やっぱり!ママだったんだね♡気になって来ちゃった。真っ白い薔薇の花束♡咲希ちゃん【前編】〈カフェ37咲希3前〉
カランカラーン。
店のドアが開いた。
今さっき冬矢君が真っ白い薔薇の花束を持って来てくれて、私も冬矢君に真っ白い薔薇の花束を渡したばかり。私も冬矢君がホストで〈No.1〉になったお祝いで、冬矢君も〈No.1〉になった嬉しさと報告で真っ白い薔薇の花束を贈り合った。
---何故か不思議なような、やっぱりと思えるような感覚。
本当に、冬矢君には真っ白い薔薇の花束が似合う。
そして私はまだ、カウンターの中に居た。
「ママ〜」
ドアが開いた瞬間聞こえた声は、聞き覚えがある。
--- ん?。
入って来たのは、やっぱり咲希ちゃんだった。
「あら、いらっしゃい。咲希ちゃ---」
と言うか言わないうちに、咲希ちゃんはキョロキョロ店の中を見渡した。そして、カウンターの上に飾ってある真っ白い薔薇の花束を見て、
「あ〜。これこれ。やっぱりね」
そう言って、カウンターに来ると真っ白い薔薇の花束のアメジスト色のリボンを撫でた。
「うふふ。わかった?。そうよ。ありがとう。咲希ちゃんが作ってくれた花束よね。本当に素敵だし綺麗---」
私がそう言っていると、
「っていう事は、あの人がママも真っ白い薔薇の花束をプレゼントしたホストなんだぁ」
そう言った。
咲希ちゃんはちょっとニヤニヤしながら、何故か頷いたり首を傾げたりしながら真っ白い薔薇の花束を見ている。
「そう、冬矢君って言うのよ。駅の近くでホストやってるのよ。咲希ちゃんが私がお店を始めて最初のお客さん。そして、その次のお客さんだったのよ、冬矢君が」
私は、そう言った。
「へぇ〜。ホストの人も来るんだね。ママ優しいから。でも、優しいとかだけじゃないよね。凄いなぁ。凄いなぁ。何か今日来た人が、ママと同じ真っ白い薔薇の花束をって言うし、確かママ、ホストのお客さんにって言ってたから、もしかしたらって。だから、同じ〈エーデルワイス〉と〈オスカル·フランソワ〉で作ったんだよぅ。リボンはママのイメージで。バッチリだったね」
咲希ちゃんはそう言いながら、いつもは窓から外が見えるボックス席に座るのに、真っ白い薔薇の花束が飾ってある一番近い右側のカウンター席に座った。そして、
「ママ、コーヒーお願いします。それから、ママ。これ、真っ白い薔薇にちょっと足してみていい?」
そう言って、今日はベージュの布製のバッグとお店の紙袋から3本の優しいピンク系の薔薇の花を出した。
「きっと、あの真っ白い薔薇の花束はママのお店に飾ってあると思ったから、真っ白もいいけど、ちょっとピンク色が合いそうだったから買って来たの。〈マジョリカ〉っていうんだよ」
そう言うと、咲希ちゃんは、その3本の薔薇を手際良く真っ白い薔薇の花束に上手に挿した。
確かに、真っ白に優しいピンク色が優しいイメージになった。アメジスト色のリボンも本当に合う。
「わぁ、本当に優しくなるのね。素敵。ありがとう咲希ちゃん」
「どういたしまして、ママ。でも、面白いね」
ふとそう言いながら咲希ちゃんは、今度はカウンター席から見える景色をキョロキョロ、時にジーっと見渡していた。
そして私は、おしぼりとグラスに入れたお水をカウンターに置いた。
「ふふ。改めて、いらっしゃい咲希ちゃん。お仕事は終わったの?」
私は、コーヒーの準備をしながら咲希ちゃんに話しかけた。
「終わったから来たんだよ。ママ。心配しないで」
すると、咲希ちゃんはそう言った。
--- ん?。
「えっ、あ、心配はしてないけど。お仕事お疲れ様」
ちょっと、面白い感覚がした。若い人って面白いなぁって。
すると、咲希ちゃんがまた聞いて来た。
「ねぇ、ママ。あれ何?。お客さんのマイカップ?。前からあったっけ?」
咲希ちゃんは、棚にあるお客さんのマイカップに目を止めた。
私も最近、記憶が確かじゃないから、と言うか忘れっぽいからハッキリとは覚えていなかった。
「うーん、いつからかしら。あらっ、ごめんなさい。忘れちゃったけど。前に咲希ちゃんが来た頃かなぁ。咲希ちゃんいつもボックス席だったから気が付かなかったかもね」
コーヒーを入れながら、自分の記憶の悪さにちょっと呆れてしまった。
「へぇ。ねぇねぇ、あれ、あのホストの人の?」
真っ白いコーヒーカップにゴールドの文字で〈雪冬矢〉って書いてあるからね。咲希ちゃんはわかったのだろう。
「当たり。冬矢君、真っ白いコーヒーカップが良くて、この店に無かったからマイカップ置いたのよ」
「格好いいね。他の人のもあるんだね」
咲希ちゃんは、何だか嬉しそうに見ている。
「はい、どうぞ」
私は、何故か桃色のコースターを置いて、桃色のコーヒーカップにコーヒーを入れてコースターの上に置いた。
「あっ。ごめんなさい。勝手に桃色のコーヒーカップに入れちゃっけど大丈夫?」
何か、咲希ちゃんはいつも桃色のコーヒーカップだったから、ついつい桃色のコーヒーカップに入れて出してしまった。
「もちろん桃色でいいよ、ママ。ありがとう」
そう言って、希ちゃんはコーヒーを口にした。
「本当に美味しい」
コーヒーが飲めるようになった咲希ちゃん。
「カウンター席もいいね。何か雰囲気が違うね」
そう言って、咲希ちゃんはまた棚を見ていた。
すると、突然。
「ねぇ、ママ。ママって誰かと暮らしているの?。あっ、ごめんなさい、変な事聞いちゃった」
そう言って、慌てて咲希ちゃんは申し訳なさそうな顔をした。
--- あらっ。
そう思ったけれど、私はふっと笑った。
<39>
🌈☕いらっしゃいませ☕🌈コーヒーだけですが、ゆっくりして行って下さいね☘️☕🌈