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新人ホスト《雪❅冬矢》君。店の名前は[俺も1番! 🌹君も1番!]??? 【後編】 〈カフェ6 冬矢1後〉

店の名前は 《俺も1番!🌹 君も1番!❳》そう言って笑う新人ホストの冬矢君。確かに面白い。

「もっとさぁ、エンペラーとかミリオンゴッドとかこう格好いい名前ってあるじゃん。《俺も1番!🌹君も1番!》ってさぁ」

冬矢君は面白がって話す。

「でも、冬矢君はその店に行った」

「そうなんだよ」

そう言ってまた笑った。

「俺さぁ。自分で言うのもだけどさ格好いい方だと思う訳よ。だけどさ仕事も彼女も上手く行かなくてさ。ちょっとホストやってみようかと思って、店の名前があまりエリートっぽく無かったから、ホスト初心者にしたらちょっと緊張する訳よ。だからこの店なら大丈夫かななんて思って面接したら合格したって訳。でさぁ、俺、雪が好きだから本当は〈雪矢〉ユキヤにしたかったんだけど、それがさぁ店長の名前が〈幸弥〉ユキヤさん。だから仕方なく冬を使って〈冬矢〉トウヤにしたのよ」

冬矢君はそう言ってコーヒーを飲んだ。

「あらま。名前は希望通りじゃなくてちょっと残念だけど面白そうなお店じゃない。俺も1番!、みんな1番!精神だね」

うふふ

確かに何か面白そうな店だなって思った。

「名字は無いの?」

私はふと聞いてみた。

「名字?。無いよ」

「名字に〈雪〉付けたら?」

--- ん!

何か思いついたかのように冬矢君はカップを置いた。

「ぉー!いいかも。さすがママ」

何だかかなり嬉しそう。

「〈雪❅冬矢〉ユキトウヤ ---かぁ。いいじゃん、いいじゃん」

私もいいと思った。

「格好いいわよ」

「ユキトウヤ、ユキトウヤ、ユキトウヤ」

何回も言う冬矢君。

「 --- ん?、セツトウヤ --- セットウヤ〈窃盗屋〉。読み方変えたら〈窃盗屋〉じゃね」

冬矢君がキョトンとしている。

「アハハ。ウケる」

私は思わず大笑い。

「おもしれぇな。案外いいかも。よし!店長に言おう。雪冬矢、ユキトウヤ、窃盗屋。アハハ」

冬矢君も大笑いした。

「その真っ白い姿もバッチリよ。頑張ってね冬矢君」

「おぉ!頑張るよ。ホストってさぁ皆派手だから。髪型も金髪や赤も青も。スーツもピンクにゴールドにいろいろだぜ。意外に真っ白は居なかったから俺好きな真っ白で頑張るよ。目立ってさ、アハハ」

何かこっちまで元気が出そうなくらい元気に笑った。

「あ!ママさぁ、そろそろ行かなきゃ」

冬矢君が言った。

「そうなの?。ちょっと淋しいわね」

何か楽しかったから思わず言ってしまった。

「え。マジ?。ママにそう言われると俺も嬉しいなぁ。さすが接客の基礎だね。ママサンキュー。参考にするよ」

私はただ本音で出た言葉だけど冬矢君は喜んでくれた。

私は、ハンガーに掛けたコートとニット帽を外して冬矢君に渡した。

「サンキューママ。あ!、ママ、カップって持ち込み出来る?。俺専用の真っ白いヤツ」

「いいわよ」

本当に真っ白が好きなんだなぁって思った。

「じゃぁママ、今度持って来るよ。俺、頑張って来るよ。あ、それからママ、なるべく店夜の8時までは開けといてくれよな」

そう言ってにっこりしながら、コートを着て真っ白いニット帽を被った。

冬矢君は、代金を支払ってドアを開けた。外はもう真っ暗。

「ありがとうね」

私は、冬矢君に言うと

「ママ、サンキュー。俺の行く店も変わってるけど、ママの店も変わってて気に入ったよ。また来るから宜しく」

冬矢君はそう言って店に向かった。

真っ暗な街に真っ白い姿の冬矢君は確かに格好いい。まだ若い。20代前半かな。

--- ママの店も変わってる?

ま、確かにコーヒーしか無いし、いろいろ私の気ままでやっているから変わってるかもね。

真っ暗な街に何個かの街灯が街路樹をも照らし、人が何人か通り過ぎて行く。私は、しばらく冬矢君を見送っていた。


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#小説 #ホスト #カフェ






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