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日本企業に直面する2024年問題

ユーシロです。

明けましておめでとうございます。新年が始まり、世の中の変化は目まぐるしく回り、政治的・経済的問題も解決の見込みがないまま山積みしています。そこで、2024年に日本企業を取り巻く環境、直面しそうな問題などについて、見通しを整理して2024年に臨んでいきたい。


問題1:人手不足が引き起こす産業の新陳代謝

日本の多くの産業で、人手不足の問題が深刻化している。高齢化社会の影響、若者の職業選択の偏向、そして「2024年問題」と言われる労働時間の上限規制など法制度の変化により、あらゆる業種の企業が従業員の不足に直面している。人手不足であるが故に操業できない、または事業を断念するというのも当たり前になる。このような状況では、デジタル化は必要だ。
例えば、飲食チェーンなどでも、タブレット型のタッチパネルで注文する店が増えている。場合によっては、店内のモニターに調理が完了したものから番号が表示され、それを見て自ら料理を取りに行き、決済はQRコードでキャッシュレスで済ませて、下膳も自分でするといった店もある。
デジタル化は、今日のビジネス環境において避けられないものだ。人手不足に直面している企業にとって、デジタル技術の活用は生き残りを懸けた必要不可欠な戦略となっており、これに対応できない企業は一気に衰退する一方で、最新のデジタル技術を駆使した企業は一気に成長するだろう。


問題2:従業員が引き起こすAIに起因する問題多発

人工知能(AI)の進化は、多くの分野で革命を起こしつつある。これまでは、話題先行であったが、今年からはいよいよ本格的に使用が始まる。それに伴って、企業はさまざまな新しい問題に直面することになる。
例えば、フェイク画像はAI技術を使って現実には存在しない人物や出来事を非常にリアルに作り出す。偽造された画像は、一般的には詐欺、個人の名誉毀損など不正行為に利用される。この際、対象が政府要人や芸能人だけと考えるのは正しくない。精巧に作られた社長の偽のハラスメント動画や取引先への侮辱発言などがSNSで拡散され、会社の評判を下げる道具になることは十分にあり得る。また、オンライン上で社員の名をかたる者に偽情報を拡散されることもある。
こうした問題に対処するためには、AI技術の開発者や利用者はもちろん、従業員全員が高いAI倫理とメディアリテラシーを身に付ける必要がある。そのためにはAI技術で起こり得る問題を熟知した上で、政府や国際機関の作成した規制やガイドラインを学習し、適切な利用を促進することが必要だ。


問題3:労働の「聖域」の消滅

これまでの労働環境は、スポーツ界や芸術分野、そしていくつかの古い業界では、過酷な労働条件やハラスメント的な言動もある種の「聖域」として見過ごされてきた。しかし、2024年現在では、これらの領域においても、公平で健全な労働環境の確立が強く求められるようになっている。
スポーツ界でも、選手の健康と福祉が優先されるべきであり、過度なトレーニングや不適切な管理による精神的・身体的な損害に対する意識が高まっている。芸術分野でも、創造的な仕事に従事する人々の権利と労働条件に対する関心が増しており、公平な報酬と過剰労働に対する配慮が求められるようになっている。
また、古く遅れていると考えられていた業界においても、長時間労働や不安定な雇用形態に対する批判が強まり、労働者の権利保護や安全な職場環境の確保が重要視されている。
今後、ベンチャー企業やコンサル、医療関係者や個人事業主など裁量労働が基本である職種にも及ぶことになる。ベンチャー企業にのみ長時間労働が認められていては、大企業はそのスピード感に太刀打ちできないからだ。
今後、労働市場全体で、従業員の権利と福祉を尊重する文化がより一層強化されることが予想される。企業は、持続可能な成長を遂げるために、従業員の満足度を高め、健全な労働環境を提供することが必要だ。


問題4:パンクする管理職の増大

現代のビジネス環境では、管理職の役割が以前にも増して複雑化し、負担が大きくなっている。業務改革の進展により、管理職は従来の業務に加えて新しいプロセスや方法を取り入れる必要があるからだ。これには、デジタル化の推進や市場の変化への適応など、これまでとは異なるスキルや知識、リスキリングが求められており、このような変化に迅速に対応することは、管理職にとって大きな挑戦だ。
さらに、従業員一人ひとりへのサポートも管理職の重要な役割となっている。従業員のキャリア発展やメンタルサポートは、チームの生産性と満足度を高めるために欠かせない要素だからだ。ただし、個々の従業員に対する細かいサポートは、膨大な時間と多大なエネルギーを管理職から奪い、管理職を消耗させる。
また、ハラスメント防止や組織内の調和を保つための努力も必要となっている。多様なバックグラウンドを持つ従業員が共存する職場では、対人関係の摩擦が生じやすいため、管理職は緊張や争いの解消に常に留意する必要がある。常に周囲に気を配らなければならず、精神的な負荷は大きい。
コンプライアンスの順守や法規制の変化に常に注意を払うことも、管理職の責任であり、失敗は許されない状況だ。違法行為や不正を防ぐための対策や教育は、組織のリスク管理において重要な役割を果たすから、これらの業務は複雑で時間を要する。
これらの責任を全て担うことは、管理職にとって非常に負担が大きく、その割には「出来て当たり前」で感謝もされないし、報酬も増えないから、管理職の役割を望まない人が増えているのは当然のことだ。既に管理職の業務は疲労を余儀なくされるものしかなくなっている。
企業はこの問題に対処し、管理職のサポートと業務の合理化を図らなければ、人手不足を促進させてしまう。


これら4つのトレンドは、いずれも企業の組織運営に与える影響が大きい。中でも人手不足対応とデジタル技術の利用は組織運営そのものを大きく変えるインパクトを秘めており、これらへ適切に対応できるかどうかが会社の将来を決めるだろう。

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