ネットアスリートとダークエルフの呪術師

書けと脅されたので、今日はある友人の話をします。
彼は最近好きな人ができたのですが、一気に仲良くなったと思ったら一気にギクシャクしてしまい、今は一時的に疎遠になってしまっています。
その間約2ヶ月。ものすごいスピード感です。
彼の身にいったい何が起こったのか?簡単に振り返ってみましょう。

○彼

・ダークエルフが好きで、リアルで好きになるのもそんな雰囲気の人
・動きに躊躇がなく、ゲームが上手
・発言に躊躇がなく、友人にも厳しいことを言う
・自分を鍛えるのが好き
・単に好きなだけではなく、ものすごく価値を感じてもいる
とてもストイックな人なのですが、寡黙でも慎ましやかでもなく、雄弁を是としている。アスリートにたとえると大谷翔平や羽生善治よりはイチローのようなイメージです。

○ダークエルフ

・眉目秀麗で人当たりがよい
・明け方まで友達とゲームをし、煙草を吸う
・悲観的で、努力しても自分自身は変えられないと思っている
・向上心がない
漫画でたとえると、髪はピンクのメッシュでバンギャファッションで舌にはピアス、場合によってはタトゥーなんかも入れちゃってて、浴びるように酒を飲んでは酔い潰れて部室に寝泊まりしている女の先輩みたいな人。破滅的な美人ってやつですね。

○彼らはいかにして破局に至ったのか

最初は仲良くゲームなんかをしていて、彼はとてもゲームが上手なものだからけっこう好感を持たれていたようです。
順調に仲良くなっていったんですが、ある日彼は気付いてしまった。ダークエルフにはたくさんの男友達がいて、自分もその中の1人でしかないことに。
「眉目秀麗で人当たりがよい」のですから人気者なのは当たり前なのですが、彼女はあまりに破滅的な生活をしていたので、人間関係も破滅しているのではないかと思ってしまうのも無理からぬことです。

「別に男友達がたくさんいてもいいでしょ。これまで順調だったんだし、そのまま関係を続ければいつか彼女の一番になれるかも知れないじゃん」
「そこまで先の事考えなくても、まずは友達として仲良くなってけばよくない?」
これが普通の感想だと思うのですが、ショックを受けていた彼は本来の粘り強さを発揮できませんでした。
「人生を良くする気がねえ、ぶっ壊れた生活リズムを直そうともしねえ、こんな女ロクなもんじゃねーは!!」
彼は叫びながらdiscordの深淵へとその身を投げました。

冷静に考えると、一時期の彼は確かにおかしかった。鍛錬こそ我が人生、肉体こそ鋭気の源、そんな面持ちで人一倍健康に気を使っていたはずの彼が、毎晩お酒を飲みながら深夜まで一緒に遊んでいたようですから。
まさにダークエルフの呪い。恐ろしいですね。

好きだけれど、自分の成長にとって悪影響だから決別を選ぶというのも立派な考えだと思います。彼はそれをやろうとした。
しかし呪いに侵された彼の魂は天国にも地獄にも行けず、今なおダークエルフの森を彷徨いながら互いにDMを送り合っています。

○マリナーズの掟

彼はアスリートだったので、ダークエルフのあまりに破滅的で自堕落なところが許せませんでした。
夜はちゃんと寝ろ、向上心を持て、人は成長できる、自分の可能性を見くびるな…そんな風にシアトルマリナーズの掟を幾度となく教え導こうとしたようです。
でも無駄でした。むしろ自分の方がダークエルフの破滅の呪いに身を蝕まれていました。

人は変わることができますが、他人を変えるのは容易なことではありません。
ウチの親はかなり太ってるのに何度言っても運動しないし、余計な食べ物を買って来るし、三角コーナーを掃除しません。「○○するといいよ」「役に立つよ」なんて言葉は無力なのです。

向上心も大事ですが、その土台となるのは本人が元気であることです。元気であれば向上心なんか勝手に湧いてきますし成長マインドセットになります。実行のためのノウハウだって自分で勝手に調べる事でしょう。
人は皆、人生を切り拓く力を内に秘めています。ライフハックの知識や方法論なんかは世の中に溢れていますから、それを右から左に流すことに大した意味はありません。教え導くのではなく、相手をケアして励ましてやることが近しい人の役目だと私は思っています。

呪いに身を蝕まれながらも、ダークエルフの破滅に寄り添っていた一時期の彼。しかしそれこそが彼女を救う第一歩なのではないでしょうか。
自己鍛錬にかける彼の情熱は本物です。時間をかけて仲を深めていけば、ダークエルフの方も影響されて勤勉な生活を目指すようになっていくんじゃないかな、と思います。

○人間強度VS人間関係

私は絵や文章を書くのが好きで、たま~~~~~~~にこうやって書いています。ですが消費するエネルギーが大きすぎるので、ゲームや友達とのチャットなど他のローコストな娯楽に流れてしまいがち。
そんな自分の不甲斐なさにマジギレして、毎日遊んでいた友人たちと突然連絡を断って失踪したり、毎日6時間遊んでいたゲームを急にやめてみたりなどの極端な施策に走って創作活動に打ち込もうとした時期があります。
やり始めた直後は確かに効果があるのですが(モチベーション高い時期にやり始めるのだから当たり前)、そのうちやる気もなくなって人恋しくなって元の木阿弥、みたいなことを何度もして来ました。

人間だからモチベーションに波があって当たり前、向上心があったりなかったりして当たり前なのですが、当時の私にはそれが許せなかった。まぁ今もそんなに許せてないんですけどマシにはなりました。

絶望に打ちひしがれ、ダークエルフとの決別を選ぼうとした彼を見ていると、なんだかそのことを思い出します。
彼は自分の内なる批判の声に反論するのが私の100億倍上手なのでそんなに心配はしてませんが、元気を出して欲しいなと思います。

○イチローのファン

最後になりますが、他の友人たち(私とは面識がない人もいますが)の書いた記事を置いておきます。
第一印象は誰に聞いても「やべーのが来やがった」って感じのヤツなんですけど、これらの記事を読んでるとなかなかどうして人望があるんだなと思います。


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