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投手起用で負担が少ないのは日本式か、メジャー式か?

ユーシロです。

ロッテの佐々木朗希は13日に右上肢の疲労回復遅れのため、一軍登録を外れ、出場選手登録抹消は今季2度目になる。この話題になると、たびたび注目されるのが、「メジャーは早過ぎではないか?」「中4~5日のタイトなスケジュールで投げれるのか?」などという懐疑的な意見が出てきます。

メジャーの登板間隔を聞いたことがある人もいますが、日米の先発について、深く掘り下げてみましょう。

メジャーでは、先発投手は1試合100球を目安とし、中4日の間隔でマウンドに上がる。それに対して日本では、1試合130球を超えることもあるが、登板間隔は中6日で週1回のペースでマウンドに上がる。

球数少なく登板間隔が短い方がいいのか、あるいは球数が多くても登板間隔が長ければ問題ないのか。これは永遠のテーマです。

メジャーは半年間で162試合を行いますが、球数制限という視点では、


前半2ヵ月、中盤2ヵ月、終盤の2ヵ月で3つのスパンに分けて考えています。


前半は100球を超えないようにリミットをかけて、中盤は前半の様子を見ながらもう少しいけそうな投手は伸ばし、まだ無理してしまうと故障しそうな選手はそのままキープして、最後の2ヵ月はリミッター解除をします。最後の方は選手も投げたいし、首脳陣も投げてほしいという思いが一致するので、無理させて怪我をすることは殆どありません。

1年という大きな枠を考えながら、段階的に1試合あたりの球数を微調整していく。それには、メジャーでは1シーズンあたりの球数に関する定説があるからだ。

メジャーは1シーズン3,000球というのが1つの目安になっている。それ以上投げたシーズンの翌年は統計上、成績が落ちる傾向にあることが長い歴史の中でデータで出ています。また、メジャーでは中4日のうちブルペンで投球練習するのは1回だけで、日本の場合、中6日のローテーションで2~3回はブルペンに入ります。


長期的なスパンで捉え、短期的なプランに落とし込むのがメジャー式です。


さらにメジャー式の球数と先発ローテーションの相関を陸上に例えてみましょう。

1試合を400メートル走に置き換えた場合、何分インターバルを空けて走ればいいのか。キツめの400メートル走を10本連続で走る時、インターバルがなかったら2、3周でパフォーマンスは上がらなくなります。でも、インターバルを取れば、パフォーマンスを維持しながら走れることが出来ます。

日本の場合、1試合あたりの球数が多いので、400メートル走ではなく800メートル走に近いかもしれません。800メートルを走って中6日空けるやり方が日本式で、400メートルで全力を出し尽くす前に休んで中4日で走るやり方がメジャー式です。

短い間隔で球数が少ないのと、球数が多いけど休みも多いというのでは、どちらがいいか判断するのは難しいかもしれません。ただ、2ヵ月単位のプランに基づくものであれば、メジャー流の方が合理的です。また、日本は間隔が長く空いても、その間に投げているのであれば、休みが多い意味は無いでしょう。

日本で先発投手のキャリアを考えると、良い時期が続くのは大体6年と短いです。体が強いと言われる楽天の則本投手でも7年目に故障しています。今までの試合の反省点を踏まえて、投球練習で必要以上投げたり、筋力やスタミナアップで自身の体に釣り合わない練習をしているからだと思います。

しかし、メジャーではカーショーやシャーザーを始め、メジャーの投手はいい時期が10年以上続きます。それはムダな練習を省いて、試合(実践)を一番に考えるからです。

疲労が蓄積すると、筋肉のパフォーマンスは落ちてしまいます。筋肉が疲労して出力が落ちれば、筋肉を支える靱帯や骨が影響を受け、疲労した状態で投げ続けると、肩肘だけではなく膝や股関節にも影響を及ぼします。

ピッチャーは疲労がない状態を作って、次の登板を迎えることが大事です。疲労に対して耐性は生まれますが、パフォーマンスが落ちてきたところで、100パーセント出せると錯覚して投げると、体の疲れと脳で考えるイメージがマッチしないため、怪我が再発します。

それを防ぐためにも、1試合投げたら、あるいは100球投げたら、自分は何日休めば元のパフォーマンスに戻れるのか、自分なりの物差しを作っておくことが大切です。

球数と投球間隔に関する議論は尽きませんが、長いキャリアを送る上では、短期的ではなく、長期的な視点を持ちながら、各投手の特性を理解することが大事です。

ダルビッシュや山本由伸も25歳前後でメジャーに行って、佐々木朗希は22歳でこれからです。皆さんも温かく応援してあげましょう。





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