南極に行ってきた話(2022年12月31日執筆)
世界最南端の都市、アルゼンチンのウシュアイアを船で出発し、世界で最も荒れるドレーク海峡を渡ること丸2日。
氷の壁が遠く遠くに見えてきた時の興奮は忘れられない。
ついに、南緯60度を超え、南極に到着したのだ。
サウスシェットランド諸島、南極半島に上陸できる5日間。
それはそれは、もう見事な景色で。「絶景」などという一言では語れない、
地球の果てに、静かな氷と海と、野生の海の動物、鳥たちが暮らす音だけが流れる、観たことない大きな大きな自然の景色だった。
クルーズから見る、高く聳える氷床の雪肌も
ゾディアックから見る、自然が織りなす氷河の数々も
上陸すると目の前を通って、時々すってんころりんするかわいいペンギンも
冷たい冷たい海を優雅に泳ぐザトウクジラの尾びれも
全てが目に焼き付いている。何度も何度もため息がでる美しさだった。
そんな南極の氷が、今のままの気温上昇が続くと、2050年頃から、
著しいスピードで溶けて無くなっていくと予想されている。
乗船した南極旅行会社のPolarLatitudeには、さまざまな専門家クルーが乗船していて、
海峡を渡る間、気候変動や海洋生物に関するレクチャー(任意参加)をしてくれる。
(ただ観光して綺麗と騒いで終わりではない、質の高いクルーズだった。)
その中で、
温暖化の影響で海面温度が高くなり、湿気が増えて、夏も雨や雪が降るようになり、雪のない場所で卵を産まなければ育てられないペンギンが、産み場を失っていることや、
南極半島の平均気温は過去50年で約3℃上昇したことを知った。
温室効果ガス排出割合ランキング上位6位を占める
中国、アメリカ、インド、ロシア、日本、ドイツ。
これらの国を出身とする乗客はクルーズに9割。
自分達がこの目で見た美しい氷の大陸が、自分達の手によって、失われていくこと。
かわいいかわいいと写真を撮った動物たちが、生きられなくなっているうこと。
知ってはいたけど、この目で見ることにより、危機感はとてもとても大きくなった。
かつてこの大陸で、各国が捕鯨を活発化させ、
大陸のタンクで焼き、油にし、世界中で売った。
そのタンクと基地は今も島にそのまま残っている。
今はそのような直接的な破壊はもちろんしていないが、
新しいものを大量に生産しどんどん買い替える私たちの行動が、知らない間に、間接的に、大陸そのものを傷つけている、
それが人間の行動である。
南極、そしてパタゴニアの氷河への旅は、そういった
人間の営みと環境について、今までよりもずっと強く深く、考えさせられる機会になった。
***
地球環境の課題も含めて学んだことを備忘録として綴りましたが、
まずはこの写真・投稿を見てくださった人の感想が、「わーー綺麗!!」という、それだけでも全く問題ないです!
本当に、美しかったし、心から楽しむことができる最高の投資でした(人生最大の買い物)。
いつか行ってほしい、でもそのいつかが、50年後だと、全然もう景色が違うかもしれないということを、少しでも伝えられたらと思います。
南極クルーズ11日間の旅の全貌は、
日本で発信している人が少なすぎる(乗客9割英語圏の人だった)のですが、
色んな意味でたくさんの人におすすめしたいものだったので、
YouTubeで全編動画にしました。
さらに美しい美しいAntarcticaの映像を3分ほどでまとめてますのでよければそちらも見てください!
▼南極YouTube
▼【参考記事】南極の氷融解、40年以内に後戻りできない臨界点到達か、研究
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?