ちょっとしたV字回復の経営 #1 着任

これはちょっとした規模の赤字の事業部門がV字回復するまでの話。事業の規模としては売上高10億円くらいです。

キャリア
それまでの私は商品開発、経営企画、マーケティングといったいわゆるスタッフ部門をずっとやってきた。スタッフ部門というのは営業のようなノルマのような数字責任が無い。企画や分析といった仕事は外から見てあまりプロセスも見にくく、業績評価は基準があいまいなことが多いというのが実感で、その中で何とかやりくりしながら一定の評価はしてもらって来た気がする。そんなスタッフ部門に居心地の良さを感じていた。

任命
そんな私がマーケティング部門の部長を任命されてから半年後のある日、突然社長に呼び止められた。

社長「知ってると思うけど赤字のK事業を何とかしないといけないよね」

K事業は会社の中では規模が小さいが伸びしろのある事業だと思っていた。しかし同時に事業立ち上げ依頼ずっと赤字という問題も抱えていた。ここはマーケティング責任者としての分析、戦略立案の見せ場が来たと思った。

私「そうですよね、私で出来ることお手伝いしましょうか」
社長「何言ってんだ。お前がやるんだよ」
私「!?」

マーケティング部門の状況もやっと把握できて新たな方針を掲げた矢先の出来事だった。

嫌だった
断りたかった。幼稚な考えだが、数字のプレッシャーに追われるのは嫌だった。居心地の良いスタッフ部門でのんびりやっていたかった。しかも赤字部門で失敗すれば事業撤退までありうるというような役目は自分のキャリアにとってリスキーだと思った。今思うと恥ずかしいくらい無責任で自己中心的な発想だった、しかしそれが素直な気持ちだった。仕事では会社の業績達成よりも自分自身のスキルを高めて自己達成することが自分にとっては重要だった。

「マーケティングでまだまだやりたい事がある」だとか何かと理由をつけて食い下がったが、社長は少し笑いながら「もう決めたから」と言って取りつく島もなく、たちまち事業部長就任が決定した。

(つづく)

まとめ
・リーダーになる時はある日突然やってくる
・ネガティブな思考状態でスタート

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