物語りの流れや運び方

-リンク-
マガジン「物語を考えたい」のお品書き(マガジンの目次)
・前ページ 物語りの中の出来事の解決方法

なかなかバタバタとしておりまして、投稿が遅くなりましたが、ご容赦ください。それでは、始めましょう。

先に、予防線を張ることをお許しください。

私は人気作家のような職業作家ではないし、どこかの機関で研究しているわけではありません。
基本的には独学で、こういう感想を持っていることを書いているだけですので、目くじらを立てずに、こういう感想もあるんだねと、読んでいただけたら幸いです。


私の思う、物語りの構造

さて、予防線も貼り終えたこととして。
以前に物語りの構造とはなんだろうという記事にて、
物語りの構造の中身で思い浮かぶものとして、
以下の5つの項目を挙げさせていただき、簡略的に、こんな感じというふうに書かせていただいたと思います。

物語りの構造の中身で思い浮かぶもの

・物語りの舞台となる世界観
・登場する主要人物とその人間関係
・世界観で成り立つ特筆する出来事
・出来事の解決方法(解決しないのも方法の一つ)
・物語りの流れや運び方

また、この上記の5つの項目を挙げた上で、
基本的には、
設定と出来事・イベントと話の流れ方・運び方で、物語りはできていると仮定させていただいたと思います。

まだ未熟な仮定ではありますが、今回は、物語りに必要となる5つの項目の一つ、物語りの流れや運び方について、少し書かせていただこうと思います。

・物語りの流れ

実を言いますと、物語りの構造と思い返したときに、一番に思い出せたのは物語りの流れでした。
物語りの流れというのは、物語りの状況説明の順番という考え方と、流れ方を見せることにより、物語りを盛り上げるという役目を持っているのではないかと考えています。

物語りの状況説明が必要なの理由

物語りの状況説明が必要な理由は、純粋に読者の方々に状況を知ってもらうためであり、書き手、作者の思惑として情報を提供するためだと思っています。

状況説明については、物語りの世界観に入るため、読んでいる方々に想像できるという感覚が大切だと思いますし、状況説明で出す情報で、読者の方々が理解不能になってしまうと、物語りを読むのが辛くなってしまうのではないかと思います。
難しく考えてしまっているのかもしれないのですけれど、この想像できるというのは、私が物語りを読むときの最低限欲しいと感じていることかもしれません。

想像して心地良いとか、その先が知りたいとなったら、たぶん読み進んでしまうのだろうなと想像できてしまうから不思議です。

さて、話が逸れてしまいましたが、戻すとして、
話の流れの状況説明の例えとして、料理番組を挙げようと思います。
物語りの流れを語っているはずなのに、なぜ?と思われてしまうかもしれませんが、説明という意味合いで、料理番組は作業の仕方を紹介しているだけに、話の流れが分かり易いと思うのです。
ですが、私が料理番組を見たのは、もう何年前になるだろうかというぐらい前のことなので、こんな流れだったよね。ぐらいの気持ちでと読んでいただければ助かります。

状況説明としての物語りの流れ(例:料理番組)

・料理番組が始まります。
タイトルが出たり、テーマソングが流れたりして、始まった感が出ると思います。

・静止画で料理の完成を表示されて、こんなものを作りますよと先触れされます。
こんなふうになるのねと関心を寄せたり、今日のメニューに加えるかとか考えたりするかもしれません。

・材料の一覧を見せられながら、材料の説明がなされます。
こんな材料が必要ですよとという感じで伝えられ、実際の調理が始まります。

・料理の順番に沿った説明が始まる。
どれから始めますか、何を作業しますかという感じで、
材料の加工(洗う、切る、潰す、混ぜる等)の仕方を説明されたり、
煮る、焼く、茹でる、蒸す等の調理の方法を説明されていきます。
時には、熱冷ましの時間や煮込む時間を考慮して、言葉の説明をいれて時間経過後のものが登場するかもしれません。
もしかしたら、各作業のどこかで、ワンポイントアドバイスがあったりするかもしれません。

・最後の仕上げを終えたら、お皿に盛り付け、料理の完成を見せる。
こうやって作るのねとか、もう一回見直そうかとなったりとあるでしょうが、料理の説明としては、ここで終了。もしかしたら試食して料理の感想が聞けるかもしれません。

・エンディング
タイトルが出たり、テーマソングが流れたりして、終わった感が出ると思います。

説明時間、番組が短くなればなるほど、部分的に簡略化されていたことを記憶しています。
説明自体を極力避けずに、繰り返し作業や煮待ち、冷やし待ちの時間を、時間経過したものです。という形で紹介されていたのを思い出します。

大まかな流れとしましては、多少の順序が逆になったり、多少抜けたりしたところで、特に問題ないかもしれません。
ただ、一番必要な、料理方法を順番で説明するところが、順番をごちゃごちゃにしてしまうと大変です。
この流れ方次第では、観ている人に何を説明されているのか、理解してもらえないと言う状況になることさえあると思っています。
何よりも、全く知らない人が観たら上手く行かないというのは、番組として困ることになってしまうでしょう。
アレンジができるぐらいの人ならば、多少順番が変わっても大丈夫だよねとか、多少ごちゃごちゃでも、ちょっと違うんじゃない?と気付きやすく、また順番を直して、なんとかしてしまったりすると思うのです。

今挙げた例の6項目の順番が、例に挙げた料理番組の大きな流れであり、その中の一つ一つの内容が、番組の小さな流れです。
この中で一番重要と思われるのは、先ほども書きましたが、実際の料理の仕方と、もう一つ、材料の説明の2項目。
この情報を知ることが目的の視聴者が多いと思います。
また、この2項目の内でも、料理の仕方は、先程挙げたように、説明の順番にも気をつかう必要がある重要さになると思います。
それ以外は、体裁を整えるのに必要ではあるけれど、先程の2項目に比べて重要かと言われると、そこまでではないと感じています。印象に残るという意味では必要だと感じていますが。
別の方向(出演者や番組のファンなど)での需要はあると思います。料理方法を説明する番組という主旨からすると重要の度合いが少し下がるとは思いますが。

例えとして、料理番組を挙げたのですが、手芸本をよく読む私は、手芸本でも、同じ流れで説明されていることを実感しています。
実際に作業するときには、作業の順番に並んでいるだけでも混乱は少なくなるもので、
また、最初に完成を見て、どれを作ろうかと、愉しんだりするものですが、過去を振り返るような物語りの出だしや思わせぶりな出だしだと、この流れ方と似た物語りの流れになっていることがあると思います。

また、説明の順番のみならず、料理番組の例でいう、料理の仕方に当たる部分は物語りにもあり、そういう部分は、大まかな流れを見やすく整理するように、その部分の流れを見やすく整理していくと、矛盾少なく進むと思います。

推理小説や伏線を張るような長めのお話では、あえて説明を省いたり、あえて簡略的に説明をして誤魔化したり、まったく伏線でもなんでも無いのに、怪しさを出すために説明を加えたりしているのを見かけたりします。
こういうものも説明の順番を利用する方法と感じています。
また、説明する順番をあらかじめ整えておくことで、書き手としてですが、蒔いた伏線の回収のしやすさにもつながるであろうと思っています。

流れ方を見せることにより、物語りを盛り上げるという役目

読者の方々との情報共有の度合いが深まるほど、また登場人物に愛着を感じるほど、物語りの緊張感(テンション)を共有しやすいのではないかと感じています。

状況説明による効果として、登場人物への感情移入というのがあると思っています。
登場人物に対する好き嫌いはともかくとして、普通なら知り得ない、状況による感情の揺れなどを表現していることにより、感情などを情報共有していますから、感覚として近づいた感覚になると思っています。

緊張感が高まり、先がどうなるか判らない。
自分だったらどうするだろうなんて考えていたら、かなりその物語りに馴染んでいるかもしれません。
また、物語りの中の緊張する場面を脱したあとは開放感を感じるかもしれません。
緊張感を求めていると言うよりも、読書しつつ緊迫感や緊張感を抱くことによって、次の展開への期待感が高まっているのかもしれないと感じています。

たぶんではありますが、私自身の読書体験として、そういう感覚に近づける物語りを楽しいと感じているのかもしれないと感じています。
書いていて思いましたが、過度の緊張感や緊迫感は気分が重くなる感じがしますが、適度な緊張感や緊迫感というのは、面白い物語りには多くあるように感じます。
さっと思い出せる物語りの場面がいくつかありますが、盛り上がるまでの丁寧に組立てて緊張感を高めて、スパンと解決とか、逆転。救援の登場とかで緊張を解放する。

材料集め、状況説明をして、感情移入させつつ緊張感を高めて、開放感、解放感を味わってもらう。
そんな感覚なのではなかろうかと感じています。

物語りの大まか流れと、それを構成する細かな流れを組み合わせることで成り立つと思っています。
私の解釈としては、細かな物語りの群れが、大きな物語りになると考えており、大きな物語りを形作るかたちとして、小さな物語りで設定調整や、追加設定。世界観の補完や条件の開示などを足したり引いたりしながら、物語りの背景や、登場する人物の感情などが加味されて、物語りが進めていくうちに感情移入も進み、盛り上がってくるのではないかと感じています。

そして、小さな物語りの集合体である大きな物語りを形作るために必要となるのが、
大きな物語りの流れを組み、その細分化としての小さな物語りの流れを組んでいくというところに落ち着くと思っており、その一つ一つの流れの中に、適度な緊張感と開放的な気分を織り交ぜることで、盛り上げていくことになるのではないかと感じています。

さて、だいぶ書いてしまいましたが、今回はここまでにしようかと思います。
ここまで読んでいただけたとしたら、お疲れ様でした。ありがとうございます。
愉しんでいただけたとしたら幸いです。

2024年1月31日(水)
指の歩み 池田修一

-リンク-
マガジン「物語を考えたい」のお品書き(マガジンの目次)
・前ページ 物語りの中の出来事の解決方法


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?