こちらに図書館司書としてお勤めなのがみっこさんです。

みっこさんのプロフィール

子供の頃、外で遊ぶよりも図書館で本を読んで過ごすことの方が多かったというみっこさん。
そんな環境の中、自然に図書館司書を目指すようになり、資格を取得出来る大学進学を機に島を離れます。都内で大学の図書館司書などを経験後、出身地の小豆島の図書館司書として島にUターンされました。

今回、みっこさん中心に3人の職員で運営されるこちらの図書館でのお仕事を少し覗かせて頂きました。

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

本の貸出・返却・予約の受付をはじめとして、
新刊リストからの選書(取材した週は約40冊の新刊が届きました)
新刊本のパソコン入力・管理・利用者への紹介
県内図書館との連携(当図書館にない資料でも県内の他の図書館にある場合は取り寄せが出来ます)
図書館だよりの発行 などなど
同時進行で多くの仕事をこなされています。

画像7

また、館内では年間を通してさまざまな展示やイベントが催されています。
8月の月替りロビー展示のテーマは日本遺産「石の島」まるわかり展。
小豆島産の石の日本建築への貢献・歴史・技術について、子ども達にも興味を持ってもらえるよう工夫しながら専門知識を持つ役場職員が中心となって展示が組み立てられていました。

画像8

他にも館内一角の「小豆島の歴史資料コーナー」には町の教育委員会主催で貴重な資料が多く展示されています。

地域で長年大切に保管されたり、掘り起こされた歴史的価値のある資料を実際に目にすることで、その土地の歴史や文化に対する興味はさらに高まります。

地域の方はもちろん、歴史や文化に興味のある島外の方にもぜひ見て頂きたい展示群です。

画像11

画像12

私自身も通い慣れていたつもりの図書館ですが、見過ごしていた部分が多いことには驚きました。
町民に身近でありながら、たくさんの見所の詰まったこの図書館運営を任されるみっこさんの1日は多忙です。
特にこの日の午後は、毎年夏の恒例の「手作り絵本教室」が開催されることもあり、お昼ご飯は短めに済まされるとの事。

いつもより早い11時過ぎ、ランチケースを手に休憩室に入られました。

画像13

画像14

ジャーン!
美味しそうなのはもちろんの事、彩りがきれいで栄養バランスも良さそうなお弁当です。
しかも「島ひるごはん」4回目にして記念すべき?初の手作りランチ!
毎朝みっこさんご自身で作られているそうです。

みっこさんの食事風景 後ろ姿

昼休憩のない図書館。職員の休憩はいつもひとりずつだそうです。
時間に余裕があれば、食事後に図書館の本を読むこともあるそう。

あめつちのうた の本 講談社

みっこさんが最近読まれている本を見せていただきました。
甲子園を舞台としたストーリーのようで、さすが季節感もしっかり捉えた選書です!

この日はお弁当を食べ終えると、一息つく間も無く「手作り絵本教室」の準備に取り掛られました。

手作り絵本教室

去年は止むなく中止になったものの、今年は参加人数を大幅に絞って2グループに分けるなど、感染症対策に最大限配慮され「手作り絵本教室」が実施されました。
参加対象は小学生。
全4講座で自ら物語を考え、それに合った絵を描いて完全オリジナルの絵本を作っていきます。

画像19

画像20

画像21

子ども達の物語や絵はそれぞれ個性が溢れていて、彼ら彼女達の想像力の豊かさにはハッとさせられたり妙に納得したり、いつの間にか惹き込まれてしまいます。
熱心に絵を塗り込む子ども達を見守るフリをしながら、
「そろそろ次のページをめくって続き教えて!」
と何度心の中で思ったか分かりません。

画像23

画像24

物語と絵が完成してもホッとしてはいられません。
製本もしっかり自分たちで行います。

画像25

低学年の頃からの常連さんもいれば、初めての挑戦する1年生もいます。どうしても間に合わない作品は、子供たちが帰った講座後にみっこさん達が補助されていました。

順調に進んでいた「手作り絵本教室」ですが、残すはあと1講座、という段階で県の新型コロナウイルス警戒レベルが上がったことに伴い、最後の講座の中止が決定。
みっこさんは達は各児童の保護者に連絡し事情を説明。さらに作業が必要な作品は個別対応されたそうです。

想定外の展開もありながら、みっこさん達の柔軟な対応もあって子ども達の作品は予定通り無事完成しました。

この夏誕生した世界で一つの手作り絵本たちは、それぞれの作者や家族のもとで長く大切にされていくことでしょう。

館内の柱に貼られた図書館の自由に関する宣言のポスター

最後に、国内の公立図書館に掲示されているという「図書館の自由に関する宣言」をご紹介。
これまであまり気に留めたことがなかったという方も多いのではないでしょうか?

いつも穏やかに対応してくれる全国の図書館司書によって守られている「図書館の自由」
それによって私たちの知る自由が守られていると思うと、いつも優しいみっこさんの横顔が少し凛々しくも見えてくるのでした。

※県の新型コロナウィルス感染症まん延防止等重点措置の実施に伴い、町内他の町内公共施設と同様、小豆島町立図書館は2021年9月12日まで臨時休館される予定です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?