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ジハード・フォー・リゲイン・ラブ

 ある日突然ジャネット(注1)のスピリチュアルシスターにしてソウルメイトのアスティがピンクのメッシュ入り金髪をブルネットに染め黒いマニュキアを落とし、ジャネットとお揃いだった神と秩序への反逆の象徴である逆十字架のピアスとチョーカーを外して登校してきた。服はいつもの漆黒のレザーコルセットとサテンのフレアスカート、膝まであるハイヒールブーツ、ではなく、清潔感あるノースリーブの白いシャツに紺色のクロップドパンツだ。さらに紫のアイシャドウも黒い口紅も塗っていない。ナチュラルメイクだ。
 ロッカーの前でアスティと会ったジャネットは雷に打たれた様な衝撃を受け絶句した。アスティは少しばつが悪そうな顔をして、「ハイ、ジャネット。びっくりした?」と言った。
 ジャネットはアスティが光の軍勢(注2)に洗脳されたのだと思い彼女を問い質した。
「だって…」
 アスティはそう言うと顔を赤らめてジャネットの後ろに視線をやった。ジャネットが振り返るとラグビー部のキャプテン、スコットが友人と楽しげに話している。
「アスティ、あいつはジョックだよ!私たちゴス(注3)の敵だ!」
「ねえジャネット、そんな風に人を判断しちゃダメよ。それにいつまでもこんな事してられないでしょ。将来の事を考えなくちゃ」
 でもあなたとはずっと友達よ、と言ってアスティは教室へと向かったが、ジャネットの耳にその言葉は入らなかった。
ジャネットは自分が「ロリータ」の様に(注4)深くアスティを愛していると思っていた。
(あのジョックを亡き者にするしかない…)
 彼女はロッカーからネットオークションで200ドルで落札した黒魔術書を取り出し、愛を取り戻すための聖戦の予感に胸を震わせた。

注1 ソウルネームはクローディア(吸血鬼映画から取った)
注2 主に教師、ジョック、チア、母親
注3 昨日まで校内に2人、今は1人
注4 ジャネットは「ロリータ」を序盤しか読んだことがない

【続く】

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がんばるゆべしちゃん。 幻想怪奇短編小説みたいなものをたまに書きます。ラヴクラフトとかSFとか好きなニンジャヘッズ。

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