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最近聴いてる音楽~James IvyとSATOH~

どうも皆さん、YU-TOです。

「最近どんな音楽を聴いてるの?」と人に聞かれた時、「多分、"オルタナティブ"って呼ばれる音楽になると思うんだけど、、、」なんてことを言うものだから、どんなサウンドを聴いているのかを大概理解してもらえないことが多い。

言っている自分ですらも、どこら辺の音がオルタナティブに分類されるのかをはっきりとは理解していないし、"ジャンル分けがきっちりされていない音楽" が世間でそう呼ばれているといったイメージがある。

だから、"オルタナティブ" って年代によっても変わってくるのかなと思うし、数年経ったらそう呼ばれていたものが普通のロックとして扱われていたり、"パンク" と呼ばれるようになっていたり、はたまた全く新しいジャンル名で呼ばれていることもあるかもしれない。

そんな立ち位置の曖昧さがオルタナティブな音楽の魅力で、確立され切っていない未完成さが、聴いていてとてもワクワクする。

本当に、ここ最近はメタルを全く聴かず、この"オルタナティブ" と呼ばれているだろう音楽ばかりを聴いている。

まず、もう1年ほど前から虜になっているのがJames Ivyというアーティスト。

若干23歳という年齢ながら、独創性に溢れ、かつどこか懐かしさを感じさせる音を出していて、この融合がいかにも現代っぽい。

"昭和レトロ" が、平成を飛び越えて令和時代にオシャレと捉えられる流れが世の中にあるが、ここ最近は90年代の息吹を感じさせる"平成レトロ" な音を自身の音楽に取り入れるアーティストが水面下で増えてきた。

このJames Ivyもその内の1人で、ドラムサウンドがモロに90年代ヒップホップを彷彿とさせ、スクラッチノイズも多用し、EDMの4つ打ちとはベクトルの違うモッサリ跳ねた打ち込み16ビートを貴重とした楽曲が特徴的だ。

ドラムサウンドは恐らくMPCの音を意識しているのだろうけど、これが現代で聴くと何故か新鮮。

先週リリースしたばかりの新作「Everything Perfect」では、メロディラインやギターのコード感が往年のThe Smashing Pumpkinsを思い起こさせる部分が多く、個人的にはガッツポーズ。

音楽的に目新しいことをやっているわけでは無いのだけど、こういう良い意味でチープなヒップホップ特有のグルーヴに、90`s エモ・オルタナティブな響きのギターが乗っかったサウンドって、今までありそうで実はなかったなと。

あと、James Ivyが歌うメロディってものすごい独特。

気持ち良いところにいくのかと思ったら、あえて外して、また再び気持ち良いところに戻ってきてを繰り返すような浮遊感あるメロディをラップ調に歌い上げるそのスタイルは、似たようなタイプのボーカリストが見つからない。

表現力も色気もあるし、"上手い" 部類に入る歌だと思うのだけど、甘味をほとんど感じないアングラ臭がする声質で、どちらかというと同性から支持されるような声質なんじゃないかと。

正直、日本で人気が出るタイプの音楽ではないと思うけど、個人的には好みドンピシャで、もしかしたら今1番好きなアーティストは彼かもしれない。

あと、ベクトルはちょっと違うけどJames Ivyと同じようなものを感じて、ここ最近どハマりしているのが日本のSATOHという2人組アーティスト。

まず、日本人であれば1発で名前を覚えられるであろうふざけたアーティスト名にズッコケるが(笑)、そのサウンドは地味に鮮烈。

James Ivyが90`s ヒップホップにオルタナティブなバンドサウンドを掛け合わせた音楽ならば、SATOHはヒップホップに邦ロックを掛け合わせた "Nu邦ロック" な新しい音楽を体現していて、これが実に心地良い。

「日本のロックに革命を起こす」という大層ビッグな目標を掲げて活動しているらしいのだが、「これは確かに、地味に革命的なことやってるわ」と、珍しく感心してしまった。

打ち込みのビート音はヒップホップのそれなのだけど、曲の疾走感とギターのコード感はいかにもな邦ロック。

ボーカルはメロディが中心だけれどラップ調で、声質はヒップホップ寄り。
歌詞はふざけているようで意外と深く、基本的に前向きな気持ちを歌っているところには共感が持てる。

単語のチョイスが現代っ子丸出しで、ヒップホップから派生していることがよく分かる単語がチラホラ出てきて思わずニヤニヤ。

少し前にライブも観に行ったのだが、荒削りながらもなかなか熱いライブを展開していた。

生バンドを従えてのライブは初だったようで、まだまだ改善の余地ありと思わせる場面も多々あったが、リズム隊はしっかりしていたし(特にベースが上手かった)、勢いあるパフォーマンスは細かいこと抜きに楽しめるものだったから、まあ合格点かなと。

最後に演奏した"TOKYO FOREVER"では、ボーカル LINNA氏がギターを持たずに歌っていたのだけど、正直ギターを持たないで歌った時の方がアグレッシブで断然カッコ良かった。

MCは拙いけれど、その "陰キャ" な感じがアグレッシブにステージ上を動きまくるパフォーマンスとのギャップを生み出していてカリスマ性を大いに感じたし、ルックスも良く、色気もあるから今後かなり人気が出るんじゃないかな?。

この日のライブは、SATOHのアルバムリリースパーティーで2マンイベントだったのだけど、渋谷WWWがほぼ満員になるほどの大入りだった。

SATOHはコロナ禍で生まれ、"Flag21" というコミュニティを立ち上げ、クラブイベント主催を中心にここまで活動してきたらしいのだが、それをここまでの形に出来たというのは単純にすごい。

自分が知らないところで、全く新しいシーンが生まれてきているという事実を若い世代に見せてもらって、大いに刺激になった。

あと、会場BGMでJames Ivyの曲が何曲も流れていて「ああ、やっぱり好きなんだなぁ」なんてことを思ったのだが、最近読んだインタビューによると、どうやら交流があるらしい。

まだ名前は付けられていないけれど、きっと何らかの新しいシーンが水面下で誕生しているのだろう。

今ある言葉で表現しようとすると、"オルタナティブ" というジャンル名になってしまうのだろうけれど(インタビュー中では"ハイパーポップ" と呼ばれている)、何かもっと新しい、色々なジャンルが混じり合った新しいシーン。

SATOHのライブが始まる前、となりの若いお客さんのグループが「今日モッシュって起こるのかな、、?」なんてことを話していた。

実際、この日はモッシュらしいモッシュは起こらず、盛り上がりつつも、お客はまだどうノって良いのかが分からない様子だった。

この "完成されていない感じ" 、最高じゃないか。

色々な面において確立され過ぎてしまっている狭義な音楽も、それはそれで良いのだが、このまだ名前がない、捉えどころがない、未完成なシーンが、今の自分にはたまらない。

だから、ここ最近は自分がどんな音楽が好きなのかがうまく説明できなかったりするのだ。

説明しようとしても、言葉がない。

好きな音楽シーンがあっても、それがまだ世の中にちゃんと定義されていない。

客ですら、その音楽にどうノッて良いのかがわからない。

新しいことの始まりというのは、いつだってそんなものだ。

この、今の自分が好きな音楽が今後どうなっていくのかがとても楽しみ。

この2組の動向は、これからも逐一チェックしていこうと思う。

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