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カップリング香水は涙とヒノキ

香水ショップのScentlyさんがあまりにも素晴らしかったので、私はテーマを変え、新たな香水をオーダーした。

そして届いた香は、涙を思わせる風味をしていた。時が進むとヒノキ風呂のような森の中に落ち着く。むむっなぜだ。なぜなんだ。

ちゃんと味わって考察しなきゃ!
「推し香水、涙とヒノキ風呂なんだ」で終わらせたらもったいなすぎる。

レポートします。
今回は、男女カップリング香水です。

ちなみに、今回の結論としては、大満足です!


今回のオーダーシート

ざっくりこんなことを書いた。恥ずかしかった。
2人の出会いから信頼関係を結び、今後どうしていくかを語り、小説のようになってしまった。文字数制限にはちゃんと収まった。

・2人の略歴。年齢とお仕事、性格。
・2人のなれそめと、信頼関係を築くまでのいきさつ。
・前回オーダー時の香り(甘い系)とは別系統のものでお願いしたい旨

その結果は・・

2週間くらいで来た。前回と比較して早い!

渋い色使い。カラーコード指定すればよかったか・・


今回のレター。今回はぼかさない。

レターと香りから考察する!


①TOP NOTE

一人目の方に関して、「大人しい、何を考えているか分からない」、「自分は愛される価値はないという思い込み」という記載から、内向的で控えめな人物であると解釈しました。
レモンの果皮は苦みのある香りが特徴的です。近寄りがたい彼の性格にフィットする香りではないかと感じています。

レター抜粋①

一人目とは彼、推しのことである。
「内向的で控えめ」は◎。「愛される価値はない・・」そこをチョイスされたことが驚きだった。ダークな部分なのではっとさせられる。

「近寄りがたい」については、まあOK。推しは性格に多面性がある。見方によっては近寄りがたい人だと映ることもあるだろう。

さて香りはというと、「一番悲しい時に出る涙の味」という印象を受けた。レモンの爽やかさと同時にビターな香りが影のように伴走する。甘さはない。ほんとうに苦いし、大泣きした後味に近い感覚がする。これが味わえる香水ってすげー。

②MIDDLE NOTEとLAST NOTE

今回は、ミドルとラストの区切れ目が曖昧なのでくっつけてレポする。

二人目の方については、「明るく前向きに生きたいと思っている」、「辛くても混乱を乗り越えられる才能がある」とのことでした。
ラストノートでは、シダーウッドの森林浴をしているような香りが感じられます。
彼女の持つ誠実で意志の強い印象は、根をしっかり張るため偉大な力の象徴とされてきたシダーウッドと重なるところがあるのではないでしょうか。

レター抜粋②

二人目とは、彼女のことである。
彼と出会う前は、仕事の失敗から死を考えるほど落ち込みやすい人格をしているのだが、彼と出会い、生きる希望を得たことで立ち上がる。秘められた強さを持つ人である。その背景をオーダーシートで説明した。

「彼女の持つ誠実で意志の強い印象」そんな風に言っていただけるとは。私の考えたキャラなので、好印象な言葉で表現いただき嬉しくなった。

香りについて。香はガラッと変わり、森の中に誘われる。針葉林が目の前に確かにある。しっかりと筋肉を付けた木の幹の香り。森の中を吹き渡る甘い風。
ぱっとヒノキって思ったのはここから。なぜレモンから立派な木に成るのか。香水は不思議なものだ。

最後に、「お互いが何よりも愛おしい、大好き」であるというお二人には、
「君がいて幸せ」という花言葉を持つ、ゼラニウムのグリーンフローラルの香りもきっと似合うでしょう。

レターその③

そうそう、そうなのよ!二人は、お互いが存在して、共に生きる喜びに、価値を見出してるんだっ・・分かってくれた・・
「君がいて幸せ」に全部凝縮されてる・・っ

ラストノート、よくわからないんです。ミドルとラストの違いが私には分かりづらい。ゼラニウム(花)→ シダーウッド(スギ)に変わっているらしいのだが・・・どっちも森じゃない?

届いてから何度かプッシュして嗅ぎ分けた香りを表すとこんな。↓

ミドルノート(ゼラニウム):緑の枝葉広げる樹木の香り。瑞々しい。

ラストノート(シダーウッド):木の幹の香り、ふわりとあたたかい香り

ミドルよりラストの方があたたかみがある気がする。火が灯るような感覚。

なのかな?また後日楽しみながら新しい表現がひらめいたら、こっそり加筆しまーす。

解釈が物足りないので調べてみた

解釈深める上で、素材となった植物の花言葉などを調べた。

レモンについて
レターでは、彼の闇の側面を表してると解説してたのだが、実際調べてみるとレモンの実には「愛に忠実」、「誠実な愛」の意味があるとのこと。
え、それって彼の愛がそんなテイストだって解釈でいいですか?
そうだとすると最高。

シダーウッドについて
シダーウッドとは杉のこと。杉の花言葉をぐぐったら新たな発見があった。

中国の伝説に「連根の杉」というものがあります。
ある王様が家臣の美しい妻に恋をしてしまいました。その王様は家臣を無実の罪で牢に入れてしまいました。家臣は耐えきれず牢の中で死んでしまい、その後を追うように妻も自殺をしてしまいました。王様は怒り狂って、二人の墓は絶対に一緒にするなと命令しました。
しかし、別々の二人の墓から杉が成長し、枝と根が絡みながら、一つの木のように大きくなっていったという話です。
そこから、「君のために生きる」という花言葉も持ち合わせます。

下記サイトより抜粋

彼女を表すためのシダーウッドだったが、「君のために生きる」という意味も隠し持っていたとは。そうだよ、彼女は、彼に恋をしている。だから辛くても苦しくても、生きていくんだ。彼を愛したいから。そんな彼女の姿勢が、このシダーウッドの言葉やこの逸話に・・合う!!

ゼラニウムについて
ゼラニウムとは、こんなお花だそうだ。あまりなじみがなかった。

レターで紹介されてた、「君がいて幸せ」という花言葉。その由来は、
ゼラニウムの花が中央に向かって寄り添うように咲く姿が、仲睦まじく映ることからきているらしい。
これ、さっきのシダーウッドの中国の逸話と相まって、親和性あっていいなあ・・・

推しカップリングの仲良しさ、2人の絆の結び方が証明されてる!

パチョリについて
ラストノートに使われてる、インドの植物。花言葉は隠蔽。
ラストノートで隠蔽ってなんかいいよね。大事なものは隠さないといけないよねえ。このカップリングの本当の絆は隠されてるってこと?

物語風に考察する

以上の材料から、この香水に物語を添えます。

1.内向的な彼は、愛されたいと願いながらも、こんな自分は愛されるはずはないと痛みを抱えて生きていた。
>その悲しみがレモン果皮の爽やかな苦み。

2.そんな彼と彼女が出会う。一緒に過ごすうちに、ふたりで過ごす時間が何より幸せだということを自覚する。悲しみは和らぎ、すっかり柔らかくなる。
>ゼラニウムでふたりの出会いと感情の変化を表現。

3. 彼女は、世界がどんなに辛く苦しくても、彼と一緒に生きていきたいと思った。その意志は固い。その力強さと誠実さでもって彼を幸せにしたい、その気持ちでこれからも生きていこうと決意した。

2人の気持ちはひとつになり、やがて一つのいのちとして灯った。

>シダーウッドで、彼女の底力によって癒されていく彼の心、ふたりで生きていく決意を表現。香から感じる熱は、命の熱、活力なのか?

と、こんな話を創造した。
つまり、彼と彼女はひとつの生命になったのだ。涙は地に落ちて種を育て、樹木になった。

オーダーシートでは、「生きる希望を失った彼女が、彼との出会いによって自己受容できるようになり、やがて生きる活力を得る話」という世界観を記載していた。
この話の構図をざっくり言い換えると、「愛されたい苦しみの涙 → 出会いの光 → 気持ちが切り替わり、生まれ変わって新しい命として生きていく」 となる。
それが香水の香りの移ろいでぴったり表現できてしまっている。
オーダーシートの内容、隅々まで解釈いただいたということ・・?短期間で?
いやっ、恥ずかしい。そこまで読解されてしまったなんて。

総括

カップリング香水、ちゃんと関係性が香りになってる!
カップリングは初だったけど、解釈一致だった。オーダーシートに記載した内容に合ったそのものの概念を表してくださった。ありがたい。目に見えない、2人の間にしかない感情がそこにあるよ。ちゃんと味わえるよ。

それにしても今回は、彼女の色の方が強く出ていたな・・ヒロインの出番多めなのがバレているかもしれない。

実際の香水解釈を深めるとオーダー内容とより繋がる
ぶっちゃけ初見は、「なんで推しカップリングが涙から始まる樹木の香りなんだ?」と不本意感があった。もっとチャーミングで、清々しいテイストもありなのではと。(オーダーシート書かなかったけどさ

だけど、こうして解釈したら分かる。私の書いた世界観のポイントを正確に表そうと思えば、レモンとシダーウッドになるよ。ピッタリだよ。
「悲しみの淵からの復活」がテーマなんだなという印象を相手側に与えてしまったような気がしてる。それは間違ってない。

あと、「心の安全基地で一休みして、明日を生きる活力を得たい」という要望も伝えていた。それがラストノートのシダーウッドで表現されてると思った。ウッディな中に灯る火というか、あたたかさがあるから。
ちゃんと全部要望を拾っている。
調香師さんの解釈力、凄くない?本当に凄いし、私の濃い思想を読み取っていただいて嬉しい。申し訳ない。

香水の移ろいを物語風に解釈するのが好きだし、これからもやる
私は、トップからラストまでの移ろいを、推し概念と混ぜて解釈してストーリー作るのが得意である。
調香師さんが物語を意識して選定されたかはともかく、そんな風に解釈を深めれば、楽しさは倍増する。
「推し概念香水」にプラスして、推しの感情やその由来、ストーリーを作るのだ。そしてそれを香りだから現実のものとして体験できる。最高じゃないか?

「気合いの入ったオーダーシートを書いて注文する→香りが届く→解釈する」この営みが楽しい。私と調香師さんの解釈の深め合いというか。この営み目的でまた新たに注文するかもしれない。

そもそも、香水ってステキだよね!
私は香水自体には明るくない。でも、推し香水を通して、香りによってさまざまな感情や状況が表現できることを知った。香水って凄いなあ。
新しい世界を開けた。出会いに感謝。

Scentlyさんの手札は多種多様にわたると思う。推しとか関係なく、いろんな香水味わってみたいなと思った。

最高で素敵な香水をありがとうございました。

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