水曜日の湯葉 #9

1月26日　水

先週のおたよりコーナーに「プロ作家の読書事情を知りたい」というのが来たので、興が乗ってここ3ヶ月で読んだ本リストと各作品への一言コメントを作ったら夕方になっていた。しかし日記のネタが「日記を書いた」しかないのは困る。森見登美彦が竹を切るエッセイ連載を始めたのに「連載が忙しくて竹を切りに行く暇がありませんでした」と陳情していたことを思い出す。

夜。VR で映画を見ると映画館みたいな没入感があると聞いたので Oculus で『マトリックス　リローデッド』のカーチェイスシーンだけ見る。高速道路を逆走するトリニティを見て「迷惑行為」と強く感じたのでモブ目線で没入した証拠といえる。ところでマトリックスの解像度はどんなもんなんだろう。この仮想空間に細胞や原子といったミクロな要素は存在するのだろうか。かなり人間中心主義的な設計なので、誰かが顕微鏡を覗くたびに視野内の物体が構築されるのかもしれない。

短編 WDM が「あと一歩で完成」になって5日が経過。一歩とは言ったが超大型巨人の一歩だったかもしれない。今夜も Twitter Space で「小説を書く音の配信」をする。タイピング音が聞こえるだけの配信を毎回10人くらいが聞いていて「作業がはかどるので助かる」といったことを言われる。環境音BGMにもライブならではの良さがあるらしい。

もともと僕は家で作業ができないタイプなのだが、このたびの禍で外出しづらくなったため自宅を擬似的に外にするために作業音配信をしている。これは思いのほか有効だが、タイムラインの上部に常に僕のアイコンが居座っているのは申し訳なく思っている。いずれ他の配信サービスに移行するかもしれない。