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水曜日の湯葉 #18

年度が変わって成人年齢が18歳に引き下げられたが、この「水曜日の湯葉」も18回に到達。つまり成人済み日記である。おそらく定期購読している人はみな成人でしょうが、内容は相変わらず全年齢向きでやっていきます。

3月30日 水

まん防が解除されたので、夜のファミレスで粛々と長編 SSC を進める。これまでの不調が嘘みたいにゴリゴリに進む。やはり僕のパフォーマンスが一番上がるのは夜のファミレスだ。世界中が夜のファミレスだったらいいのに。どっちが曲名かわかりづらいアーティスト名みたいだ。それではお聞き下さい、3rd シングル「午前零時のドリンクバー」。

スケジュールが職業作家として許容できないほど危機的なので、村上春樹『職業としての小説家』を読み直す。買った時はデビュー前だったので、あらためて職業作家としてこの本に向き合ってみよう。

たとえば歌手や画家が小説を書いたとして、あるいは翻訳者やノンフィクション作家が小説を書いたとして、小説家はそのことで嫌な顔をするでしょうか? たぶんしないと思います。

『職業としての小説家』第一回 小説家は寛容な人種なのか

村上春樹の意見がどれだけ中庸的なのかはわからないが、少なくとも小説読者のほうは、他業種の有名人が小説を書く行為にあまり寛容でない印象がある。彼らは自分の愛する小説業界に対し「小説だけを愛してひたむきに努力してきた集団」みたいな純潔さを求めているように思う。実際の小説家は自分がちっとも純潔でないと体で知っているが。

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