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新米女社長の裏話~「(障害)当事者による、当事者のための」会社 ㈱アイデアルはなぜ立ち上がったのか~

株式会社アイデアル 代表取締役として書きました。NPO法人 コンボさんの「こころの元気+」7月号に掲載されました。

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弊社が立ち上がったきっかけが分かっていただけると思います。

「発達障害 空気を読まずに、言いたい放題」
私は発達障害当事者で、発達障害児の母の飯野由布と申します。
2019年11月に「(障害)当事者による、当事者のための」会社、株式会社アイデアルを立ち上げ、マイノリティ向けの情報web「あいである広場」の編集長兼ライターを兼務しています。弊社の取締役は私も含め、全員、障害当事者で構成されています。
弊社はある発達障害当事者の方が語った「障害者側も社会に歩み寄ろう」という言葉がきっかけとなり、立ち上がった会社です。
私は、子ども(現在7歳)の発達障害の診断が下った際に、自分もWAISを受けて、発達障害の傾向があることを知りました。
息子が2歳の時から療育センター通いが始まったのですが、それまで「普通の会社員」として生きてきた私にとって、まるで異世界でした。
そこにあったのは「私(私の子ども)に配慮しろ」という、私からすると一方的に療育者(支援者)に配慮を求める障害当事者の親(発達障害の家族性を考えると、親も当事者の方が多く感じました)の姿でした。
そのイメージが強烈だったため、社名の「アイデアル」には、「愛である」アイディアがある」以外にも「私(I)である」という意味も込めました。
それくらい「私が」「私の子供が」と自分のことばかりを主張するという印象が強かったです。
そこで違和感を持った私は、障害当事者取材を始めました。
その中でも違和感を持ち続けました。
合理的配慮をはき違えた「わがまま」を押し通そうとする、全て社会のせいにして努力から逃げる。果たして変わらなければならないのは社会だけなのでしょうか。
社会の側が変わろうと、障害当事者も社会に歩み寄らなければ、真の平等などあり得ないというのが私の考えです。それは発達障害者だけに限りません。障害者全般に言えることだと思います。
なので、弊社のwebサイトでは、障害当事者にとって耳の痛い話も発信しています
では、そんな事業をしている「(障害)当事者による、当事者のための」会社である弊社はどうなのか。「障害者側も社会に歩み寄ろう」という言葉に賛同した私たちでも、やはり実践となると難しく、もめごとは絶えません。
私は「他人のことはよく見えるけど、自分のことは見えない」という特性を持つ発達障害者にとり、検査やカウンセリングを通じての自己理解は、とても重要だと思います。就労や、人間関係を継続することが困難になる理由の一つは、自己理解の不足にあると思っています。
成人の当事者の幼少期には、発達障害という概念自体がなかったので、検査は受けていてもカウンセリングを受け、自己理解を深める機会は少なかったでしょう。
だけど、「自分が理解できていない自分のこと」を相手に分かって欲しい、察して欲しいと望むことは、不可能です。支援者も、親も、完全に自分を理解してくれるということはありません。自分が伝えなければ伝わらないのです。
しかし、この問題に関しては、発達障害者側の問題だけではなく、社会的なインフラ整備の問題でもあります。実際に発達障害者が自己理解を深めたい、カウンセリングを受けたいと思ったとき、その場があるかといえば、私が知る限り数えるほどしかありません。そして、コミュニケーションが苦手な発達障害者が、自己理解をし、それをうまく伝える練習の場も皆無に等しいです。
社会的なインフラ整備が、多くの成人の発達障害者の生きづらさを軽減するでしょう。そのための場を提供していくことも、弊社が目指すところです。

他にも興味深い記事がたくさんありますので、精神科やコンボの賛助会員になると実際に読めます。これからも㈱アイデアル及びあいである広場をよろしくお願いします。



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