新人ホスト《雪❅冬矢》君。店の名前は[俺も1番!🌹君も1番!]??? 【前編】 〈カフェ5 冬矢1前〉
カランカラーン。
店のドアが開いた瞬間
--- あっ!。
入って来た真っ白い男の子もこっちを見て
--- あっ!。
お互いが --- あっ!。思わず出た言葉だった。
私は、入って来たのが昼過ぎに窓から見たあの上から下まで真っ白な若い男の子だったからビックリして言ったけど、入って来た男の子がビックリしたのはどうしてなのだろうかと思った。
男の子は、私を見るなり
「あっ!、ママでしたか」
---?。
とりあえず
「いらっしゃいませ」
と、言った。
「へぇ、可愛い店だね」
男の子は、キョロキョロ店の中を見渡しながら言った。
「ママ、ここいいかな」
そう言って男の子はカウンターの真ん中の椅子に座ろうとした。
--- 確かにあの時の男の子だ。
あの時は、真っ白いニット帽に真っ白いダウンに真っ白いパンツに真っ白い靴だった。でも、今は真っ白いニット帽子に真っ白いロングコート。私がぼーっと見てると男の子は真っ白いニット帽と真っ白いロングコートを脱いで隣の椅子に置いた。
「あっ、コートと帽子はハンガーに」
私は、慌てて真っ白いコートと真っ白いニット帽を受け取りハンガーに掛けた。
「サンキュー、ママ」
男の子はそう言って、真ん中の椅子に座った。
私は、改めて男の子を見てまたビックリ!。
何と、髪の毛も真っ白。真っ白いコートの下は、またまた真っ白いスーツに真っ白い靴。一瞬言葉を失った。
「凄いね。上から下まで真っ白で」
私がちょっとビックリしていると、男の子は笑いながら言った。
「あ!ママ俺ホスト。まだ新人だけど。どう、似合うかなぁ」
「凄く格好いいわよ」
そう言うと何となく嬉しそうだった。
--- あぁ、確かになるほど。
そう納得したものの、しかし凄い。
私は慌てて、おしぼりとグラスに入れた水と、とりあえず淡い黄色いコースターを男の子の前に出した。
「ママだったんだね」
「えっ」
私がちょっと不思議そうに言うと
「ママ、あそこのテーブルに昼間座ってたよね」
男の子はそう言った。
--- やっぱり見たんだ。
あの時、一瞬目が合ったように思ったのはそういう事だったんだ。
「俺さぁ、昨日見たんだよ。可愛い女の子居たよね。だから今日も居るかなってちょっと店覗いたんだよ。そしたら女の人でさぁ」
男の子はそう言って笑った。
--- あ、咲希ちゃんの事だ。
私はとっさに思った。
--- 男の子は咲希ちゃんが居るのかと思って店を覗いたんだ。そしたら私が居て、何だおばちゃんかってガッカリしたという訳か。
「あら、ごめんなさいね私で」
私がニヤけて言うと男の子は慌てて
「いやいや、綺麗な方だなって。まさかママだとは思わなくて、だから入って来た時はちょっとビックリした訳で」
--- あ、なるほど。ドアを開けて入って来た時の ---あっ!は、そういう事ね。
私はやっと納得した。
「さすがに上手いわね」
私は男の子にニヤけて言った。
「本当ですよ。ところでママ。この店って何時までやってんの。昨日俺7時前に来たんだぜ。昨日はホスト初出勤でちょっと緊張するから寄ってから行こうと思って来たのにさ。可愛い娘が居たし。そしたらもう閉まってたよ。早く来ちゃったから時間潰せなくなって参ったよ。ドアのプレートにはさぁ、(今日は終わり)とか書いてあるし、裏を見たら(オープン)って書いてあるし。バランス悪くねぇ」
「あら、そう?。気分なのよ休みも時間もいろいろ」
私がちょっとおどけて言うと
「マジで、それいいかも。だけどさぁ、閉まってたから仕方なく早く店に行ったら店長居てさぁ、ぉ!早い出勤、やる気あるな--- とかって褒められたから、ま、閉まってて良かったようなだけどさ」
男の子は、またニヤけながら、おしぼりで手を拭いて一口水を飲んだ。そしてカウンターのガラス棚を見て
「ここって、マジにコーヒーだけなの?。もしかして、あのコーヒーカップに入れてくれるの?」
「えぇ、そうよ」
男の子はやたら話しながら聞いて来る。
「あのさぁ、真っ白いコーヒーカップ無いの?。俺さぁ、真っ白い雪が好きなんだ。だから冬が好きで、真っ白が好きなんだよね」
--- なるほど。だからいろいろ真っ白なんだ。
また私は男の子を見た。
「だから、上から下まで真っ白なのね」
そう言うと
「そういう事。ぁ!俺、冬と弓矢の矢で冬矢(とうや)って言うんだぁ。矢でお客さんのハートを射抜くって訳。ぇヘヘ」
楽しそうに言う男の子。冬矢君。
「なかなかいい名前じゃない。真っ白い心で女の子を射抜くって訳ね」
「アハハ。ママも面白いね。俺ホスト昨日からで超新人、だからちょっと接客の勉強も兼ねてこの店に入って来たわけよ」
「可愛い女の子居たしね」
「えっ。参るなぁママには」
「図星でしょ」
「アハハ。ちょっとね」
冬矢君は、そう言いながら嬉しそうに笑った。
「ところでママ。コーヒー」
「あっ、ごめんなさい。実は私も昨日開店したばかりで、超新人なのよ。勉強にはならないわよ私じゃ」
私は、冬矢君が面白くて会話や冬矢君にちょっと見とれていた。慌ててコーヒーの準備をすると。
「アハハ。じゃ一緒かぁ。お互い超新人。昨日デビューって訳だ。あ、ママ。コーヒーカップ俺が選んでもいいかなぁ?」
「いいわよ」
私はコーヒーの準備をしながら答えた。
「じゃあ、黄色。金運バッチリだしコースターも黄色だから、黄色で宜しく」
そう言って冬矢君は、また店の中を見渡していた。
「はい、大変お待たせしました」
コーヒーを淡い黄色いカップに入れて出すと。
「ぉー!、やっと来た」
冬矢君は、ブラックで一口。
「あち!」
--- 面白い子。
思わず微笑んでしまった。
「ところでママ。俺の行ってるホストの店の名前笑っちゃうんだぜ」
「そうなの?」
冬矢君は、吹き出しそうになりながら
「《俺も1番!🌹君も1番》」
そう言った。
「えっ!。それが店の名前?」
「そ!。面白いだろ」
冬矢君はまた吹き出しそうに笑った。
--- 確かに。
冬矢君は、ニヤニヤしながらコーヒーをゆっくり飲んだ。
🌹続く🌹
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🌈☕いらっしゃいませ☕🌈コーヒーだけですが、ゆっくりして行って下さいね☘️☕🌈