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篠田桃紅『百歳の力』を読んで

 日頃、死について考えていることを、ゆるゆると書いていきます。
 今回は、篠田桃紅『百歳の力』を読んで考えたことを書きたいと思います。
※私の感想を書いていくので、本の内容には詳しく触れませんが、これから読まれる方にはネタばらしになってしまうかもしれないので、ご注意ください。

 著者の篠田桃紅さんは、墨を使った抽象画を描かれる芸術家です。1913年生まれで、現在もご存命です。
 日本人の平均寿命は80歳くらいですが、100歳を超えてなお現役でお仕事をされているという方は、ほとんどおられないのではないかと思います。

 私がこの本を読んで感じたことは、やはり100年という長い時間を生きている方は、物事に対する感じ方が、私とは全く異なっているということです。
本の中に、「人間としてやることはもう全部やっちゃったみたい」という見出しがあるのですが、私は、今すぐ死ぬとなったらまだやりたいことが沢山あって、とても全部やったとは思えないと思います。一体何年生きたら、「全部やってしまった」と思えるのでしょう。それは、長生きしてみないと分からないことです。
 私は、「人間の人生は、短いなぁ。どんなに長くても100年くらいだ」と思うことがあるのですが、人間は、元々長くても100年くらいしか生きられないようにできているので、実際に100年生きていると、やっぱりとても長い時間なのではないか。篠田さんの言葉からそう感じました。

 篠田さんは、戦前、戦中、戦後を生き抜き、結核にかかるなど、何度も生死の境を彷徨ったそうです。しかし、死についてあれこれと思い悩むことはあまりなかったと言います。考えたくないことは考えない癖がついているのだそうです。
 私は、特に悪いことが起こっている訳ではないときでも、「ああなったらどうしよう」とか、「死んだらどうなるんだろう」と考えてしまうことが多いのですが、「心配しても改善できないことは、考えない」というようにできたら、もっと前向きに生きていけるのではないかと思います。しかし、考えないようにすると、もっと考えてしまうということも多いので、どうやったら考えないようにできるのか、色々試してみたいです。

 また、篠田さんは、女性が海外に行くなど考えられないという時代に、40代で初めてアメリカに渡って展覧会を開くなど、年齢や、社会の常識に囚われない生き方をしています。
 私は、生活するなかで、どうしても世間体が気になってしまったり、自分にはできないのではないかと思って諦めたりすることがあるのですが、篠田さんは、「なんとかなる」という自信と、「常識ではこうだけど、自分はこう思う」という強い信念を持って行動されているのではないかと思います。

 何歳まで生きられるかというのは誰にも分かりません。だから、篠田さんのように100歳まで生きて仕事をしたいと思っても、それが叶うかどうかは分からないことです。しかし、自分の年齢に関わらず次々と新しいことに挑戦していく篠田さんの生き方は、何歳からでも始められると思うので、私も「やりたい!」と思うことがあったら、積極的に取り組んでみたいと思います。

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