℘*🍒【短編小説】🍒☆僕は君の誕生日を知っている🎂だけど言えないんだよ《おめでとう》って☆どうしてだろう♡僕はダメだよね☆君の誕生日🎂*℘【ｱﾕﾚﾑ】

何故なんだろう。

どうしてだろう。

僕は、君を本当に大好きなのに、

君の誕生日を忘れた訳じゃないのに

言えないんだよ

《おめでとう》って。

前の日はちゃんと言おうって思っているのに、君の誕生日になると言えないんだよ。

僕は、そんな洒落た事が出来ないから、プレゼントも何が君を喜ばせられるかわからなくて、買えないんだよ。

僕は、ダメな人間だから君があの時言ってくれた

《傍に居てくれるだけでいいからね》

って。

だから、何だろう。

君が喜んでくれるものを、プレゼントしたいから、サプライズも出来ないし、一緒に買いに行きたいんだけど。

それなのに、当日になると言えなくなるんだよ。

《おめでとう》って。

すると君は、

《昨日は、私の誕生日だったんだよ》って次の日に〈LINE〉をくれるよね。

すると、僕は

《あ、ごめんね。忘れてた》

そんな〈LINE〉をするんだよね。

でも、君は

《忘れないでね。今度は》

そう言ってくれる。

《今度は》？。

次も、言えるのかな。

来年も、まだ一緒に居られるのかな。

そんな君の優しさに、甘えている僕なんだろうなって。

どうして、言えないんだろう。

《おめでとう》

簡単な五文字も、スタンプでさえも伝えられない。

そして、次の年も、僕は言えなかった。

するとまた君は、次の日に逢えた時に

《忘れないでね、今度は》

そう言ってくれた。

《僕はダメだよね》

僕が、そう君に言うと

《うふふ》と笑う君。

そして、言うんだよ

《ダメなら、私はここには居ないよ。〈おめでとう〉の言葉より私は〇〇君が居てくれればいいんだから》

そんな事を言う君。

君と出逢って、三回目の君の誕生日が来るね。

僕は、今度は言いたいんだよ。

《おめでとう》って。

言えるかな。

言いたいんだ、

言わなきゃって思うんだよ。

きっと君はまた

《うふふ》と笑ってくれるかな。

僕の下手くそな《おめでとう》に。

だから

今度は、言おうと思うんだ。

言わなきゃいけないんだ。

君に。

今度も、これからもずっと。

君の傍で。

《おめでとう》って。

君の傍に居たいから。

明日は、君の誕生日。

僕は、複雑に緊張しながら眠りについた。

《おめでとう、おめでとう

言わなきゃ、言わなきゃ》

〈LINE〉でもいい。とりあえず言わなきゃ。

ん？。

君から〈LINE〉

≪おはよう。《cafe〇〇》に居るよ。一緒にモーニング食べよう。待ってるね。８時までに来れたら来てね。間に合わなきゃ、仕事終わったら逢いたいな≫

えっ！。

僕は、慌てて時間を確認する。

７時。

いつもより寝坊した。

僕は、返信もしないで、既読だけつけて慌てて準備して家を飛び出した。

「行って来ます。ご飯はいらないから」

間に合うだろうか。

ギリギリだ。

信号が、長く感じる。

《早く、早く》

電車も遅い。

間に合わない。

間に合わない。

8時ちょっと過ぎている。

でも、僕は《cafe〇〇》に行った。

はぁ、はぁ。

あっ！。

君が、《cafe〇〇》から出て来た。

はぁ、はぁ。

「ごめん、遅くなって」

僕がそう言うと

「私の方こそ、ごめんね。急に。待っていたかったんだけど、仕事があるから出て来ちゃった。ありがとう。来てくれて。きっと、来てくれると思っていたよ。でも、仕事だったから」

僕は、人目も憚らず君を抱き締めて居た。

「あっ！。ごめん」

「うふふ。お仕事終わったら逢ってね」

「あ、うん」

「お仕事、頑張ろうね。行ってらっしゃい」

「あ、うん」

君は、急いで駅に向かった。

《あ、あ、また、言い忘れた。〈おめでとう〉って》

《おめでとう、おめでとう、おめでとう》

僕は、何度も何度も心に言い聞かせながら、仕事に向かった。

《おめでとう、おめでとう、おめでとう》

「やぁ、おはよう」

上司に挨拶された。

「あ、おめでとうございます」

あっ！。

何を言っているんだ、僕は。

「すみま・・」

「いやぁ。僕の誕生日を知っているなんてビックリだなぁ」

「はぁ？」

「嬉しいよ、ありがとう」

偶然？。

でも、良かった。

勘違いが誉められた。

でも、君は仕事が終わったら、また逢いたいって言ってくれた。

でも、君は今日が誕生日だって言わなかったね。

僕はまた、変にヤキモキしながら仕事を終えた。

そして、待ち合わせの場所へ。

絶対、言おう。

言わなきゃ。

言いたいんだ。

すると、君は待ち合わせの場所に待っていた。

辺りはもう暗い。

公園には人も疎らで、まるでドラマのように噴水の前で待ち合わせた。

「行こ！」

そう言って君は、たぶん君のお気に入りのパスタの店に向かう。

さらっと、僕の腕に君の腕を絡ませて。

チラッと、君を見る僕は、嬉しそうな君の顔を見るのが嬉しかった。

すると君が

「やっと、私の一番嬉しい日に〇〇君と一緒に居られるね」そう言った。

そういえば、今までは、お互い仕事で時間が合わなくて、君の誕生日に逢ったのは初めてだった。

「うん」

何だよ、何だよ。

《おめでとう》って、言えよ。

自分に言い聞かせる僕。

「おめ・・・」

「ねぇ。ありがとうね。私の誕生日に一緒に居てくれて」

そう言って、無邪気に微笑む君。

「あ、うん」

僕は、その可愛さに言葉を失ってしまう。

≪早く言えよ！。おめでとうって≫

違う僕が囁く。

そう、急かされると余計言葉が出ない。

どうして言えないんだろう。

《僕の生い立ち？。上司には言えたのに。偶然だけど、〈おめでとう〉って言うだけなのに》

モヤモヤ、モヤモヤ。

好き過ぎると、何だかおかしくなるんだろうか。

緊張し過ぎるのだろうか。

何だろう。

何だろう。

「お、お、おめ、おめ、・・・」

ぶつぶつ、ぶつぶつ。

「えっ！何。何」

君が、またにこにこしながら僕を見る。

「あ！、な、何でもない」

≪何言っているんだよ。〈おめでとう〉も言えないのかよ≫

・・・うん。

そしたら、君のお気に入りのパスタの店に到着していた。

君は、嬉しそうにお気に入りのパスタを食べる。

僕も、そんな君を見ながら、嬉しくなる。

この時間が嬉しくて楽しい。

君を、見ているのが、傍に感じて居られる事が。

また、僕はぼーっと君を見ている。

「そんなに見ないでよ。恥ずかしいよ」

「あ、ごめん、ごめん」

「でも、嬉しいよ」

そう君は言う。

僕は、時間を忘れて君に見とれながら、何だか幸せを感じている。

モヤモヤしていた全ての事を忘れて。

「ありがとう。帰ろうか」

「うん、また明日」

「休みの日は、ゆっくり逢おうね」

「うん」

僕は、駅で君と別れて、幸せな気分で家に向かう。

きっと、ニヤニヤしながら、僕は歩いているのだろう。

本当に、僕は君が大好きなんだ。

夜空の月も星も、輝いている。

だけど、君の笑顔の方が、ずっとずっと輝いている。

「ただいま。ごめん、ご飯食べて来ちゃった」

僕は、余韻を消したくなくて、急いで部屋に入りベッドに横たわった。

そして、何だか眠くなって寝てしまっていた。

《あっ！。結局言えなかった〈おめでとう〉》

夜中に目が覚めて気づいた。

僕は、君に《今日は誕生日なんだよって言われても言えない〈おめでとう〉》

何なんだろう。

でも、君は、こんな僕の傍に居てくれる。

《忘れないでね、今度は》

そう言っていた君。

忘れないよ。

ずっと。

忘れないよ。

君の事は。

忘れないよ、忘れないよ。

誕生日も、君の事も。

だけど、言えないんだよ。

《おめでとう》が。

いつか言えるかな。

変な僕と、優しい君。

《今度は、言おう〈おめでとう〉って》

でも、僕は君には《おめでとう》より

きっと《ありがとう》と言い続けるんだろうなぁ。

ずっと、ずっと。

こんな僕の傍に居てくれて

【ありがとう】。

また、次の君の誕生日も、一緒に居たいから。

一緒に居たいんだ。

いつか、必ず言うからね

《おめでとう》って。

でも、言えないかな。

アハハ。

僕なんだ。

これが、僕なんだ。

君の誕生日。

君と一緒の、君の誕生日。

僕はきっと、忘れないよ。

《おめでとう》もだけど、

僕は、

きっと僕は、

僕の人生の最期に、君に

・・【ありがとう】って言いたいんだよ。

・・言えたらいいな。

℘*《お誕生日、おめでとう》

      大好きな君へ*℘♡

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