第二話「それぞれが、違う道を歩く雰囲気」 ジンは、己の前に差し伸べられた手を一切掴む事なく、ジッとその先の人物の顔を見つめる。 「アンタ、もしかして三つの極みを持つミズキって人?」 今度は恐る恐る、ジンは尋ねた。さっきは、つい思わず叫んでしまったが昔話の中で聞かされた人物の存在を、いざちゃんと目の当たりにすると予想以上にとても大きいと感じた為に。 名前を呼ばれて更には己の力を当てられたその当のミズキは、当然驚いた表情を見せる。目の前のジンとは、確かに今日初めて
ここは、ヴァサラ軍本拠地。ルナは、久しぶりに鬼神ラショウに会う為に、隊長として在籍している一番隊へ向かっていた。このルナと名乗る女性、青のロングヘアを風にサラサラと軽く靡かせ、誰が見ても整った顔立ちにゴスロリの様な服装を身に纏っている。ただそれだけ目にすれば、可愛らしい普通の人間のように思えるが、実際そうではない。もっと詳しく話せば、頭には悪魔の様な二本の角、背中にも同じように漆黒の羽、腰の辺りにも先端の尖った尻尾を持っている。サキュバス、という名の妖怪で可愛らしい顔と体躯
第一話「何かが動き出した雰囲気」 目を開けるとそこは、辺り一面闇に包まれた世界だった。 (何だ、暗い・・・ここは、一体どこだ・・・?) ヴァサラ軍一番隊隊長の鬼神ラショウは、すぐ目の前の現状に対して心の中で呟く。空気は冷たく、風は吹いていない。そんな環境の中、何故目を瞑って立っていたのか、己の事なのに全く疑問が拭えなかった。 しかし、そんな事を今考えるより先に、まずは現状の確認をしなければと思い立った。 (これは、随分静か過ぎる・・・今の俺の耳は
●プロフィール 名前:ミズキ(七福からは、アダ名の六福で呼ばれている) イメージcv:林原めぐみ 年齢:推定23歳(初登場時推定16歳) 性別:女性 種族:人間→人造人間 一人称:私 二人称:アンタ(心から敬っている人は、アナタ) 所属:カムイ軍→無所属→ヴァサラ軍一番隊預かり→ヴァサラ軍六番隊預かり 極み:花の極み ”百花繚乱“ (土の極みの派生) 鉄の極み ”鋼鉄化“ (雷の極みの派生) 凪の極み ”神凪“ (風の極みの派生) 武
これから、今回の任務地へ歩いて向かうある二人の姿があった。 七福とオルキス、実はこの二人、現在ここへ赴くより以前にほんの些細な事で喧嘩をしてしまっていた。そのせいで、ほとんど口も聞いていない状態だった。 そんな険悪な中、今回課せられた任務は何故か女性ばっかりが襲われる原因を突き止めて、その根源を絶つという内容だった。それに覇王ヴァサラから抜擢されたのが、七福とオルキス。実は、この二人は元だがヴァサラ軍の隊長という地位に収まっていたと同時に、実生活では本当の夫婦という
第七話「本当の、新たな敵が現れた雰囲気」 ついさっき、髪の毛の先までひどくザワザワと怒りを露わにしていたミズキは、今は奈落の底に落とされた想いで身体が石の様に固まってしまった。ラショウも、いつの間にかミズキをしっかり掴んでいた手を放してしまっていた。 「君が発現させた極みは、たった一つを除いてはヴァサラをこの世から完全に消す為だけに、ただ発現させただけですヨ。ヴァサラと同じ、疑似ですが無の極みを持たせる為に」 ドクターの口から語られる、ミズキ本人も知らない衝撃の事
第七話「(未定)」 ドクターの口から語られる、ミズキ本人も知らない衝撃の事実。 「君が発現させた極みは、たった一つを除いてはヴァサラをこの世から完全に消す為だけに、無理矢理発現させたんですヨ。ヴァサラと同じ、擬似ですが無の極みを持たせる為に」 ラショウとミズキ、お互いがお互いを今どういう気持ちで見れば良いのかわからなくなっていた。 (俺はミズキを、覇王ヴァサラを手に掛ける事の出来るコイツを、何も知らずに簡単に招き入れてしまったのか!?) (私は、覇王ヴァサ
第六話「再び激しい戦いが始まる雰囲気」 再び、時は現代に戻って、これまでずっとヴァサラの長い昔話を聞いていたジンやルトやヒルヒルは、少女の正体を知り絶句する。人造人間、三人も初めて聞く言葉で詳しくどういうものなのかは、少女についての話で少し理解出来た。しかし、それは最初に聞いた三つの極みを持っているそれより、かなり想像を絶するものでもあった。 「その女の人、すごく可哀想・・・」 ルトが、思わず吐露する。話の中で当人の少女は、同情してもらおうとは全然思っていない、と
第六話「再び激しい戦いが始まる雰囲気」(仮) ラショウは、覇王ヴァサラの邸宅を訪れる。そして、少女から聞かされた話を全て伝えた。 「そうか、奴にはそんな過去が・・・」 ヴァサラは、言葉を続ける。 「水刃式の一件で、儂の憶測は確信に変わったが、奴の過去を聞いて更に確信が持てた」 ラショウの目を、しっかり見るヴァサラ。 「無の極みだ」 「無の極み?何それ?」 その場に、偶然居合わせたパンテラが首を傾げる。 「無の極み、それは五神柱の基礎格を全て
第五話「今まで謎のままだった人物の正体が判明しそうな雰囲気」 少女は、あの日から一番隊隊舎の空いている一室を借りて、怪我の療養の為にヴァサラ軍に世話になっていた。まさか、ヴァサラ軍に世話になるとは全然思っていなかった少女は、常に警戒心と猜疑心を持って多くの隊員と接している状態だった。これまで、ヴァサラ軍は己の敵と感じていた少女にとって、厚意で世話になっているとはいえ居心地が悪い思いで過ごしている。そのせいか、一番隊に限らず他の隊へラショウに連れられて訪れた際には、何かしら
第四話「勝手に、厄介事を押し付けられる雰囲気」 現在、少女はある人物達からずっと追われていた。少女の今居るそこはカルミアの里で、互いの出方を窺って膠着状態に陥っていた。 (ついに、コイツ等に見つかってしまったみたいだな) 少女は、最悪な出来事に見舞われてしまった、と心底感じていた。 今から遡る事、数十分前。少女は、また平穏無事に暮らせる新たな村を見つける為に、野宿をしていたカルミアの里を抜ける為に歩いていた。 少女は、いい加減本当に、安息の地を早く見つけた
第三話「敵か味方かわからない雰囲気」 またある日、ラショウは己の一番隊の隊員達と剣(傘)の修行を、完全に陽が昇り切った時間から今まで行っていた。それは普段と何ら変わりない光景だが、ただその普段と違うのはラショウたった一人で、目の前の一斉に向かって来る隊員達を次々と向かい打って全て薙ぎ倒すという、とてつもなく激しい修行を繰り返し行っていた。それは、現時刻の丁度正午に当たるまでずっと続いている。その間ラショウは、ほとんど水を飲み腰を下ろす等の休憩を一切取らず、ただただその修行
第二話「二対一でも全く勝てない雰囲気」 時は、現代に戻り、ジン達三人はこれまでのヴァサラの話を聞いていた。 「えっ!?あの、ラショウが!?」 ジンが、声を上げて驚く。 「見す見す、敵を逃がしちまったのかよ!?ラショウも案外、間抜けだな!」 「おい、ジン!ラショ兄の事、悪く言うなよ!」 自称ラショウの一番弟子のヒルヒルが、ジンの言葉に噛み付く。ラショウの事を「ラショ兄」と呼び、男の中の男として心から慕っているからだった。 「いや、そんな風に感じるのも
第一話「不思議な少女に出逢った雰囲気」 ヴァサラ軍、それはこの世界のこの国全土に、その名が最も強く轟いている”覇王“と呼ばれる男、ヴァサラ総督を筆頭に率いている軍の名前。そこには、また彼を讃え守護する十二神将と呼ばれる幹部が、その文字通り全部で十二名存在している。 とある日、そんなヴァサラ軍の十二神将の筆頭に当たる一番隊隊長の鬼神ラショウは、同軍の六番隊隊長の才神ハズキの元を訪れていた。六番隊は、軍の医療・科学を全般に担う隊であり、そこの隊舎のある一室で二人はしばらく