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水曜日の湯葉 #16

新作お知らせ。25日発売の『小説 野性時代』2022年4月号にて、短編小説「シュガー、ビート、ステップ」を寄稿しました。今回はいつものSFとはだいぶ趣向を変え、スマートウォッチから送られてくる血糖値・心拍数・歩数計のデータをもとに行方不明者を捜索する人探しミステリです。『重力アルケミック』以来の大学モノ小説でもあります。

この note では「短編 WDM」というコードネームで呼んでいた作品がようやく発売です。医療小説特集ということで非医療者の自分なりに「医療っぽいネタ」をやってみたのですが、表紙を見たら他の作家さんがあまりにガチなのでビビり倒しています。どうかよろしくおねがいします。

ちなみに電子版のみの雑誌ですのでご注意ください。385円という儲ける気が感じられない価格設定ですが、もともと文芸誌というのはそれ単体で稼ぐものではなく、掲載した小説の単行本の売上で回収するものらしいです。これは『1Q84』にも書いてあったので大昔からそうなのでしょう。

3月16日 水

冬場ずっと放置していたバイクのエンジンがかからず JAF おじさんを呼ぶ。花粉症持ちらしく「ちょっとすみません」と何度か離脱する。「こちらこそ呼んでしまってすみません」という気分になる。自分のバイクのバッテリーの搭載場所を初めて知る。

バッテリーを充電するために適当に30分ほど走る。いい陽気。このところ僕にも花粉症の気配が出てきたので走行時もマスクを着けているが、そのせいでカーナビ用スマートフォンが顔認証も指紋認証もできなくてかなり不便する。

深夜に大きな地震があったが、福島の実家もなんだかもう地震に慣れたような様子である。震度としては去年のほうが大きかったかな。

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