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外出自粛してマイクラ世界を拡張する

去年(2020)の春から外出欲を紛らわすために Minecraft (マイクラ)をやっている。有料のゲームをやるのはスーファミ以来なのでほぼ3Dゲーム初体験だが、まあどっぷりハマって本業が疎かになっている。

マイクラを知らない方に簡単に解説すると、森林や洞窟を探索してブロックを集め、家を建てたり麦を育てたり、モンスターと戦ったりするゲームである。

マリオやドラクエのような最終目標はとくに設定されておらず、マップを駆け巡りながら資材を集めて建築を楽しむことができる。一応ラスボスがいるらしいがまだ探していない。


というわけでこの記事では、自分が1年プレイした成果物たる建築群を紹介する。

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メイン拠点(2代目)。メインなので実用志向のシンプルな立方体構造。磨かれた閃緑岩のフレームを石レンガとガラスで覆っている。友達に見せたら「刑務所みたい」と言われた。

マイクラではカボチャが照明としてやたら有能なので、この世界のあちこちが通年ハロウィン仕様になっている。(海底神殿は未攻略)

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一階は倉庫。回収したアイテムを保存している。上下移動はハシゴで行う。マイクラ世界は重力が雑で上下移動のコストが低いので、階段よりもハシゴを使うほうが空間を節約できる。低重力環境で基地をつくる際もこういう設計になるはずだ。

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二階は、いまのところ地図とベッドだけ置いている。マイクラ世界では夜間に湧いてきたゾンビが朝日を浴びると燃えて死ぬので、目覚めごとにガラス張りの部屋でなすすべなく燃えていくゾンビを優雅に鑑賞できる。

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裏はゴミ入れ。ゴミを放り込むと肥料になって地下室にストックされる。照明を作るたびに大量発生するカボチャの種を再利用できる。


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メイン拠点の隣には植林場。マイクラ生物は異様に成長が早いため、植林場を歩いていると木が高速で生えてきて怪我するという理不尽がまかりとおる。ここで切った木材は奥にある材木小屋に収納する。

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材木小屋はそれにふさわしく木造。6種類の木材がどの箱に入っているか見やすくするため、それぞれの壁にそれぞれの木材を使っている。箱ひとつに小屋が何十軒も建てられるほどの木材が入るのが謎だ。この小屋から見る夕日は格別。


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こちらは特にゲーム上の機能はなく、純粋なホビー目的で建てたありそうな一軒家。屋根の斜線は階段ブロックで表現されている。限られたブロックを本来と違う用途で使うことで多彩な表現を生み出すのがマイクラの醍醐味である。

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いちおう内装も造っており、夜になると2階の寝室でられる。壁がツートンカラーなのがお気に入り。薄灰色はコンクリート、黒いのは石炭ブロック。石炭の建材というのは現実だと聞いたことがないが、余ってるので仕方ない。

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裏はこんなかんじ。赤い屋根はアカシアの板材で、湧き潰しとして設置したカボチャが目立たないようにしている。マイクラ世界では暗いところにモンスターが沸いてくるが、むやみに照明をおくと審美性を損ねるため、いかに照明を隠すかが工夫のしどころになる。地面もよく見ると緑色のカーペットが敷かれており、下にカボチャが隠れている。

家屋と塀の間の空間は、肥料を使って意図的に雑草だらけにしている。子供のころはこういう空間を歩き回るだけでちょっとした冒険気分になったものだ。


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こちらは同じくありそうなアパート。寄棟屋根にするつもりだったが途中から面倒になって平屋根になった。

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別アングル。柱はネザークォーツで壁は滑らかな砂岩、鉄ブロック2個で室外機を表現している。壁についている出っ張りはなんの意味もないのだが、2階建ての上下に同じ構造物をおくことでなんとなくそれっぽい雰囲気が出る。デザインは繰り返しが基本だ。

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1階は各部屋に庭があり、仕切りが曖昧なのでそれなりの近所付き合い力が求められる。手前の部屋は入居者がいないので雑草が放置されているが、奥のほうはまあまあ整備されている。


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これは初代の拠点。まだ技術も資材もなかったので、とりあえず地面に穴を掘って、夜になるたびに湧いてくる敵をここでやりすごした。そうやって生存の術を探すうちに自然と建築スキルが身につく。


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こちらは農場。牛、豚、鶏、羊などおおむね現実と同じ家畜がおり、肉のほかに牛革や羊毛、羽根などを資材として使うことができる。雌雄の区別はないらしく、任意の2匹が繁殖するし任意の牛から牛乳が出る。奥には麦畑があり、プレイヤーの食糧であるとともに家畜飼料にもなる。


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こちらは羊牧場。マイクラ生物は獲得形質が遺伝するため、羊に染料を食わせて赤くするとその子供も赤くなる。というわけで適当にカラフルな羊を造ってみたが、あまり用途がないので無駄に生命を弄んだ感がある。


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無駄にカラフルになってしまった羊毛で新幹線の車窓でやたら見る727看板を作った。わりと初期の制作物で、なんの用途もないジョークのつもりだったが、平原にこれがドンと建ってるとやたら目立つので迷子になった時にけっこう役に立った。


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こちらは実験農場。マイクラ世界ではレッドストーン回路というものがあり現実世界の電気みたいな役割を持つ。これを使って自動収穫装置などが作れるのだが、まだ規模がないのであまり自動化のメリットが活かせていない。


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崖の上に建つ神社、というか規模的には祠か。屋根を反らせるだけでけっこう和風建築っぽくなる。鳥居はまずアカシアのフェンスを試したが細すぎ、次にテラコッタを使ったが太すぎ、最終的に花崗岩の塀にした。表面がザラザラだがシルエットがそれっぽくて満足。

マイクラ建築はいわば三次元のドット絵なので、巨大にすればいくらでもリアルな造形ができる(デジタル写真も究極的にはドットの集まりである)が、そうすると資材が足りなくなるので、おのずと制約の中でデフォルメ表現するという楽しみが生まれる。このあたりはツールではなくゲームであるゆえの特徴といえるだろう。


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川を渡る石造りのアーチ橋。マイクラ物理は重力が雑なので一本の橋脚もなく海峡を横断できるのだが、それはそれとしてこういうアーチを作るのは楽しい。

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アーチ橋を上から見た図。トロッコ鉄道が走っている。マイクラの鉄道は建設コストが高いわりに遅い。しかし鉄道があるなら敷かねばならぬという義務感で敷いている。丸石ブロックはバラスト感があってよい。

マイクラ物理にはエネルギー保存則などという小賢しいものがないので、地面に設置したレッドストーンから無限に動力を供給できる。したがって電車で言えば第三軌条方式に近い。



さて、こうしてマイクラ世界で建築物を作っていると、現実世界の見方も少しずつ変わってくる。

たとえば現代の家屋においてベランダはわりと浮いてる。自分は今までベランダというものは、一階の屋根に乗っている、あるいは地面から柱によって支えられているとばかり思っていたが、マイクラ建築をしていて「ベランダってどう作るんだっけ」と近所の家を見てみると、二階の壁からベランダが直接生えていてびっくりした。散歩が趣味だといいつつそんなことに気づかないものなのだ。

冒頭で「スーファミより後のゲームをほとんどやってない」と言ったが、これはゲームに興味がないからではない。むしろハマりすぎて時間を浪費しすぎて「人生の余暇にふさわしくない」と判断したからなのだが、こうしてゲームを通じて現実認識が拡張されるとなると、またゲームに対する考え方も変わってくるというものである。


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