見出し画像

意外とチーム戦に向いてるかもしれない ◆ 水曜日の湯葉129[5/22-28]

5月22日 水

長編小説『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』の再校を提出。あとは事務的な確認をしながら発売日を待つだけである。あ〜〜〜おわった。つかれた。発売日は6月26日、新潮文庫nexである。けっこう書き直したので連載を追っていた方も読んでほしい。というか追った人ほど読んでほしい。作者的に忘れてほしい内容を上書きしてほしい。


Twitter でちょっと方言の話をした。僕は福島県郡山市という東北内は比較的都会なところ(スタバが5店ある)で育ったのだが、僕の同世代だと語彙に現れるような方言はほとんどなく、イントネーションが標準語と違う、というくらいの訛り具合であった。地元の友達はマスメディアで福島弁が紹介されても「うちの婆ちゃんが言う」「会津の叔父さんが言う」と上の世代の話ばかりするので、遠くない将来にこれらの言葉は消えると思われる。

こういう地域的な言語文化を次世代に継承しなかった、という多少の申し訳なさはあるものの、テレビからすごい勢いで標準語が供給されるし、若者はどんどん新たに若者言葉を生み出すし、外来語や技術進歩による新語もどんどん生まれているわけだから、いちいち前世代の言葉を全部保存するわけにもいかない。

自治体はそういう流れに抵抗したいようで、僕の学校では「おうちの人に方言を聞いて発表しよう」という授業があった。能動的に集めないと聞けないような方言がたくさん聞けた。「うまかった」を「べこまけた」というトンチみたいな言い回しがあるのを知った。そいつ平成に生まれてたら日常会話でネットスラング使いまくってただろうな。

そういうわけで僕は「方言」を「消滅しつつある地域文化」と思って生きているが、この意識にも相当な地域差があるらしい。僕が「方言というのを学校で学ぶものだと思っていた」というツイートをしたところ、相当な人数にびっくりされたし、中には僕が首都圏の人間であると誤解する人がいた。これはなんだかすごくショックだった。「お前は地域文化を継承できてないのだから、出身地を間違われても仕方がない」と言われているような気がした。人のコンプレックスを的確に突くのをやめてほしい。

僕もせめてもの抵抗として、知識として学んだ福島弁をたまに小説に入れている。「うるかす」という言葉を入れたときは「なんだこれ? と思って意味を調べた」という反応がかなりあって嬉しかった。ただ「作者は北海道出身のようだ」と言われてやっぱりイラッとした。いやその1語で県が定まらないのは仕方ないんだけど。

ここから先は

4,034字 / 6画像

毎週水曜20時に日記(約4000字)を公開します。仕事進捗や読書記録、創作のメモなどを書いています。…

水曜日の湯葉メンバーシップ

¥490 / 月
初月無料

文章で生計を立てる身ですのでサポートをいただけるとたいへん嬉しいです。メッセージが思いつかない方は好きな食べ物を書いてください。