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初心者のための「腹診」・実技編

どーも。ゆーのすけです。

今回は切診のひとつ、「腹診」について書いていきます。

1つ目の記事にも書いたように

経絡治療とは

「すべての疾病を経絡の虚実状態として把握し、それを主に鍼灸を用いて補瀉し、治癒に導く伝統医術である。」
『日本鍼灸医学』P8

とされています。

経絡の虚実を判断するために脈診が主な診察法として使われますが、腹診は脈診をサポートする大事な診察法になります。

◆脈診と腹診の関係性と、腹診の意味

腹診は体幹を見ている性質上、経絡というより臓腑をみている側面が強いと思われます。
臓腑経絡説を信じるのであれば、臓腑の状態は経絡にも表れますので、腹診でも経絡の状態を判断できると考えられます。
しかし、この辺の考えは諸家により意見が分かれます。

例えば、岡部素道は

「腹診によって治療のための経絡、経穴は分配することはできない・・・」

としていますが、

福島弘道は

「腹証、脈証には一貫性がある」

という立場です。
臓腑と経絡の相関性については、はっきりとわかっていない部分多いと思われます。
個人的な僕の感覚でも合うときもあれば合わないときもあるという感じです。

しかし、腹診は証立てに活かすことだけでなく、患者さんの東洋医学的な病態把握と、鍼の効果判定法としても大きな意味があります。

また、漢方は腹診で処方を決めることも多いので、漢方で使われる腹診も学ぶと、鍼灸理論と漢方理論の翻訳もできるようになるでしょう。

そして、お腹の硬さは脈診と違って、患者さんと共有しやすいです。そういった意味でもやらなきゃ損です。

腹診をする意味

是非、臨床に取り入れてみましょう。

腹診は『実技編』『理論編』とに分けて書いていきます。

今回は『実技編』として書いていきます。

◆腹診の前に気を付けること

・患者さん
仰臥位で、両足をまっすぐ伸ばし、手は身体の両側で伸ばしてもらいましょう。この時、腹に力を入れないようにリラックスしてもらうことが大切です。

・術者
基本的には、患者さんの左側に立ち、主に左手で診察します。手は冷たくないようにします。また、最初から強く押さないことが大事です。不快感を与えない触れ方を常に意識しましょう。安心感を得られるようにすることがポイントです。


◆腹診の大まかな流れ

お腹の見た目から得られる情報と、触って得られる情報とがあります。望診(視診)→切診(触診)の順番で行いましょう。

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