就学相談|支援学級って実際のところどうなのか
今、就学相談真っ盛りという自治体も多いのではないか?我が家も最近、就学相談を終えた。今、息子は小学校6年生。中学校はやはり地元の中学校の支援学級に進学することになるだろう。普通学級がいいに決まってる!支援学級なんてとんでもない!と思っているご両親に、小学校6年間の息子の支援学級ライフについて書きたい。
小学校入学前は支援学級にものすごく抵抗があった
うちの息子は発達障害グレーゾーンなので、一見、普通の子と変わらない。
だから、私は「息子さんは支援学級に進学した方がいい」と教育委員会から言われたときは、ものすごくショックだった。
「この子の人生は終わってしまう」くらいは思った。
受け入れたくないって親御さん、多いと思うんですよね。
偏見バリバリで進学した支援学級だった。だけど、就学相談で「僕は友だちが100人できるとは思わないので、ママが友だちでいいと思う!」とハキハキ答える息子は、ASD傾向が強かった。
実際の支援学級ライフ
6年間、本当に色々とあったし、葛藤もした。私が住むエリアの支援学級は、2学年一緒の授業だった。だから、今は5年・6年生合同で、同じ教科書(6年生用)を使って勉強している。
勉強が遅れないかって、やはり遅れる。
だけど、逆に集団生活に入ってみて分かった、息子の「普通学級だったら不登校になってたかも」という特性が浮き彫りになりもした。
発達障害者は、一般の人がごく当たり前に身につく生活習慣が、身につきにくい傾向がある。息子の場合だと、小学校4年生くらいまでは、自分で洋服の裏表を確認して間違えず着ることができなかった。支援学級では、そういった教育をしてくれる。だから、生活面での困りごとを家庭だけで抱える必要がなかった。
納得いかないことにはテコでも動かない。なので、全体集合が必要でも納得いく説明がないと動かない。普通学級の子たちが整然と集合できている姿を見て、これは普通学級に進級していたら取り残されただろうと思った。
授業中に間違えた恥ずかしさから、校庭に走って逃げることもあった。その都度、丁寧に接してくれた先生方には感謝しかない。
だから、これから決める方は「家でできることが集団生活でもできるとは限らない」ことを念頭に入れてほしい。
爆上がりしていった自己肯定感
小学校入学前は、療育センターやデイサービスは合わなかったこともあり、保育園の普通のクラスにいた。ついていけないことはないけれど、いつでもマックスかそれ以上の能力を使わなければ、ついていけなかった(それでも一般の子についていけない部分は多々あった)。
息子の自己肯定感は低かった。それこそ、あの時期は今思えば、暗黒期だったと思う。
だけど、同じような特性を持つ子たちがいる支援学級では、体が大きい息子はリーダー的な役割になることが多く、人前で発表する機会も多かったので、責任感が身に付き・さらに「できる部分」を伸ばそうという教育なので、自己肯定感は上がっていった。
先日の就学相談では、将来の夢(調理師)から、学校の楽しさまで、判定委員の先生方にハキハキ回答していた。この自己肯定感の爆上がりが、支援学級で得られた一番のものだったと思う。
仕事柄、成人の発達障害者を取材する私は、自己肯定感の低さに悩む人たちや、二次障害に苦しむ人たちを見てきた。そうならないために、支援学級で福祉と連携しながらの6年間は、息子本人の自立性をはぐくみ、安定したメンタルを養ういい6年間だったと思う。
高校以降は支援学級はない問題
これが一番、気になるところだった。だけど、今は、中学校に入ったら個別指導の塾も考えていれば、通信制の高校もいいんじゃないかと柔軟に考えている。
調理師になるために、高校くらいは卒業したいと、今では先生に宿題をねだりに行くようになった。得意を見つけた息子は、オムライスくらいなら自分で作る。給食室から給食のレシピをゲットしてくることもある。
料理を通じて、周囲の友人や支援者ともフランクに話すようになり、今ではASDというよいADHDの要素の方が目立つくらいになった。
何より周囲の支援者に、自分から「将来はこうなりたいんだけど、そのためにはどうしたらいいのか?」と聞いて「事業所の人と話したんだけど、この福祉サービス使いたい!」と言ってくるようになった。
一生人の助けは必要だからこそ
6年間、掲げ続けた目標は「ありがとう」「ごめんなさい」「お願いします」を言えるようにすることだった。
家庭と学校の連携で、すっかり習慣として身についている。
私は6年間見てきて、健常者も誰かに頼って生きているんだから、頼る機会が多い息子に一番大切なのは「助けを求められる」「きちんとお礼が言える」ことだと思った。
支援者も人間だからだ。
それが身についただけでも、支援学級に行ったことは良かったと今は思っている。勉強は大人になってもできるけど、そういった基本的な部分は、幼少期からの習慣だし、うまく人に頼れたら、この子の未来は可能性であふれていると思う。
悩んでいる方は、ぜひ、授業の見学をしてみて欲しい。6年前の私も偏見でいっぱいだったけど、支援学級はそんなに悪いものじゃない。