植民地支配の類型

期末試験に向けて授業の復習をしていたら、(休んだ日のレジュメで)興味深いまとめを見つけたので書いておく。

出典はドイツの歴史家、Jürgen Osterhammelさんの論文らしい。出典元もいずれ読もう…いずれ…


植民地支配の類型


A 沿岸飛び地形:特定港湾の点的支配

発生…海上軍事行動によって

目的…内陸部への商業的進出、海軍基地としての利用、公的には独立している国に対する海軍力による非公式の支配

例…マラッカ(ポルトガル)、バタヴィア(オランダ)、香港、シンガポール、アデン(イギリス)


B 資源利用型

発生…土地の要求を伴わない軍事征服によって

目的…資源などの経済的利用、植民地政策上の戦略、国威高揚

入植者…行政官、兵士、非定住の商人などに限られる

統治体制…総統制。宗主国による独裁的行政。時に現地人も参加する

例…英領インド、エジプト(イギリス)、仏領インドシナ(フランス)、トーゴ(ドイツ)、フィリピン(アメリカ)、台湾(日本)


C 入植型

発生…軍に支援された入植によって

目的…安価な土地と労働力の利用、宗主国では困難な社会的、宗教的、文化的生活の実現

入植者…永住者(農民や農場主として)

統治体制…「白人」入植者の自治に基づき、現地人の権利や利益を無視した統治

C-a ニューイングランド型:現地人の強制移住や撲滅
例…ニューイングランド(イギリス)、カナダ(フランス、イギリス)、オーストラリア

C-b アフリカ型:現地人の労働力に依存
例…アルジェリア(フランス)、南ローデシア(イギリス)、南アフリカ

C-c カリブ海型:輸入した奴隷の労働力に依存
例…ジャマイカ、ヴァージニア植民地、バルバドス(イギリス)、サンドマング(フランス)、キューバ(スペイン)、ブラジル(ポルトガル)


植民地支配のイデオロギー

「文明化の使命」
・16世紀頃から「野蛮な人々を救うための植民地化」という言説が見られる
・19世紀は「科学的」人種主義。「劣等人種」の教育や、啓蒙による改良として、植民地化が人道主義に基づくものとされた

「同化」
・同化の概念は曖昧で、明確な定義なく使用されていた
・本国と植民地間の制度的、文化的統一を指すとされる
・実際は、現地人の大部分は市民権を持たないなど、平等さは見られなかった



保護領について

保護領
・既存の国家体制(多くは王国)を残したまま、条約締結によって保護権を得た領土
・内政に関する権限は被保護国の主権者に残す
・外交、軍事、治安に関する権限は保護国が保有する、という取り決めが政府間でなされる
・実際は、内政に関する実質的な決定権も、保護国側が握っていた

19世紀後半頃の保護領
・武装抵抗を回避しつつ、低コストで支配を実現しようとした
・保護国以外の列強諸国の既得の特権を損なわずに、植民地帝国を拡大していく必要性から発展した




帝国主義時代のことを考えると本当に恐ろしい気持ちになる。人間、どうしたらそんな残酷になれるのかと。

それはわたしがいまの国民国家体制がとりあえず完成?され切った世界しか知らなくて、それを当たり前だと思っているからなのか。

日本が特殊だとも思う。日本独自の言語があり、島国でどの国とも国境を接していない。ただ、古くは東北地方、そこまで古くない時代に北海道、沖縄が別の国だったことを考えると、一口に日本は特殊だ、とも言い切れない。
帝国主義に便乗して、無謀な戦争をしたり、多くの人を苦しめたのに変わりはない。

東洋史の授業では、教授たちはもちろん「東洋」側からの立場で話している。

先日、戦争に関する経済史を専門にしている教授の授業を受けた。分野は東洋史ではないから、ヨーロッパ側の立場から語るわけだが、それがまさに「オリエンタリズム」で、衝撃を受けた。
歴史は語る人の視点で解釈が変わる。ヨーロッパ側から語られたら、植民地化された国々への解釈は彼らに都合の良いものになるのは当然だろうが、それにしてもひどい。わたしは本当ににわか知識しかないから、ひどいなんてとても言えるはずがないんだけど、それにしても、それはどうかなと思ってしまった。

高校世界史がすでに「オリエンタリズム」みたいなところがあるんだよね。おそらく色々改訂されていて、東洋への配慮が見られるようになってきたのも、なおさら強調している気がしてならない。

不勉強なくせに、偉そうなこと言って…って思ってしまい、かなり曖昧に書いてしまった。

帝国主義時代の人間の心理みたいなのって、いまの資本主義となんら変わらない気がする。いかに大義名分を美しくするか、それを変えただけだ。

ハンナアーレントとか、レーニンとかの本を読みたいな、ヨーロッパ側じゃない人の本は何があるんだろうか。
エドワードサイードのオリエンタリズム、いろんなところで引用されているし、読んでみたい。

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