見出し画像

水曜日の湯葉 #36 「電子版半額セール」を著者目線で解説する

短編集『まず牛を球とします。』の電子版が発売。紙の発売から1ヶ月も遅れてしまったが、僕も締切をよく1ヶ月くらい遅らせるので文句を言えた義理ではない。

また早川書房の電子書籍セールで『人間たちの話』が50%引き。「たのしい超監視社会」「宇宙ラーメン重油味」など6編を収録したSF短編集。ただでさえラーメン1杯分だったのが幸楽苑になった。

こういった半額セールをやるたびに「著者の取り分が減るのでは?」と心配する方がいる。僕はそう言われるたびに「なんて殊勝なことを言う読者だ、よーしよし」と頭をナデナデしながら以下のように答えている。

「いや1冊あたりの収益は半分だけど、購入数が10倍になるから、普段の5倍くらい稼げるよ」

と。数字は適当だが多分そのくらいである。編集さんもしたり顔で「稼ぎ時ですぜ」みたいなことを言う。ということで今回の有料部分では、半額セールが売上にどう影響しているのかをきちんと集計してみた。よかったらメンバーシップ加入して読んでください。

8月10日 水

Webちくまで僕の書評が公開。夏休みの読書感想文である。ちゃんと自分の体験と絡めているあたりも読書感想文らしい。

新聞社のインタビューを受ける(Zoom)。13時からと思っていたので 12:50 にちゃんと服を着てメールを再確認したら「12:30〜」との記載。心拍数が急上昇するがメール本文を見ると「インタビューは13時からですが、30分前から Zoom に入れるようにしておきます」とのことだった。親切〜。

『ダンジョン飯』12巻発売。1巻で提示した「食と生態系」という基本テーマを崩さないままどんどん拡大させていく技量、ミクロな日常描写とマクロな世界設定の絡め具合の素晴らしさに、新刊が出るごとに感銘している。自分がトールキン的なファンタジーを描かないのは「ダンジョン飯を読め」で足りるからである。トールキン的でないものはいつか描くと思う。

8月11日 木

ここから先は

5,462字 / 4画像
この記事のみ ¥ 300

文章で生計を立てる身ですのでサポートをいただけるとたいへん嬉しいです。メッセージが思いつかない方は好きな食べ物を書いてください。